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4.3.4 ケーブルのわん曲
(1)ケーブルのわん曲については、船舶設備規程(第251条)及びNK鋼船規則(H編2.9.10)で、それぞれ規定があるので、作業に当たっては、その値以上とする。
 配線された状態は勿論、配線作業時にも規定された値以上でなければならない。すなわち、規定値以下に曲げたりすると、ケーブル構成材料の特性の低下や絶縁破壊の原因となるからである。
 
表4.2 ケーブルのわん曲
 
(2)船体伸縮部におけるケーブルのたるみ部分の曲げ半径は、最大ケーブルの外径の12倍以上とする。
(3)ケーブルを曲げて布設する場合は、バンドに大きな力がかからぬように、ケーブルとバンドは、図4.19に示すように直角とする。
 
図4.19 ケーブル曲げ部のバンド取付例
 
4.3.5 ケーブルの固定方法
(1)押えバンド方式
 図4.20のように、黄銅製のテープ状のものを所要長に切断し、ケーブル布設状態に合わせて型打ち、止めねじ穴の穴明け加工した物をねじで固定する。この方式は型打ち加工工数が多いため、最近では特殊な場合を除き、使用されていない。
 
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図4.20 押えバンドによるケーブル固定例
 
(2)巻きバンド方式
 巻きバンド方式は、軟鋼又はステンレス製のテープ状のものをケーブル群に巻付け、バンドバックルと工具により締付け、ケーブルを固定する方法で、最近はほとんど、この方法で行われている。
 巻バンド及びバンドバックルの使用要領は次のとおりである。
(a)暴露甲板、調理室、浴室、洗面所、便所、蓄電池室、冷蔵室など湿気の多い場所に使用する巻バンド及びバンドバックルは、発錆防止のためステンレス製のものを使用する。
(b)バンドバックルの位置は、ケーブルの上にあるのが望ましいが、工具使用の余裕がない時は、ハンガ下面の端に近いところとする。
(c)バックルを垂直又は斜面に使用する場合は、バックル底部のバンド折返しの向きは、図4.21のようにするとよい。
 
図4.21 巻バンドのバックルへの挿入方向
 
(d)バンドバックルの位置はできる限りそろえて、不体裁とならないように注意する。
(e)人が触れるおそれのあるところでは、巻きバンドの最終端末から約10mmの部分で折返しを行ってからバックルのつめで押える。
 
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図4.22 巻きバンドの巻止め法の例
 
(f)バンド締付けにより、ケーブルを傷つけないよう、必要以上に締付けない。なお、必要に応じてケーブルの外面に適当な保護材を巻きケーブルを保護する。
 巻バンドを使用してケーブルを固定する例は、図4.27図4.30などを参照。
 
(3)コンジットパイプによる方式
 ケーブルが機械的損傷を受けるおそれのある場所での固定法に適しており、パイプの先端には、必ずケーブル保護用ブッシングを施す。
 
図4.23 コンジットパイプによるケーブル固定例
 
(4)フレキシブルチューブによる方式
 この方式は、コンジットパイプ方式に準ずるもので、しかもフレキシブルであるため作業が簡単であり、床下や機器周辺の配線工事に使用される。(図4.32を参照)
(5)ケーブルカバーによる方式
 この方式は、居住区の木壁に機器を取付けるなど美観を考慮した場合のケーブル固定法の一つである。カバーの材質は、プラスチックが多く使用されているが、特に高級化を要求される場合は、壁と同一材料で行う。(図4.36を参照)
(6)非金属性バンドによる方式
 NK鋼船規則では、非金属性のバンドを使用することが認められている。ただし、材質は、難燃性であり、かつ、材料の名称、寸法、特性及び使用方法などに関する資料を提出し、NKの承認を得る必要がある。また、非金属性バンドで固定したケーブルは、支持物の上に水平に布設した場合を除き、火災によるケーブルのたるみに対し、1〜2mごとに補強用として金属性バンドを使用する必要がある。
(7)木製クリートによる方式
 冷蔵庫、魚倉、冷凍室などに布設するケーブルは、天井側壁の表面から離して布設するので、ケーブルの固定は、図2.9に示すような木製クリートで行う場合がある。







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