2・10・3 防爆灯器具
船で引火、爆発のおそれがある場所、すなわち、危険場所内にやむを得ず取付ける照明器具は、その危険区域に適応した防爆構造のものを用いなければならない。
発熱電球、シールドビーム形電球又は高圧水銀ランプはカーゴランプ、プロゼクタ、ボートデッキランプに使われる。高圧水銀灯のランプ回路は、高圧水銀灯安定器を使い安定器にあるコンデンサは回路が遮断されてから1分以内にコンデンサの端子電圧が50V以下になるような放電装置を必要とする。
探照灯は、コンパス甲板等に装備して海面、陸岸、甲板上などを照射し、浮遊物の発見、接岸ブイ係留、漁撈中の集魚灯の代用、漁撈作業などに使う。形式には種々あるが、反射鏡の有効直径で区分し、12cm位から60cm位まである。このほか特殊なものにスエズ運河探照灯等がある。
船の照明には主電源から直接又は変圧器をへて給電される一般照明電灯のほか、予備発電機や蓄電池電源による予備灯、非常発電機や蓄電池電源による非常灯等がある。非常灯については船舶設備規程によって次のように規定されている。
第122条の5(非常標識)
1. 外洋航行船(旅客船に限る。)、内航ロールオン・ロールオフ旅客船及び係留船の脱出経路(暴露部に設けるものを除く。)及び当該脱出経路に設ける消防設備を格納する場所には、床面からの高さが0.3メートル以下の位置に非常標識を備え付けなければならない。
2. 前項の規定により備え付ける非常標識は、次に掲げる要件に適合する発光体又は標識灯でなければならない。
(1)管海官庁が適当と認める光度を有するものであること。
(2)設置する場所に応じ、脱出の経路、格納されている消防設備の種類その他の表示事項が容易に識別できるものであること。
(3)電気式のものにあっては、非常電源から給電するものであり、他の非常標識の損傷によりその機能が損なわないための措置が講じられたものであること。
第122条の6(非常照明装置)
1. 外洋航行船、内航ロールオン・ロールオフ旅客船及び係留船の次に掲げる場所には、安全上十分な非常照明装置を設けなければならない。
(1)乗艇場所及び召集場所
(2)廊下、階段、はしご及び出入口
(3)機関区域
(4)制御場所(船舶防火構造規則第2条第22号の制御場所をいう。以下同じ。)機関制御室及び主発電設備の制御室
(5)その他管海官庁が必要と認める場所
2. 前項第2号に掲げる場所に設ける非常照明装置は、乗船者が救命艇及び救命いかだの積付場所及び進水場所に近づくことを妨げないものでなければならない。
3. 第1項の非常照明装置は、主電源、これと関連する変圧器、主配電盤又は主照明用配電盤を設けた場所の火災その他の災害によりその使用を損われないものでなければならない。
4. 第1項の非常照明装置は、非常電源から給電することができるのでなければならない。この場合において、国際航海に従事する旅客船にあっては、同項第一号に規定する場所に設ける当該非常照明装置は、主電源からも給電することができるものでなければならない。
船灯とは、海上衝突予防法及び海上交通安全法による船に掲揚される灯器をいい、航海中に掲げるマスト灯、げん灯(左げん紅、右げん緑)、船尾灯、停泊中に掲げるものには白燈、運転不能の船が使う紅灯、漁撈中の船が漁業灯等がある。船灯は、船の運行上きわめて重要なものであり、夜間は瞬時も停電を許されない。したがって、電球のフィラメント断線などを考慮して、重式船灯を装備することが近海以上の航行区域の船に使うことが義務づけられている。船灯用電球はかご形の縦線でタングステンフィラメントをもつ横方向に多くの光束を出す耐振形の真空電球が要求される。
他船又は陸上施設等に自船の意志を光学的方法で伝達するのが信号灯であり、これには昼間信号灯がある。また船の状況を示すものにスエズ運河信号灯、推進器に小型船が接近しないように設けるプロペラ信号灯(紅灯)、球状船首をもつ船の船首に小型船が衝突しないように設ける球状船首注意灯等がある。
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