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3. NK規則検査要領
H2.7 制御用器具
H2.7.1 絶縁距離
−1. 定格絶縁電圧とは、制御器具の絶縁設計の基準となる電圧で、実用上支障なく使用して得るよう考慮された電圧をいい、定格使用電圧以上の値とする。
−2. マクロ環境条件(周囲環境条件)とは、機器を設置し使用する室内、又はその他の場所の環境条件をいう。また、ミクロ環境条件とは、縁面距離の決定に大きな影響を及ぼす絶縁物の直近の環境条件をいう。さらに、汚染度とは、装置の絶縁性能を決定するミクロ環境の汚染の程度をいう。
−3. 規則H編2.7.1-3.において、制御用器具の絶縁距離の最小値は、表H2.7.1-1.に示す器具のミクロ環境条件の汚染度及びマクロ環境条件(周囲環境条件)に応じて、表H2.7.1-2.及び-3.によるものとする。
 
表 H2.7.1-1. ミクロ環境条件の汚染度及びマクロ環境条件(周囲環境条件)
ミクロ環境条件 マクロ環境条件(周囲環境条件)
汚染度 汚染の程度及び器具の例
1 汚染なしか、又は乾燥した非導電性の汚染だけが生じる状態。
器具の例:
・密封された継電器の内部
・コーティングされた印刷配線板
・密封形マイクロスイッチ及び近接スイッチ
気候に対する保護がされていて、かつ、温度が制御されている場所。
・じんあい又は外部からの固形物の種類や量がほとんどない。
・腐食物又は汚染物質の種類や量がほとんどない。
例:
・空調された清浄な室内
2 通常、非導電性の汚染だけが存在する状態。偶発的に、結露によって一時的な導電性が生じてもよい。
器具の例:
・カバー付き継電器の内部(制御用小形継電器)
・制御用操作スイッチ及びマイクロスイッチの内部
・コーティングなしの印刷配線板
気候に対する保護がされているが、温度と湿度が制御されていない場所(周囲温度の低下を防ぐための加熱は含まれる)。
・じんあいの存在がほとんどない。
・腐食物又は汚染物質の種類や量がほとんどない。
例:
・事務所、清浄な電気室
 
表 H2.7.1-2. ミクロ環境条件の汚染度1における制御用器具の絶縁距離の最小値
定格絶縁電圧 (直流・交流) (V) 空間距離(mm) 沿面距離(mm)(3)(4)
L−L(1) L−L(2) a b
  12以下 0.2 0.2 0.2 0.2
12を超え 30以下 0.4 0.4 0.4 0.4
30を超え 60以下 0.5 0.5 0.5 0.5
60を超え 125以下 0.5 0.5 0.5 1
125を超え 250以下 1 1 1 1.5
250を超え 380以下 1.5 1.5 1.5 2
380を超え 500以下 2 2 2 3
 
表H2.7.1-3. ミクロ環境条件の汚染度2における制御用器具の絶縁距離の最小値
定格絶縁電圧 (直流・交流) (V) 空間距離(mm) 沿面距離(mm)(3)(4)
L-L(1) L-L(2) a b
  12以下     0.4 0.4
12を超え 30以下 1 1 1 1.5
30を超え 60以下 1 1 1 2
60を超え 125以下 1.5 1.5 1.5 2.5
125を超え 250以下 2 3 2 3
250を超え 380以下 3 3 3 4
380を超え 500以下 4 4 4 6
 
(備考)(1)空間距離L−Lは、裸充電部間及び充電部と接地金属体との間に適用する。
(2)空間距離L−Aは、充電部と偶発的に危険となり得る金属体との間に適用する。
(3)沿面距離は、絶縁物の種別及び形状によって決める。
 “a”は、セラミック(ステアタイト、磁器)及び他の絶縁材料でも、特に漏れ電流に対し安全なリブ又は垂直面をもった絶縁物で、実験的にセラミックを用いたと同様と認められるもので、トラッキングインデックス140V以上の材料(例えば、フェノール樹脂成形品等)に適用する。“b”は、その他の絶縁材料の場合に適用する。
(4)空間距離L−Aが、それに対応した沿面距離“a”又は“b”よりも大きい場合には、裸充電部と操作者が容易に触れることができ、かつ、絶縁が劣化することによって充電部となる絶縁金属体との間の沿面距離は、L−A以上でなければならない。
(5)電流値は、定格通電電流の値で示す。
−4. 空間距離及び沿面距離は、次により決定する。(図H2.7.1-1.参照)
なお、以下においてミクロ環境条件の汚染度3とは、規則H編2.7.1-2.に示す保護状態及び周囲条件を意味する。
(1)空間距離は、裸充電部間の最短距離で決定し、ミクロ環境条件の汚染度3は規則H編表H2.10、ミクロ環境条件の汚染度1及び2はそれぞれ表H2.7.1-2.及び表H2.7.1-3.に示す値を最小とする。
(2)沿面距離は、裸充電部間にある絶縁物の表面に沿った最短距離で決定し、ミクロ環境条件の汚染度3は規則H編表H2.10、ミクロ環境条件の汚染度1及び2はそれぞれ表H2.7.1-2.及び表H2.7.1-3.に示す値を最小とする。ただし、絶縁物の表面に次のみぞが存在するものでは、そのみぞはないものとして決定する。
(a)ミクロ環境条件の汚染度3で、定格絶縁電圧が 250V以下のもの及びミクロ環境条件の汚染度2で、定格絶縁電圧が 125Vを超えるものにあっては、みぞの幅又は深さ1mm未満の場合。
(b)ミクロ環境条件の汚染度3で、定格絶縁電圧が 250Vを超えるものにあっては、みぞの幅又は深さ2mm未満の場合。
(3)前(1)及び(2)において、裸充電部間の途中に金属体があり、絶縁物が分割される場合には、次のいずれかによる。
(a)分割された絶縁物のうち、最大のものが規則H編表H2.10、表H2.7.1-2.及び表H2.7.1-3.の値以上であればよい。
(b)分割された絶縁物のうちの大きなもの二つの和が規則H編表H2.10、本要領表H2.7.1-2.及び表H2.7.1-3.の値の1.25倍以上であればよい。ただし、分割された絶縁物が、ミクロ環境条件の汚染度3で、定格絶縁電圧 250V以下のもの及びミクロ環境条件の汚染度2で定格絶縁電圧 125Vを超えるものにあっては、1mm未満、並びにミクロ環境条件の汚染度3で、定格絶縁電圧が 250Vを超えるものにあっては、2mm未満のものは除外する。
(4)前(1)及び(2)において、裸充電部間の絶縁物面にリブがある場合、その高さが次の関係にあればその沿面及び空間距離は、これを除外して決定する。
(a)ミクロ環境条件の汚染度3で定格絶縁電圧 250V以下のもの及びミクロ環境条件の汚染度2で定格絶縁電圧が 125Vを超えるものにあっては、リブの高さ1mm未満の場合。
(b)ミクロ環境条件の汚染度3で、定格絶縁電圧が 250Vを超えるものにあっては、リブの高さ2mm未満の場合。
(5)前(1)及び(2)において、充電部間にある絶縁物に他のリブをはめ込む場合、そのはめ込み部分の長さが絶縁物のみぞの深さより小さい場合には、リブのはめ込み部分に沿った最短距離で沿面距離を決定する。
(6)前(5)でリブを同一絶縁物とみられるようにはめ込んだ場合は、リブの表面に沿った最短距離で沿面距離及び空間距離を決定する。
(7)対地空間距離及び対地沿面距離は、それぞれ(1)及び(1)に準じ、最短距離で決定する。
(8)絶縁が劣化することによって、充電部となる絶縁金属体を有するものの空間距離及び沿面距離は、(3)によって決定する。







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