第3節 蓄電池
(蓄電池の性能)
第202条 蓄電池は、日本工業規格「船用鉛蓄電池」の規格に適合するもの又はこれと同等以上の効力を有するものでなければならない。
(蓄電池室及び蓄電池箱)
第203条 蓄電池は、適当な換気装置を備えた蓄電池室又は保護おおいを施した適当な箱に収めて通風良好な場所に設置しなければならない。
2. 前項の蓄電池室又は蓄電池箱は、他の電気設備及び火気から十分隔離しなければならない。
3. 酸性蓄電池を設置する蓄電池室の床面、棚の上面及びこれらの高さ 7.5センチメートルまでの周壁並びに酸性蓄電池を収める箱の底面及び高さ 7.5センチメートルの内周壁は、厚さ 1.6ミリメートル以上の鉛張りとするか、又は管海官庁の承認する防しょく処理を施さなければならない。
(関連規則)
1. 舶検第59号(56.4.20)
JIS D5301 自動車用蓄電池N-120、N-150、N-200の使用について
中検第127号(昭和56年3月20日付け) をもって伺出のあった標記については、伺出のとおり使用を承認して差し支えない。
注;形式については次のように改正されている。(JIS D5301-1999始動用鉛蓄電池)
説明 |
1. 旧形式 |
新形式 |
N−120 |
115F51 |
N−150 |
145G51 |
N−200 |
190H52 |
2. 新形式に使用されている数値及び記号は次の意味を表している。 |
2. 船舶検査心得
203.3(蓄電池箱及び蓄電池室)
(a)鉛張りに代わるものとしてビツミナスセメント、ピッチを使用して差し支えない。
3. 舶検第259号(52.7.23)
(有)阪神舶用電機工業所製造に係るエスロン、ネオランバー(積水化学工業(株)FFU材)製蓄電池箱の使用について
近海検第558(昭和52年6月6日付け) をもって伺い出のあった標記については下記事項留意のうえ認めて差し支えなく、また、本箱は鉛の内張りを施さないで酸性蓄電池の箱として使用して差し支えない。
記
(1)材料はエスロン、ネオランバー ─FFU─A型を使用すること。
(2)蓄電池箱のわかりやすい位置に、箱の製造者名、使用材料名(メーカー名を含む)、製造年月日等を明記しておくこと。
注 近運検245号の1(H14.3.6)
使用材料の呼称の変更 エスロン・ネオランバー FFU-50型
4. 海検第73号(62.7.7)
西独ゾンネンシャイン・バッテリー会社製密閉構造バッテリーシリーズA200及びA600型の使用について
昭和62年6月30日付け関舶検第70号をもって伺い出のあった標記については、下記事項留意のうえ使用して差し支えない。
記
(1)船舶設備規程第 203条第3項に基づく防しょく処理については、鉛の内張りを施さないで使用して差し支えない。
(2)型式
ゲル方式シール鉛蓄電池
ドライフィット A600
ドライフィット A200
5. 海検第101号(63.10.31)
湯浅電池株式会社製陰極吸収式シール形鉛蓄電池(MSEシリーズ)の使用について
昭和63年9月28日付け神船査第 303号をもって伺い出のあった標記については、下記事項留意のうえ使用を認めて差し支えない。
記
(1)船舶設備規程第 203条第3項の適用に際し、防しょく処理を施さないで使用して差し支えない。
(2)型式
陰極吸収式シール形据置鉛蓄電池MSE形シリーズのうち次のものに限る。
MSE 50-12
MSE 100-4
MSE 100-6
MSE-150
MSE-200
MSE-300
MSE-500
MSE-1000
MSE-1500
MSE-2000
MSE-3000
6. 海検第40号(元.6.14)
海上技術安全局
首席船舶検査官
古河電池(株)製シール形据置鉛蓄電池(陰極吸収式)の使用について
平成元年5月17日付け関舶検第56号をもって伺い出のあった標記については、下記の事項留意のうえ使用して差し支えない。
記
(1)船舶設備規程第 203条第3項に基づく防しょく処理については免除して差し支えない。
(2)物件の要目
(i)HSEシリーズ
HSE-30-12
HSE-40-12
HSE-50-12
HSE-60-6
HSE-80-6
HSE-100-6
(ii)MSEシリーズ
MSE-50-12
MSE-100-6
MSE-150
MSE-200
MSE-300
MSE-500
MSE-1000
MSE-1500
MSE-2000
MSE-3000
4. NK規則
2.11 蓄電池
2.11.1 一般
−1. 本2.11は、常設して使用されるベント形二次電池に適用する。なお、ベント形二次電池とは、電解液の交換ができるもので、充電時及び過充電時にガスを放出するものをいう。
−2. ベント形以外の二次電池の構造、配置等は、本会の適当と認めるところによる。
−3. 蓄電池は、用途に応じて適切な性能を有するものでなければならない。
2.11.2 構造
蓄電池は、鉛の動揺、傾斜によって電解液がこぼれたり、噴出したりしない構造のものとしなければならない。
2.11.3 設置場所
−1. アルカリ蓄電池と鉛蓄電池は、同一区画に設置してはならない。
−2. 容量の大きい蓄電池は、専用の区画に設置しなければならない。ただし、やむを得ない場合には甲板上に設置された箱内に設けることができる。この場合、箱は適当な換気装置を備えたもので、水の流入を防止できる構造のものとしなければならない。
−3. 機関始動用蓄電池は、機関にできる限り近接して設置しなければならない。もし、この蓄電池を蓄電池室内に設置できない場合には、通風が確保された場所に設置しなければならない。
−4. 蓄電池は、居住区画内に設置してはならない。
2.11.4 設置方法、防食等
−1. 蓄電池は、取換え、点検、試験、補水及び清掃のため容易に近付き得るように配置しなければならない。
−2. 電槽又は電槽収納枠は、非吸収性の支持台に設置しなければならない。この場合、動揺による電槽の移動を防止するように取り付けられなければならない。
−3. 電解液として酸が使用される場合には、甲板が耐酸性の材料で保護されている場合を除き、耐酸性の材料で作られた受皿を電槽の下方に設けなければならない。
−4. 蓄電池を収納する区画の内部(棚を含む。)は耐食ペイントを塗装しなければならない。
−5. 耐食性材料で製造されているものを除き、通風ダクトの内面及び通風機の羽根には、耐食ペイントを塗装しなければならない。
2.11.5 換気
−1. 蓄電池収納区画は、独立の通風装置によって、有効に換気されなければならない。
−2. 自然通風により換気を行う場合には、通風ダクトは、蓄電池収容区画の頂部から直接大気開口へ導かなければならない。この場合、ダクトは垂直方向から45度以上傾斜してはならない。
−3. 自然通風による換気が困難な場合には、機械式排気通風装置が設けられなければならない。この場合、通風機用電動機は通風ダクト内に設けてはならない。また、通風機の羽根は、ケーシングに接触しても火花を生じないのもでなければならない。
2.11.6 電気機器
−1. 蓄電池収納区画内には、アークの発生するおそれのあるスイッチ、ヒューズ及びその他の電気機器を設けてはならない。
−2. 蓄電池収納区画内に設置する電灯器具は、2.16の規定に適合するものであって、国際電気標準規格79に規定されるガス蒸気グループIIC、温度等級T1に分類される爆発性混合気中での使用に適するもの又はこれと同等以上のものでなければならない。
−3. 蓄電池収納区画には、原則として蓄電池用ケーブル及び前 -2.による電気機器に至るケーブル以外のケーブルを敷設してはならない。
2.11.7 充電装置
−1. 蓄電池を充電するための適切な充電装置が設けられなければならない。また、蓄電池を直流発電機で直列抵抗を通じて充電する場合であって、充電電圧が線間電圧の20%以上になるときは、充放電盤に逆流保護装置を備えなければならない。
−2. 浮動充電又は充電時に負荷が蓄電池に接続される方式等の場合には、最大電池電圧は、充電時を通じて接続負荷の許容最高電圧を超えてはならない。このため電圧調整器又は電圧制御装置を設けることができる。
NK(検査要領)
H2.11.5 換気
−1. 蓄電池を2段以上に配列する場合、棚の前後部には原則として、換気のための50mm以上の空所を設けること。
−2. 蓄電池室等の排気装置の能力は、次の値以上とする。
排気量Q=110×I×n(l/h)
I:最大終期充電電流(特に制限のない場合は、10時間率電流を標準とする。)
n:蓄電池の数
−3. 2kW以上の出力の充電設備に接続する蓄電池を収納する区画の排気装置は、機械式にすることを推奨する。
−4. 規則H編2.11.5-3に規定する機械式排気通風装置を使用する場合の「ケーシングに接触しても火花を生じないもの」とは、R4.5.4-1.に適合する火花を生じない構造のものをいう。
H2.11.6 電気装置
独立行政法人産業安全研究所技術指針・工場電気設備防爆指針に規定される爆発等級d3、発火度G1に分類されるものは、IEC60079に規定されるガス蒸気グループIIC、温度等級T1に分類されるものと同等として扱う。
(逆流防止装置)
第204条 発電機により充電される蓄電池には、逆流防止装置を備え付けなければならない。
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