12.2 光ファイバケーブルの端末処理
光ファイバケーブルの布設後、端末処理を行う。
一般ケーブルの端末処理及び接続方法については、JIS F 8071−86(低電圧電力系統用ケーブルの選択及び敷設)や船級協会の規定があり、光ファイバケーブルについても、これらに準拠するが、一般ケーブルとは大きく異なる部分もあるので、注意を要する。端末処理や接続に使用する工具には、多様なものがあり、必ずしも専用キットとして付属されているものが使いやすいとは限らないので、新規に改良されたものなどを含め、多くのものを試してみて、自分に合ったものを選択する必要がある。
融着接続器を含め、専用工具類の扱いについて、あらかじめ習熟しておくことが重要である。外被をはぐ専用カッターなども、初めてのときには、力の入れ加減などが分からないことが多い。特に、折れやすい心線の扱いには、ある程度の慣れが必要である。
(1)端末処理作業を行うときの一般的な注意など
(a)光ファイバコードは汚れやほこりを嫌うので、作業現場の整理・整頓・清掃を事前に行っておく。
(b)光ファイバコードの取り回し、接続機器、工具類は、あらかじめ効率よく使用できるように、配置や並べ方を工夫しておくとよい。コネクタ部品なども、組立てる順番に、最初から小分けしておくと作業がはかどる。
(c)作業に入る前に工具をよく点検整備しておく。
(d)マニュアルを熟読し、事前に作業工程を頭の中に入れておく。
(e)作業に当たっては、二人で行った方が簡単でやりやすく、丁寧な作業ができ、しかも時間が大幅に節約できる。
(f)光ファイバコードの端末処理を行うときの時的な許容曲げ半径は、全プラスチックファイバの場合は10mm以上とする。
(g)光ファイバケーブルを切断したときの端末は、防水及び防湿のためにPVCキャップやPVCテープなどで処理し、結線時まで外さないように注意する。
(2)ケーブルの固定
(a)ケーブルは接続を行う箱の入口部分で完全に固定し、ケーブルの重さや曲げ応力によるテンションがファイバコードにかからないようにする。
(b)あじろがい装とシースは、接続を行う箱の入口の固定位置から先をはぎ取り、コードとテンションメンバだけを露出させる。
(c)あじろがい装のないケーブルの場合は、テンションメンバを必ず固定する。固定する位置は、ケーブルの進入方向と同一の直線上とする。
(d)ファイバコードは、端末処理後の余長をループにして、接続を行う箱の中に固定する。このとき、コードが振動したりテンションがコネクタや接続部分などにかかることのないように、固定されていることを確かめる。ループの直径は60mm以上のできるだけ大きいループとするのがよい。また、ファイバコードを固定するため専用のクランプやバインド材料が販売されているので、これを利用するとよい。
光コネクタには多くの種類があり、メーカーやタイプによって接続要領や使用工具、材料に違いがある。
ここではコネクタ接続工事の実際として、全プラスチックマルチモード光ファイバの例を紹介する。
(1)使用工具及び材料
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(a) |
ストリッパ・カッタ MODEL TSC 100 |
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(b) |
圧着工具 MODEL TCT 100 |
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(c) |
接着液(2液混合エポキシ系)(省略可) |
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(d) |
光コネクタ |
プラグ |
MBO−PH−001 |
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レセプタクル |
MBO−RB−001 |
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又は |
プラグ |
DNP−228087−1 |
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デバイスブッシング |
DNP−228043−1 |
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(e) |
ターミネータ |
MODEL THP 100 |
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仕様 |
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使用電源 |
AC100V 50/60Hz |
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消費電力 |
20W |
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熱板 |
特殊フェロタイプ |
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熱板温度 |
120℃〜160℃ |
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熱板温度調整 |
バイメタル方式(可変型) |
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処理時間 |
加熱:4〜10秒、冷却:5〜10秒 |
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外形寸法 |
φ76×60H |
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重量(本体) |
300g |
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型式認可番号 |
 81−12264 |
(2)ターミネータの使用上の注意
(a)振動や衝撃を与えるとヒータの断線や、駆動部の破損原因となる。
(b)約10分間予熱する。
(c)水平の状態で使用する。
(d)電源コードを接続した状態で長時間放置すると、レバーを押さなくても部分的に約50℃以上になる場合がある。直接手で触れる場合は注意すること。
(e)熱板の汚れを除去する必要がある場合は、電源コードを接続する前にアルコールを浸したガーゼなどでふき取る。
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図12.1 ターミネータ及び熱板の温度特性
(f)温度調整用トリマー(バイメタル)は標準状態に調整してあるので、特別な事情がない限り触れないようにすること。設定温度を変更する場合は、(検)ラベルをはがして調整(左回し−温度弱、右回し−温度強)する。
(g)熱板は短時間に加熱・冷却を行わせるので非常に薄い構造になっている。したがって、余り強く押付けると変形することがあるので注意する。
(h)レバーは静かに戻すようにする。
(i)熱板は傷が付かないように、注意して保管する。
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