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第2節 動力設備
(直巻電動機使用の制限)
第274条 直巻電動機は、セルモーターとして使用する場合等特殊な用途に使用する場合を除き使用してはならない。
(電動機の定格)
第275条 船舶の安全性又は居住性に直接関係のある電動機は、用途によりそれぞれ次の各号に掲げる時間定格以上のものでなければならない。
(1)推進機関の補機、排水設備、消防設備等に使用する電動機で連続運転を行うもの 連続定格
(2)操舵用電動機 1時間定格(電動油圧操舵装置に使用するものにあっては、定格負荷の15パーセントで連続運転し、その温度が飽和状態に達した後1時間定格とする。)
(3)水密戸開閉装置、揚錨機、係船機等に使用する電動機 30分定格
(関連規則)
船舶検査心得
275.1(電動機の定格)
(a)「船舶の安全性又は居住性に直接関係のある電動機」については、174.3(a)を準用する。ただし、セルモーターを除く。
(過負荷耐力)
第276条 全閉形以外の連続定格の電動機は、25パーセントの過負荷で次表に掲げる時間中支障なく運転できるものでなければならない。この場合において同表の毎分1000回転についての出力は、次の算式により算出したものとする。
毎分1000回転についての出力=定格出力(キロワット)/定格回転数 ×1000
 
毎分1000回転についての出力 (キロワット) 時間
3未満のもの 15分間
3以上7.5未満のもの 30分間
7.5以上のもの 2時間
 
2. 前項の電動機は50パーセントの過負荷で1分間支障なく運転できるものでなければならない。
(過速度耐力)
第277条 前条の電動機は、次表に掲げる回転数で1分間支障なく運転できるものでなければならない。この場合において、加減速度電動機についての定格回転数、無負荷回転数又は同期回転数は、それぞれの最高のものについて適用するものとする。
 
(準用)
第278条 第187条から第190条まで及び第193条から第195条までの規定は、電動機について準用する。ただし、セルモーター等特殊な用途に使用する場合は、第193条の規定はこの限りでない。
(関連規則)
船舶検査心得
278.0(準用)
(a)24V以下の蓄電池によって駆動されるセルモーターの絶縁耐力試験の試験電圧は、第11号表の規定にかかわらず、500Vとして差し支えない。
(電磁制動機)
第279条 電磁制動機は、通常の使用状態の温度において、次の各号に適合するものでなければならない。
(1)分巻制動機及び交流制動機は、定格電圧の80パーセントの電圧を加えた場合に、確実に制動をゆるめることができるものであること。
(2)複巻制動機は、定格電圧の80パーセントの電圧及び起動電流の80パーセントの電流を加えた場合に、確実に制動をゆるめることができるものであること。
(3)直巻制動機は、全負荷電流の10パーセントの電流を加えた場合に、確実に制動するものであり、かつ、すべての起動電流(起動電流が全負荷電流の40パーセントをこえるときは、全負荷電流の40パーセントとする。)を加えた場合、確実に制動をゆるめることができるものであること。
(制御器)
第280条 制御器は、これを使用する回路の電圧に適合したものであり、確実に電動機を起動し、及び停止し、並びに使用目的に応じて逆転し、又は速度を制御することができる性能を有するものであり、かつ、必要な安全装置を備えたものでなければならない。
第281条 制御器の損傷又は摩耗を生じやすい部分は、容易に取り換えることができる構造のものでなければならない。
第282条 起動段階をもつ起動器は、電動機運転中に過負荷のため自動的にしゃ断し、又は停電した場合に、正規の起動状態にもどるもの又は正規の起動状態にもどさない限り起動できないものでなければならない。
(準用)
第283条 第223条から第225条までの規定は、制御器について準用する。
(制御用抵抗)
第284条 制御用抵抗は、周囲の燃焼し易い物が火災を生じないように適当な保護を施したものでなければならない。
(船倉内の動力設備の給電回路)
第284条の2 船倉内の動力設備の給電回路には当該船倉の外側に多極開閉器を設けなければならない。ただし、管海官庁が安全性を考慮して差し支えないと認める場合はこの限りでない。
(関連規則)
船舶検査心得
284-2.0(船倉内の動力設備の開閉器)
(a)「管海官庁が安全性を考慮して差し支えないと認める場合」については、270.0(a)を準用する。
(電動操舵装置及び電動油圧操舵装置)
第285条 電動操舵装置及び電動油圧操舵装置の電動機は、次に掲げる要件に適合するものでなければならない。
(1)舵柄を直接駆動する電動機は、予想される圧力に対して十分な起動トルクを有するものであること。
(2)外洋航行船に備えるものにあっては、次に掲げる警報装置であって、主機室又は機関制御室に可視可聴の警報を発するものを備えたものであること。ただし、総トン数1,600トン未満の船舶の補助操舵装置の電動機であって、通常は他の用途に使用されているものについては、この限りでない。
イ過負荷警報装置
ロ 電動機が三相交流の場合には、欠相に対する警報装置
2. 外洋航行船の電動操舵装置及び電動油圧操舵装置の電動機に給電する電路は、次に掲げる要件に適合するものでなければならない。
(1)主配電盤から他の配電盤を経由せずに給電するものであること。ただし、一の電路は、非常配電盤を経由するものとすることができる。
(2)主配電盤からの電路は、この目的のためにのみ備える二以上のものであること。ただし、総トン数 1,600トン未満の船舶にあっては、主操舵装置及び補助操舵装置のいずれの動力も専用の電動機による場合に限る。
(3)各電路の容量は、同時に作動することのある電動機に十分給電し得るものであること。
(4)各電路は、同時に損傷を受けることのないように一の端から他の端までできる限り離して布設したものであること。
3. 電動操舵装置及び電動油圧操舵装置の電動機の給電回路には、短絡電流を遮断するヒューズ、自動遮断器又は配線用遮断器(以下この条及び次条において「ヒューズ等」という。)を設けなければならない。
4. 前項の給電回路に過負荷電流を遮断するヒューズ等を設ける場合は、当該ヒューズ等は、保護する電動機の全負荷電流の2倍未満の電流に対しては作動しないものでなければならない。ただし、総トン数 1,600トン未満の船舶の補助操舵装置の電動機であって通常は他の用途に使用されているものの給電回路には、当該電動機の全負荷電流の2倍未満の電流で作動するものを設けてもよい。
5. 船橋(外洋航行船にあっては、船橋及び主機を制御する場所)には、電動操舵装置及び電動油圧操舵装置の電動機の運転表示器を備えなければならない。
第285条の2 操舵装置の電気式の制御装置の給電回路には、短絡電流を遮断するヒューズ等を設けなければならない。
2. 前項の給電回路には、過負荷電流を遮断するヒューズ等を設けてはならない。
3. 電動操舵装置及び電動油圧操舵装置の電気式の制御装置に給電する電路は、当該操舵装置の電動機に給電する配電盤又は操舵機室内の分電盤から分岐するものでなければならない。







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