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5・6 入力、出力、効率
 
図5・12
 
 図5・12において、赤外線電球はその放射照度を利用して物体の乾燥用に作られた電球である。したがって、可視光線は必要でないからフィラメントの温度を下げて熱線を多く出すようにした放射効率のよい電球である。
 この場合、電球に入る電力は図において W=100×2.5=250〔W〕
 しかし、放射効率はこの電球の特性から約80〔%〕とすれば、実際に乾燥に役立つ出力=250×0.8=200〔W〕といえよう。そして50〔W〕がどこかに失われた電力となる。これを損失という。これらの事がらから次の関係が成り立つ
 
 
 以上の関係式は発電機及び電動機によく使用される。
〔例題〕(1)100〔kW〕の電動機がある。その効率を90〔%〕とすればその入力は何〔kW〕か。
〔解〕入力=100/0.9=111〔kW〕
〔例題〕(2)入力50〔kW〕の発電効率が80〔%〕のとき、その出力は何〔kW〕か。
〔解〕出力=0.8×50=40〔kW〕
 
5・7 熱電現象
5・7・1 ゼーベック効果
 
図5・13
 
 これは1821年ドイツのゼーベックが発見した現象で、図5−13において2種の金属で回路を作り二つの接合点の一方を高温にすれば接合点の温度差によって熱起電力が発生し、熱電流が流れる。この現象をゼーベック効果といい、このような素子を熱電対(サーモカップ)という。
 エンジンのシリシダー内の高温度測定に利用され、熱電対温度計はこの応用である。
5・7・2 ペルチェ効果
 
図5・14
 
 これは1834年フランスのペルチェが発見した現象で、図5・14において2種の金属に電源を入れ一つの回路をつくる。
 二種の金属の接触面では接触電位差がおこるが、この電位差と逆方向に電流Iを流せば、その面で発熱し、また、同方向に流せばその面で熱が吸収される。この現象をペルチェ効果という。これを利用したものに電子冷却器がある。
注:接触電位差
 湿度均一な異種金属を接触させるとそこは電圧差が現れる。例えば、温度均一の銅棒と亜鉛棒を接触させると、その間に約0.75V電圧差が現れる。そして、亜鉛棒の方が高電位となる。
 
5・8 復習問題(4)
(1)直流の種類をあげ、それぞれを簡単に説明せよ。
(2)平滑回路の役目をのべよ。そしてこれにはどんな種類があるか。
(3)オームの法則の関係式をあげ、これを説明せよ。
(4)電圧降下とはどんなものか述べよ。
(5)電力の計算式に三つの形がある。これを示せ。
(6)ジュール熱とは何か。また、ジュールの法則を示せ。
(7)電力量とはどんなものか述べよ。
(8)効率について説明せよ。
(9)ゼーベック効果を説明せよ。
(10)ペルチェ効果を説明せよ。







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