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7・2 単相交流の基礎
7・2・1 電気角と周波数
(1)電気角
 正弦波交流は7・1で説明したとおり、誘導起電力の発生は一定の角速度で回転するコイル(巻線)に発生する正弦波形の交流である。この波形を論ずる場合には、角速度が基本になる。
 
図7・4
 
 図7・4でみるように、電気工学では6・1・11で説明したとおり、ラジアン〔rad〕を用いる。〔註:π=180°、2π=360°である。〕そして6・1・12の角速度を適用すれば、(6・3)式即ち、
 θ=ωt〔rad〕から、ωtは一種の角度で、これを電気角といっている。そして0から2π〔rad〕まで回転して、初めて一つの波の形が完成し、その後は、この波の繰返しにすぎないから、1周波を完成するに要する角は2π〔rad〕といえる。
 また、この1周波を完了するのに必要な時間を周期といい、T〔s〕で表す。もし、T=1〔s〕であれば、(6・4)式は
ω=2π/T=2π〔rad/s〕となる。
(2)周波数
 
図7・5
 
 I〔s〕に繰返されるサイクルの数を周波数といい記号に用い、f単位は、〔Hz〕を使用する。図7・5についてこれを示せば、f=5〔Hz〕である。これは1秒間に5回転したことになる。そして周期T=1/5〔S〕とかける。
 
 
 また、ω(=2πf)を角周波数ともいう。
〔応用〕(1)陸上の電源周波数は関東方面は50〔Hz〕、関西方面は60〔Hz〕で、船舶では60〔Hz〕が原則で、場合によっては50〔Hz〕もある。
(2)交流発電機の極数は図7・1、及び図7・2では2極(N.S極、これを1対の極ともいう。)を示したが、一般的には磁極数をP極とし、毎分回転数をN〔min−1〕とすれば、次のような考え方で周波数〔Hz〕の式が得られる。
 
 
 以上(7・5)(7・6)(7・7)の3式は交流発電機では重要な式である。
 
〔例題〕
(1)4極の交流発電機が毎分1,800回転したときの交流発電機の周波数fは何〔Hz〕か。
 
 
〔例題〕
(2)6極の交流発電機の発生周波数〔Hz〕を50Hzにしたい。毎分何回転数〔min−1〕にすればよいか。
 
 
7・2・2 位相
 
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図7・6
 
 図7・6(a)において、この発電機では磁極N、Sが回転し、コイルが固定側にあるが、これが普通の交流発電機の形式である。
 今、(1)コイルに誘導される起電力を基準として、e1とすれば、
e1=Em sin ωt〔V〕・・・(7・8)となる。
 (2)コイルは(1)コイルよりも常にα〔rad〕だけ早く磁束に切られ、また、(3)コイルは(1)コイルよりも常にβ〔rad〕だけおそく切られるから、(2)の誘導起電力e2及び(3)の誘導起電力e3とすれば、それぞれ次のようになる。
e2=Em sin(ωt+α)〔V〕・・・(7・9)
e3=Em sin(ωt−β)〔V〕・・・(7・10)
 この場合、e2はe1よりも位相(フェイズ)がα〔rad〕だけ進んでいる。また、e3はe1よりも位相がβ〔rad〕だけ遅れているという。そして、α角及びβ角をt=Oにおけるe2、e3位相角といい、e1との間の相差角という。また、e1とe2もしくはe3との間には位相差又は相差があるという。
 もしも(2)、及び(3)コイルが(1)(1)(1)コイルと同一位置にあれば、位相差はないはずであるから、同じ位相又は同位相にあるという。







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