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(11)給電操作方法による分類
(a)単独運転用発電機
(b)並行運転用発電機
 並行運転用発電機は単独運転に使用しても差支えない。
 2台以上の発電機を安定に並行運転させるには次の条件を満足させることが必要である。
(i)発電機に必要な条件
(イ)電圧の大きさが等しいこと。
(ロ)電圧の周波数が等しいこと。
(ハ)電圧の位相が等しいこと。
(ii)原動機に必要な条件
 両機の速度特性が垂下特性であること。
 なお、並行運転用発電機には次の点に考慮がなされている。
(i)界磁に制動巻線が施されている。
 並行運転中の発電機はエンジンによる脈動トルクや負荷の急変による電力の乱調が起り易いのでこれを防ぐため割動巻線を設けてある。
(ii)横流補償装置付である。
 並行運転時に両発電機の内部に発生する電圧(起電力又は内部電圧ともいう。)に差があると、横流れと称する無効循環電流が流れる。この電流と電圧の関係を分り易いように図(ベクトル図という。)で示すと図2.9のようになる。即ちA機がEA、B機がEBの内部電圧を発生していて、EAの方が図のようにEBより大きいと、その差(EA−EB)によって図中のIcで示すような無効電流が両発電機間に流れる。この電流は発電機が発生する交流電圧の時間的変化によって生じる山と谷の関係が図2.10のようにずれた位相(電圧EAが最大の時、電流Icは零)で、横流という電流が流れる。
 
図2.9 横流と電圧のベクトル図
図2.10 電圧に対する横流の波形位相
 
 この電流を無効電流といい有効な負荷電流(発電機にブレーキをかけるように働く電流)とはならないが、放置すると電機子に過電流が流れ過熱の原因となり、気中遮断器(ACB)が遮断動作し並行運転が不能となる。これを防ぐには横流が流れた時、内部電圧の高い方を下げ、低い方を上げるように働く横流補償装置が必要である。横流補償装置には次のものがある。
(イ)均圧線横流補償式
 両発電機の界磁巻線間を均圧線で結んだもの。
(ロ)変流器横流補償式
 発電機の出力回路に横流補償用変流器を設け、その二次出力を自動電圧調整器(AVR)又は自励調整装置の電圧検出回路に挿入した横流補償抵抗器に加えるようにしたもので普通一般に用いられる。
 (イ)は次のような性質がある。
(i)異容量機種の並行運転には適さない。
(ii)並列投入直後は並列開放直前のように一方が無負荷、他方が負荷状態のとき横流は流れるがACBを動作させるようなことはない。
(iii)AVRが無く電圧特性の悪い発電機でも採用可能であり、また、両機にかなり電圧差があっても並列投入は可能。
〔参考〕無効循環電流が及ぼす発電機の皮相電力の不平衡について、NK規則では次の通り規定している。
 交流発電機を並行運転する場合、ほぼ定格力率において運転したとき、各機の皮相電力の不平衡は、有効電力を平衡させた状態において、各機の定格出力による比例配分の負荷と各機の出力の差がそれぞれ最大機の皮相電力の5%を超えることなく運転できなければならない。
 
(1)漸変電圧変動特性
発電機は負荷を徐々に変化させると電圧は変化する。
 定格力率で無負荷と全負荷の間において負荷を変化させたとき整定電圧の許容変動幅は定格電圧に対し次の通り定められている。
船舶設備規程(第200条) 4%以内 (電圧調整器を備えつけてないものはこのかぎりでない。)
NK規則 ±2.5%以内 (非常用発電機は±3.5%以内)
JEM (非常用発電機は±3.5%以内)
 
(2)瞬時電圧変動特性
 発電機に誘導電動機を投入すると大きな突入電流が流れて発電機の電圧は瞬時降下する。JEM1274−97(船用交流発電機)では発電機瞬時電圧特性を次のように区分している。
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図2.11 誘導電動機始動負荷投入時の交流発電機電圧の時間的変化







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