(5)ケーブルの電圧降下の計算
レーダー用船内電源の入力回路などで、ケーブルの導体抵抗による電圧降下を算出する場合には、以下の計算による。特に、直流100ボルト未満の船内電源を用いるレーダーの場合、ケーブルによる電圧降下が大きく影響するので、使用するケーブル心線の断面積と布設の全長に注意が必要である。
(a)導体の抵抗は、長さに比例し、断面積に反比例する。
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(参考) |
軟銅線の抵抗率 |
=1.724×10−2≒1/58Ω・mm2/m |
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硬銅線の〃 |
=1.777×10−2≒1/55Ω・mm2/m |
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導電率〔Ω/m〕 |
=1/抵抗率〔Ω・m〕 |
(b)導体の抵抗は、温度により変化する。
銅線の場合、t(℃)の抵抗Rt(Ω)が分かっていて、T(℃)の導体抵抗RT(Ω)を求めるには次式による。
RT |
: |
T(℃)における導体抵抗 |
Rt |
: |
t(℃)における導体抵抗 |
(参考) |
JISC3410船用電線の規格表には20℃における導体抵抗値(Ω/km)が記載されているのでこれを利用すると便利である。 |
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(c)直流2線式の電圧降下
e=2×RT×l×I |
e |
: |
電圧降下量(V) |
RT |
: |
T℃におけるケーブル1m当たりの導体抵抗値(Ω/m) |
l |
: |
ケーブルの片道長さ(m) |
I |
: |
機器の始動電流又は定常電流(A) |
(d)単相交流2線式の電圧降下
e=2×I×l(RTCosθ+XSinθ) |
θ |
: |
負荷の力率角 |
X |
: |
ケーブル片道の1m当たりのリアクタンス(Ω/m) |
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=2πfL/m |
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(Lはヘンリー) |
(e)三相交流3線式の電圧降下
1線の電圧降下は単相の場合と同じである。この場合線間で考えると、2線間だから2倍と考えてはいけない。三相の場合、負荷の一相電圧に対する線間電圧は2倍とならず  倍となるため、線間の電圧降下も1線の  倍となる。
図2・20
図2・21
(6)ケーブル導入部の防水処理
(a)船用電線貫通金物(箱用)
JISF8801規格で、船内に装備される電気機械器具で、防水を必要とする箱用の電線貫通金物について規定している。(図2・22参照)
型式にはA形(箱にナット締めするもの)、B形(箱と一体成形するもの)及びC形(箱に溶接又はろう付けするもの)がある。呼び寸法は、10から70までの13種で、同一呼び寸法の中にゴムガスケットと座金の内径によって、a、b、c、fの種類があり、装備ケーブルのシース外径に適合したものを使用する。
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図2・22 船用電線貫通金物(箱用)
商品番号 |
商品名 |
個数 |
材料 |
1a |
締付グランド |
各1 |
黄銅又はJIS H 5202のAC7A−F |
1b |
黄銅若しくはJIS H 5202のAC7A−F、又はJIS F 0701の等級01−25−33−42−51−64−72−82による合成樹脂 |
2a |
A |
体 |
各1 |
黄銅、鋳鉄、棒鋼又はJIS H 5202のAC7A−F |
AB |
JIS F 0701の等級の01−25−33−42−51−64−72−82による合成樹脂 |
2b |
B |
黄銅、鋳鉄、棒鋼又はJIS H 5202のAC7A−F |
BM |
個別規格による。 |
2c |
黄銅、鋳鉄、棒鋼又はJIS H 5202のAC7A−F |
3 |
ナット |
1 |
黄銅若しくはJIS H 5202のAC7A−F、又はJIS F 0701の等級01−25−33−42−51−64−72−82による合成樹脂 |
4 |
座金 |
2 |
黄銅、鋳鉄又はJIS H 4000のA5052P |
5 |
ガスケット |
1 |
合成ゴム |
6 |
ガスケット |
1 |
張合せ帆布又は品質が同等以上のもの |
7 |
ブラインドガスケット |
1 |
合成ゴム |
8 |
ブラインドリッド |
1 |
鋼板又はJIS H 4000のA5052P |
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製品の呼び方
(b)船用隔壁・甲板用電線貫通金物
JISF8802規格により、ケーブルが防水隔壁や防水甲板を貫通するところに使用する電線貫通金物について規定されており、D形(2種類の鋼管で構成したもの、図2・24)とS形(1種類の鋼管で構成したもの、図2・25)があって、体を船体側に溶接して用いられる。
図2・23
備考:1
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甲板貫通用の場合、L寸法は200mm以上(IEC推奨値)が望ましい。
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2
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体の全長 寸法は、JISF8802では90、115又は300mmがある。
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