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(3)配置
 電気機器の配置について必要とする一般共通事項は、設備規程第174条及び第175条の規定による。
 
(配置)
第174条 電気機械及び電気器具は、次項から第4項までに規定する場合を除くほか、次に掲げる場所に設備してはならない。
(1)通風が悪く、引火性ガス、酸性ガス又は油蒸気がうっ積する場所
(2)水、蒸気、油又は熱により障害を生ずるおそれのある場所
(3)他動的損傷を受けるおそれのある場所
(4)燃焼し易いものに近接する場所
2. 水滴、油等の落下又ははねかえりのおそれのある場所に設置する電気機械及び電気器具は、正常な機能を妨害されないよう保護しなければならない。
3. 船舶の安全性又は居住性に直接関係のある電気機械及び電気器具で、機関床板より下方に設置し、かつ、ビルジ等により浸水のおそれのあるものは、適当に保護されたもの又は防水型若しくは水中型のものでなければならない。
4. 爆発し、又は引火し易い物質が発生し、蓄積し、又は貯蔵される場所に設置する電気機械及び電気器具は、防爆型のものでなければならない。
第175条 船舶の安全性及び居住性に直接関係のある発電機、電動機その他の回転機械の軸方向は、なるべく船首尾方向と一致させなければならない。
 
(関連規則)
(1)設備規程第174条3関係(船舶検査心得)
 
174.3(a)(配置)
 「船舶の安全性又は居住性に直接関係のある電気機械及び電気器具」とは、次のような設備に使用するものをいう。
(1)船舶の推進に関係のある機関(機関規則心得附属書〔1〕「用語の定義」参照)
(2)セルモーター
(3)昇降設備
(4)端艇揚卸設備
(5)非常消火ポンプ
(6)水密戸開閉装置
(7)自動スプリンクラ装置
(8)高圧ガス圧縮機
(9)通風機(危険物ばら積船ポンプ室等、機関区域及び居住区域用)
(10)航海用具
(11)船内照明設備(集魚灯等業務用に用いられるものを除く。)
(12)無線電信装置(義務船舶局の場合に限る。)
(13)固定式イナート・ガス装置
(14)暖房機
(15)冷房機
(16)サニタリーポンプ
(17)飲料水ポンプ、造水機
(18)汚物処理機
(19)レンジ、電気炊飯器等の調理器具
(20)(1)から(19)に掲げる設備に給電するための発電機、蓄電池及び変圧器
 船舶機関規則心得「附属書(1)」による船舶の推進に必要又は関係のある補機は次のとおり規定されている。
7 船舶の推進に関係のある機関
 次に掲げるもの
(1)主機及び主要な補助機関
(2)推進のために必要な動力伝達装置及び推進軸系並びに発電機(非常電源の用に供するものを除く。)及び第1種補機に動力を伝達する動力伝達装置及び駆動軸
(3)第1種ボイラ、主ボイラ及び主要な補助ボイラ
(4)船舶の推進に関係のある補機
(5)(1)から(4)までに掲げる機関の運転に必要な圧力容器
(6)(1)から(5)までに掲げる機関の運転に必要な管装置(タンクを除く。)及び制御装置
24 第1種補機(船舶の推進に必要な補機)
 次のいずれかに該当する補機
(1)主機、主要な補助機関、推進軸系又は推進軸系に動力を伝達するための装置のための補機にあっては、次に掲げるもの
(i)潤滑油供給ポンプ
(ii)冷却水ポンプ、冷却油ポンプ及び循環ポンプ
(iii)燃料油供給ポンプ
(iv)復水ポンプ及び真空ポンプ
(v)燃料油清浄機及び潤滑油清浄機(主機の運転に必要なものに限る。)
(vi)制御用又は始動用の油圧ポンプ及び空気圧縮機
(2)主ボイラ又は主要な補助ボイラのための補機にあっては、次に掲げるもの
(i)給水ポンプ
(ii)燃料ポンプ
(iii)強制給排気送風機
(3)ビルジポンプ
(4)その他管海官庁が指示するもの
25 第2種補機(船舶の推進に関係のある捕機)
 次のいずれかに該当する補機
(1)第1種補機
(2)バラストンポンプ及び消火ポンプ(非常用のものを除く。)
(3)操船補機(操舵装置等をいう。)、甲板補機(揚錨機、係船機等をいう。)及び荷役装置、冷蔵設備等に用いるもの
(4)通風機(機関室、ボイラ室、タンカーの貨物油ポンプ室等の取扱者の健康に障害を与えるガス又は火災の危険性を有するガスが発生するおそれのある場所に設置するものに限る。)
(5)その他管海官庁が指示するもの
 
(2)設備規程第175条関係(船舶検査心得)
 
(配置)
175.1(a)船舶の安全性又は居住性に直接関係のある発電機、電動機その他の回転機械については174.3(a)を準用する。
 
(説明)
 回転機械の据付け方向について(設備規程第175条関係)
設備規程第175条に回転機械の据付けは、軸方向を船首尾方向と一致させることが定められている。これは、船の動揺、傾斜が、運転中の回転機械の軸受に悪い影響を及ぼすのを考慮したもので普通ピッチングの方がローリングより、頻度が少なく、また、船の傾斜角度及び動揺は、ピッチングの方がローリングより小であるから、回転機械の軸方向は、ローリング方向を避けてピッチング方向(船首尾方向)に合わせたものである。従って、小形電動機及び停泊時におもに使用する回転機械(揚貨機、揚錨機用等)は、船首尾と直角に装備して差しつかえないと、一般にされている。
 なお、軸受潤滑油及び継電器接点等も、船の傾斜、動揺の影響を受けるので、考慮する必要がある。
(4)構造及び性能
(a)電気設備に使用する電気機器、電線、配線材料など装備品は、特別な要求による場合のほか原則として、JIS、JCS及びJEMの規格品を使用する。
(b)電気設備に使用する電気機器、電線、配線材料など装備品は、製造、補給、操作、取り扱いなどを容易にするため、なるべく種類を限定し、多種多様にわたらないようにする。
(c)電気設備は操作、取り扱い容易で、非常の場合においても誤動作、混乱などを起しにくい、操作性の優れたものであり、かつ、保守点検が極めて容易なことが必要である。
(d)動揺、傾斜、振動に対する電気機器の性能は、設備規程第177条の規定による。なお、衝撃に対しても、十分耐えるものとする。
 
(性能)
第177条 船舶の安全性又は居住性に直接関係のある電気機械及び電気器具は、船舶が縦に10度若しくは横に15度(第6章の規定により備え付ける非常電源及び臨時の非常電源にあっては22.5度)傾斜している状態又は22.5度横揺れしている状態においてもその性能に支障を生じないものでなければならない。ただし、係留船にあっては、管海官庁が当該係留船の係留場所の風、波、潮流等による影響を考慮して差し支えないと認める場合は、この項の規定の適用を緩和することができる。
2. 電気機械及び電気器具は、船体の振動によりその性能に支障を生じないものでなければならない。
 
(関連規則)
 設備規程第177条関係(船舶検査心得)
 
(性能)
177.1(a)「船舶の安全性又は居住性に直接関係のある電気機械及び電気器具」については、174.3(a)を準用する。
(b)10°のトリム及び15°のヒール並びに22.5°のローリング状態において、本項の規定を満足していること。
 
(e)電気設備は、各種の原因による腐食及び電食作用を防ぐため、その装備場所に応じて適切、かつ有効な防食処理、塗装などを行なうものとする。
〔説明〕電食について
 異種金属が接触し、又は、海水中で近接していると、電気分解による電気腐食をおこす。軽合金と黄銅、軽合金と鋼などの接触面(例、機器が軽合金製で船体壁が鋼の取付面)の電食を防止するには、接触面にジンクロメートを含んだペーストを塗布するか、又は、それに浸したテープ(座金状のもの)を挿入すること。また、軽合金に接する黄銅、又は鋼のボルト、ナット類は、十分の厚さの亜鉛メッキ、又はカドミウムメッキを施し、クロム酸処理、又は重クロム酸処理を施すこと。ただし、ニッケルクローム鋼のボルト、ナットは、そのまま使用して差し支えない。
 軽合金と黄銅の場合は、特に電食防止を怠らぬよう注意すること。
(f)電気設備は、人体に危険を与えないよう、保安の面から下記の考慮を払う必要がある。
 
(取扱者の保護)
第176条 電気機械及び電気器具は、取扱者に危険を与えない構造のものでなければならない。
2. 電気機械又は電気器具の故障により、その露出金属部が帯電するおそれのある場合は、取扱者を保護するための適当な措置を講じなければならない。
 
(関連規則)
(1)第176条関係(船舶検査心得)
 
(取扱者の保護)
176.2(a)「取扱者を保護するために適当な措置」とは、次に掲げるいずれかの措置とする。
(1)接地すること。この場合において、移動用の電気機械及び電気器具にあっては、その金属製枠をケーブル又はコード内の導体によりプラグ及びレセプタクルを通じて接地すること。
(2)導体間電圧が50V(交流にあっては、実効値。)を超えない電圧による給電とすること。ただし、単巻変圧器により給電する場合を除く。
(3)1台の電気機械又は電気器具のみに対する給電であって250Vを超えない電圧による給電とすること。ただし、当該給電は安全絶縁変圧器により行なうこと。
(4)電気機械又は電気器具を重絶縁構造とすること。
 
(2)NK規則
 
2.1.3 構造、材料、据付け等
−1. 電気機器の強度を必要とする部分は、有害な欠点のない優良な材質のものでなければならない。また、各部のはめ代、すき間その他すべての工作は船用機器としての優秀な実績及び経験に従ったものでなければならない。
−2. すべての電気機器は、普通の取扱方法により操作又は接触したとき人体に傷害を生じさせないように作り、装備しなければならない。
−3. 絶縁材料及び絶縁巻線は、湿気、塩気及び油気に耐えるものでなければならない。
−4. ボルト、ナット、ピン、ねじ、端子、スタッド、ばね、その他の小部分品は、耐食材料を用いるか又は適当な防食処理を施したものでなければならない。
−5. 通電部分及び可動部分に用いられるナット及びねじには、有効な緩み止めを施さなければならない。
−6. 電気機器は、機械的傷害の危険にさらされることなく、また、水、蒸気、油等により損傷を受けないような、十分に通風され、かつ、照明された近寄りやすい場所に装備しなければならない。やむを得ずこのような危険にさらされる場合には、電気機器の構造は設置場所に適したものとしなければならない。
−7. 電気機器は、次の(1)から(4)の要件に該当すると認められるものを除き、爆発性混合気が集積するおそれのある場所又は主として蓄電池用にあてられた区画、塗料庫、アセチレン格納庫あるいはこれに類似する場所内に設置してはならない。
(1)船舶の稼働上不可欠なものであること
(2)当該混合気に引火しない形式のものであること
(3)当該場所に適したものであること
(4)遭遇するおそれのある粉じん、蒸気又はガス中において安全に使用できることが適切に証明されているものであること
−8. 電気機器及びケーブルは、回路を開閉しても、磁界の変化によって磁気コンパスの指度に悪影響を及ぼさないように、磁気コンパスから離して装備しなければならない。







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