1・5 性能
機器の定格は、特に指定がなければ連続定格とする。短時間定格を指定する場合は次のいずれかとする。
1時間定格、30分定格、15分定格
機器は機械的、電気的に損失が少なく効率がよいものとする。また、規格仕様書に規定された効率の値の範囲内で、さしつかえない範囲で寸法、重量を節約すること。
(1)絶縁抵抗
機器の異極導体相互間及び導体と大地間の絶縁抵抗は500〔V〕絶縁抵抗計で測定し次に示す値以上が望ましい。
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(b)配電盤類・・・1〔MΩ〕
(c)区電箱、分電箱、通信器、灯具等の小型器具及び部品・・・20〜50〔MΩ〕
(2)耐電圧
(a)回転機
回転機に対する試験電圧を次に示す。
船舶設備規程(第195条 第11号表)
機器の部分 |
試験電圧(ボルト) |
直流機及び交流機の電気子巻線 |
1キロワット以上のもの2E+1000(ただし、最低1500) 1キロワット未満のもの
定格電圧が50ボルト未満のものは500、定格電圧が50ボルト以上250ボルト未満のものは1000、250ボルト以上のものは2E+500 |
直流機界磁巻線 |
電動機として起動しない同期機の界磁巻線 |
10Ex(ただし、最低1500) |
電動機として起動する同期機の界磁巻線 |
界磁巻線を短絡して起動するもの |
10Ex(ただし、最低1500) |
界磁巻線を開いて起動するもの |
2Ei+1000 |
絶縁した起動用回転子巻線 |
2Ei+1000 |
誘導機一次巻線 |
1キロワット未満のもの2E+500(ただし、最低1000)1キロワット以上のもの2E+1000(ただし、最低1500) |
巻線形誘導機二次巻線 |
2Es+1000(ただし、最低1200) |
備考 |
(1)Eは主機定格電圧とする。 |
(2)Exは励磁機定格電圧とする。 |
(3)Eiは回転子を静止させ、起動電圧を電機子巻線に加えた場合の界磁巻線又は起動用回転子巻線の端子間に生ずる誘起電圧とする。ただし、界磁巻線又は起動用回転子巻線に高抵抗を接続して起動する場合には、その状態における端子電圧とする。 |
(4)Esは、二次巻線端子の最大誘起電圧とする。 |
(5)電動機として起動する界磁巻線であって、これを短絡して起動するもののうち、その界磁短絡用抵抗値が界磁巻線抵抗値の10倍をこえるものについては、これを界磁巻線を開いて起動するものとみなす。 |
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(b)配電盤
配電盤の耐電圧試験は、すべての開閉装置及び制御装置の導電部を接続したものと大地間、及び各極又は各相の導電部間に商用周波数の次の電圧を1分間加えて行い、これに耐えなければならない。なお、耐電圧試験中は、計器及び補助器具を取外すことができる。
定格電圧が60V以下のもの |
: |
500V |
定格電圧が60Vを超えるもの |
: |
1000V+2倍の定格 |
電圧(最小1500V) |
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機器の各部分に対し許容される温度上昇は船舶設備関係法令及び規則にて示す値を超えないものとする。
(2)区電箱、分電箱など配線器具内の母線定格電流は、その母線から分岐する回路の保護装置定格電流の総和に利用率を乗じたものとする。なお、利用率はそのつど規定するものとする。
注:区電箱、分電箱の利用率は普通80〔%〕としている。
電源の電圧及び周波数の変動に対し電力消費機器は特に指定される場合を除き、次に示す性能をもっていること。
(1)発電機から給電される機器
NK鋼船規則H編2.1.2−3において、主及び非常配電盤から供給される電気機器は通常起こる電圧及び周波数の変動もとで支障なく動作するように設計及び製作されなければならない。特に明記される場合を除き、電気機器は、表H2.1に示す電圧及び周波数の変動のもとで支障なく動作するものでなければならない。表に示す変動のもとでは十分な動作ができないもの(電子回路等)には、安定電源装置を通して給電されなければならない。なお、表H2.1は蓄電池系統の電気機器には、適用しない。
また、交流電動機の定常時の電圧及び周波数は同時に変動することを考慮するものとし、この場合の変動は、それぞれの変化百分率の絶対値の和が10%以内とすること。なお、電圧及び周波数の変動の限界は、それぞれの最大幅とする。
電圧及び周波数の変動(NK鋼船規則H編・表H2.1)
変動の種類 |
変動 |
定常時 |
過渡時 |
電圧 |
+6%、−10% |
±20%(1.5秒) |
周波数 |
±5% |
±10%(5秒) |
(備考)表の数値(時間は除く)は、定格値に対する百分率で示す。 |
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(2)電池から給電される機器
24〔V〕電池から給電される機器は28〜18〔V〕に電圧が変動しても実用上支障のないこと。
NK鋼船規則H編3.3.3の(2)において、非常電源装置が蓄電池の場合は、蓄電池の公称電圧の±12%以内(公称電圧が24Vの場合、約27V〜21V)に電圧を維持することと規定されているが、電気機器の許容電圧変動についての規定はない。なお、船舶設備規程には、これらについての規程はない。
JISFの直流電気機器(ベル、ブザー等)では、動作電圧22Vのものは、+20%及び−15%の電圧(26.4V〜18.7V)で機能に異常がないことと規定されている。
電路開閉用のスイッチ、接点などは、それぞれ機器の用途に相応した開閉容量及び寿命をもち、有害な火花を発生しないものとする。
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