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1・2 第IV章 無線通信
A部 総則
第1規則 適用
1 別段の明文の規定がない限り、この章の規定は、この規則が適用されるすべての船舶、及び総トン数300トン以上の貨物船に適用する。
2 この章の規定は、船舶が北アメリカの大湖、並びにこれらに接続し及び附属する水域(カナダのケベック州モントリオールのセント・ランバート・ロックの下流側出口を東端とする)を航行する間は、その船舶が他の水域においてはこの規則の適用を受けるものであっても、その船舶1には適用しない。
3 この章の規定の適用上、
(1)「建造された船舶」とは、「キールが据え付けられている船舶、又はこれと同様の建造段階にある船舶」をいう。
(2)「同様の建造段階」とは、次を満たす段階をいう。
(2.1)特定の船舶と確認し得る建造を開始した段階。
(2.2)当該特定の船舶について、50トン又は全建造材料見積り重量の1パーセントのいずれか少ない量が組み立てられた段階。
4 すべての船舶は1993年8月1日までに、第7規則1(4)ナブテックス(NAVTEX)、及び第7規則1(6)衛星利用非常用位置指示無線標識(衛星EPIRB)の規定に適合すること。
5 4及び7の規定に従うことを条件として、主管庁は、1995年2月1日より前に建造された船舶が、次の規定を満たすことを確保すること。
(1)1992年2月1日から1999年2月1日までの間に、次のいずれかに適合すること。
(1.1)この章の適用可能なすべての要件に適合すること。
(1.2)1992年2月1日より前に有効な1974年の海上における人命の安全のための国際条約の第IV章の規定に基づいて適用されるすべての要件に適合すること。しかし、その大きさに係わりなく旅客船に対しては条約第IV章第3規則の要件に関して如何なる免除も認めない。
(2)1999年2月1日以後は、この章の規定に基づいて適用されるすべての要件に適合すること。
 
1 このような船舶は、カナダとアメリカ合衆国との間の該当する協定に含まれる安全のための無線通信に関する特別規定に従う。
 
6 1995年2月1日以後に建造される各船舶は、この章の規定に基づいて適用されるすべての要件に適合すること。
7 1997年7月1日より前に建造された旅客船は、1999年7月1日以降の最初の定期検査の日までに、第6規則4項、5項、6項及び第7規則5項の要件に適合しなければならない。
8 この章のいかなる規定も、遭難している船舶、救命用の端艇及びいかだ又は人(生存者)が、注意を喚起し、その位置を通報し、また救助を求めるために、利用できるあらゆる手段を自由に用いることを妨げるものではない。
 
第2規則 用語及び定義
1 この章の規定の適用上、次の用語は、以下に定義する意味を有する。
(1)「船橋対船橋通信」とは、船舶を通常操船する場所からなされる船舶相互間の安全通信をいう。
(2)「無休聴守」とは、その船舶の受信能力が、損傷するかまたはその船の通信によって停止されるかという短時問の中断、或は設備の定期的保守や点検のための短時間の中断を除き、中断することのない関連の無線電波の聴守をいう。
(3)「デジタル選択呼出し(DSC)」とは、国際無線通信諮問委員会(CCIR)2の勧告に従って、デジタル符号を使用して無線局が他の局又は局のグループと通信を設定し、情報を伝送することができる無線通信技術をいう。
(4)「直接印刷通信」とは、国際無線通信諮問委員会(CCIR)2の該当する勧告に適合した自動電信技術をいう。
(5)「一般無線通信」とは、無線で行われる、遭難、緊急、及び安全の通信以外の運航に関する通信及び公衆通信をいう。
(6)「インマルサット(INMARSAT)」とは、1976年9月3日に採択された国際海事衛星機構(インマルサット)に関する条約によって設立された機構をいう。
 
2 委員会の名称は、1992年ジェノバの国際遠距離通信法第1条により「ITU無線通信部門(ITU−R)」に変更した。
 
(7)「国際ナブテックス(NAVTEX)業務」とは、狭帯域直接印刷通信技術を用いた、周波数518kHzによる英語の海上安全情報の、調整された放送及びその自動受信をいう。3
(8)「ロケーティング(LOCATING)」とは、遭難している船舶、航空機、物体、又は人を発見することをいう。
(9)「海上安全情報」とは、船舶に向けて放送される航行警報、気象警報、気象予報、その他の緊急安全通報をいう。
(10)極軌道衛星業務」とは、衛星利用非常用位置指示無線標識から発信される遭難通報を受信し、中継し、かつその位置を提供する極軌道衛星を基礎とする業務をいう。
(11)「無線通信規則」とは、その時に効力を有する最新の国際電気通信条約に附属し、又は附属するとみなされる無線通信規則をいう。
(12)「A1水域」とは、DSCの遭難通報を継続して利用し得る少なくとも1のVHF海岸局の無線電話の通信範囲内であって締約政府が定める水域をいう。
(注)わが国では現在A1水域を定めていない。
(13)「A2水域」とは、A1水域を除きDSCの遭難通報を継続して利用し得る少なくとも1のMF海岸局の無線電話の通信範囲内であって締約政府が定める水域をいう。4
(14)「A3水域」とは、遭難通報を継続して利用し得る、インマルサット静止衛星の通信範囲内の水域でA1水域及びA2水域を除く水域をいう。
(15)「A4水域」とは、A1水域、A2水域及びA3水域以外の水域をいう。
(16)「海上における遭難及び安全の世界的な制度(GMDSS)の識別」とは、海上移動業務の識別、船舶信号符字、インマルサットの識別及び船舶の装備により送信され、識別のために使用される通し番号等がある。
2 この章において使用されるその他の用語及び略号であって無線通信規則及び海上捜索救援に関する国際条約(SAR)1979において定義するものは、無線通信規則及びSAR条約において定義する意味と同一の意味を有する。
 
3 IMOによって承認されたナブテックスマニュアル参照。
4 全世界的海上遭難安全システム(GMDSS)のための無線業務の提供に関する決議A.801(19)を参照すること。
 
第3規則 免除
1 締約政府は、この章の規定の要件から逸脱しないことが極めて望ましいと認めるが、主管庁は、個々の船舶に対し、第7規則から第11規則までの要件については、次を満たすことを条件として、部分的な或は条件付きの免除を許可することができる。
(1)その船が第4規則の機能要件を満たす場合。
(2)主管庁が、すべての船舶の安全のための業務についての一般的効果に対して、そのような免除が及ぼす影響を考慮した場合。
2 この規則の1の規定による免除は、次のいずれかの場合にのみ与えることができる。
(1)安全に影響を及ぼす条件が、第7規則から第11規則までの規定を全面的に適用することを不合理、又は不必要とする場合。
(2)例外的状況において、その船舶が装備している設備に対応する水域外の水域に1回限りの航海を行う場合。
(3)1999年2月1日より前であって、その船舶が、この章の要件の適用について、第1規則に規定する期日から2年以内に恒久的に業務に従事しないようになる場合。
3 主管庁は、この規則の1、及び2の規定により前暦年中に認めた免除、及びその免除を与えた理由を示す報告書を、毎年1月1日以後できる限り速やかにIMOに提出すること。
 
第4規則 機能要件
 すべての船舶は、海上にある前、次の能力を有すること。
1 第8規則1(1)、及び第10規則1(4.3)に規定する場合を除き、夫々異なる無線通信業務を利用する、少なくとも2の分離しかつ独立した手段で、船舶から陸上向けの遭難通報を送信すること。
2 陸上から船舶向けの遭難通報を受信すること。
3 船舶から船舶向けの遭難通報を送信し、受信すること。
4 捜索及び救助の調整通信を送信し、受信すること。
5 現場通信を送信し、受信すること。
6 ロケーティングのための信号5を送信し、かつ第V章第12規則(g)及び(h)の規定によって要求されるところに従って、その信号を受信すること。
7 海上安全情報を送信し、受信すること。6
8 第15規則8の規定に従って、陸上局による無線通信システム、又は通信網に向けて一般無線通信を送信し、又はそれらから一般無線通信を受信すること。
9 船橋対船橋通信を送信し、受信すること。
 
B部 締約政府の約束7
第5規則 無線通信業務の提供
1 締約政府は、実際的であり、かつ必要と認めるときはIMOの勧告8に正当な考慮を払い、地上系及び宇宙系の無線通信業務のための適切な陸上局施設を、その締約政府単独で、又は他の締約政府と協力して、利用可能にすることを約束する。これらの業務とは、次のとおりである。
(1)海上移動衛星業務における静止衛星を利用する無線通信業務。
(2)移動衛星業務における極軌道衛星を利用する無線通信業務。
(3)156MHz〜174MHzの周波数帯の海上移動業務。
(4)4,000kHz〜27,500kHzの周波数帯の海上移動業務。
(5)415kHz〜535kHzの周波数帯、及び1,605kHz〜4,000kHzの周波数帯の海上移動業務。
 
5 第15回総会で採択された9300MHz〜9500MHzの周波数帯で運用するレーダーの搭載に関する決議A.614(15)参照。
6 船舶は港内にあっても、ある種の海上安全情報を受信する必要があるということに留意すべきである。
7 (1)締約政府は必ずしも全ての無線業務を提供することを要求されない。
(2)この部の要件は、各水域をカバーするための陸上局施設について規定する。
8 全世界的海上遭難安全システム(GMDSS)のための無線業務の提供に関する決議A.801(19)を参照すること。
 
2 締約政府は、その国の沿岸の指定する海域のために設立された海上移動業務、移動衛星業務、海上移動衛星業務における陸上局施設に関しての関連情報をIMOに提供することを約束する。
第5規則−1 海上における遭難及び安全の世界的な制度の識別
1 この規則は、すべての船舶のすべての航海に適用する。
2 締約国政府は、海上における遭難及び安全の世界的な制度(GMDSS)の識別を登録し、かつ、これらの救援協力センターに24時間態勢で情報を与えることができるような適切な準備を行うことを約束する。可能であれば、これらの識別の登録を維持する国際機関は締約国政府から通告されることが望ましい。







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