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4・5 電熱器類
 
4・5・1 加熱器
 機関用の潤滑油及び燃料油を加熱するために、シーズヒータ即ち、コイル状の発熱源を通常軟鋼管内に納め、また、熱伝導率がよく、高温で絶縁性のあるマグネシアを挿入し、固めたものを使用する。また、自動温度調節器と併用する加熱温度は潤滑油で40〜60℃、燃料油でA重油40〜60℃、B重油で60〜80℃、C重油で80〜95℃が通常である。
 
4・5・2 電気レンジ(electric range)
 電気レンジには魚焼き、フライ、てんぷら、いため料理、焼肉など直接熱を利用するため、高圧式と低圧式の2種類がある。容量は15〜25名の調理用で魚焼器、ホットプレート、オーブン等を合せて22kW位になる。
 
4・5・3 電気オーブン(electric oven)
 焼き物、蒸し物又はパン菓子焼の調理に使用する。容量は20〜30名用でオーブン、発酵室等を合せて、6kW位になる。
 
4・5・4 電気暖房器
 
 スチーム暖房ができない室内に使用され、容量は1〜3kW程度である。
4・5・5 その他の電熱器
 電気フライヤ4〜12kW、電気コーヒーポット1〜3kW、電気湯沸器1〜3kW、ホットプレート1〜2kW、保温器1.5kW等である。
 
4・5・6 電気溶接機
 アーク溶接機で、移動形が多く、電源は交流又は直流を使用する。溶接棒径と電流範囲は次の関係がある。
 
棒径〔mm〕 32 4 5 6
電流範囲〔A〕 100〜140 160〜200 220〜260 280〜320
 
4・6 照明器具、船灯、信号灯、その他
 
4・6・1 光源
(1)白熱電球
 タングステンフィラメントを有する電球である。
 
(2)蛍光灯
 放電灯の一種で、低圧水銀蒸気中のアーク放電によって発生する紫外線を、放電管内面に塗布した蛍光物質により可視光線に変え、放電自身の発する可視光線とともに利用する光源である。蛍光ランプにはJISC 7601−97蛍光ランプ(一般照明用)の規格があり、安定器はJISF 8431−00(船用蛍光灯安定器)の規格がある。蛍光灯の点灯方式には、予熱始動形、ラピッドスタート形(rapid start type)等がある。通常はグロースタータ(glow (switch)starter)を使用する予熱始動形のものが多く使用される。ラピッドスタート形のものは安定器にフィラメント加熱用巻線を設けて、常にフィラメントを加熱するようにしたもので、1秒前後に多数の蛍光灯を点灯できる利点がある。
 
(3)その他
 高圧水銀ランプ、ナトリウムランプ、キセノンランプ等が船に利用されている。高圧水銀ランプはJISC 7604−99(高圧水銀ランプ)として規格化され、また、低圧ナトリウムランプはJISC 7610−91(低圧ナトリウムランプ)として規格化されている。何れも暴露甲板照明に使用されている。また、探照灯には白熱電球の代わりにキセノンランプが利用されている。
 
4・6・2 照明器具
 公室等の装飾を兼ねた照明器具以外のものは殆ど船用照明器具として規格化がなされているので、これらが使用されている。これを分類すれば次のようになるが詳細は規格を参照のこと。
 
分類 内容
外被の保護形式による分類 非防水形、防水形、防爆形等がある。グローブ付、グローブ無し、ガード(金網類)付、ガード無しがある。 倉庫等損傷を受け易い場所に装備する場合はガード付を、電池室など爆発性ガス発生の危険場所には防爆形を用いる。
形状による分類 天井取付形、隔壁取付形、支柱取付形、吊下げ形、移動形がある。
光源による分類 白熱灯、蛍光灯、水銀灯がある。蛍光灯は居室、船内通路など主として防水を必要としない場所に、水銀灯は暴露甲板等に用いられる。
用途による分類 一般照明電灯(天井灯、作業灯、隔壁灯、カーゴランプ、ボートデッキランプ、表示灯等) 特殊照明電灯(防爆形天井灯、キセノン灯式探照灯、等)
電源による分類 常用等、予備灯、非常灯、非常表示灯がある。非常灯等は常用灯電源が停止の際、自動的に非常電源から給電できるようにする。
 
4・6・3 船灯
 海上人命安全条約、船舶安全法、海上衝突予防法により装備するもので次の種類がある。
 
船灯 マスト灯、げん灯、両色灯、船尾灯、白灯、紅灯、緑灯、紅色閃光灯、緑色閃光灯、黄色閃光灯、引船灯、三色灯〔緑色、白色及び紅色の船灯〕
 
 マスト灯、げん灯、船尾灯はいずれも点灯状態を表示し、電球の断線を警報する航海灯表示器(ただし、小型船は警報不要)を設けている。
 灯具には1重式と2重式があるが、2重式(電気式)はマスト灯、げん灯、船尾灯等の航海灯について、一般船舶では、遠洋区域又は近海区域を航行区域とする船舶に適用され(船舶設備規程第271条2項)、また、漁船では総トン数500トン以上の漁船に適用される(漁船特殊規程第66条)。
 
4・6・4 信号灯、その他
 信号灯としては、昼間信号灯、JISF 8456−96(船用携帯形昼間信号灯)で規格化している携帯形昼間信号灯及びモールス信号灯がある。また、スエズ運河航行規則によるスエズ運河信号灯及びスエズ運河探照灯などがある。その他検疫灯、プロペラ注意灯、球形船首注意灯、警戒灯、危険物積載船標識灯、巨大船標識灯、操舵目標灯、非常標識(船設規)等がある。
 
4・7 船内通信及び警報装置
 
4・7・1 船内通信機器
 船内の各種情報の伝達及び交換を行うものに、次のように分類される。
 
分類  機器(例)
伝達方法による分類 感覚による分類 構造による分類
(A)拡声器のように命令、呼出、警報、応答、通報など片道的意志の伝達 (B)電話器のように命令、応答、用件、打合せ等相互意志の伝送         視覚によるもの    ランプ式 エンジンテレグラフ
電磁式 呼び鈴表示器
シンクロ電磁式 ラダーアングルインジケータ エンジンテレグラフ
電子式 監視用テレビ
聴覚によるもの   発音式 ベル、ブザー、サイレン、ホーン、霧中信号
通話式 電話、拡声指令器
無線式 電信、電話、ラジオ
視覚、聴覚によるもの  ランプ式、発音式 ランプ付ベル、ランプ付ブザー
電子式 テレビ
注:1 エンジンテレグラフ
  シンクロ電機式とランプ式とがある。主機関の前後進に対して用意、微速、低速、半速、全速等を発信器(例:操舵室)から受信器(例:機関室)に伝達する。
  ランプ式は主機関遠隔操縦装置故障の際の非常用として用いる場合もある。
 
4・7・2 火災探知装置(詳細は船舶消防規則を参照のこと。)
(1)自動火災探知装置
 自動的に火災を早期発見し、警報を発する装置であって、その探知機によって、次のように分類されている。
(i)熱式(定温式スポット型、補償式スポット型)、(ii)イオン式、(iii)光電式等
 
(2)手動火災警報装置
 火災発見者は、所要個所に設けてある、専用の押しボタンを押して、船橋又は消火ステーションへ火災警報をすることができる装置である。
4・8 計測・制御装置
 
4・8・1 電気式ラダー・アングル・インジケーター(船設規:舵角指示器)
 かじの角度と方向とを遠隔的に指示する装置。
 
4・8・2 電気式プロペラ軸回転計
 プロペラ軸の毎分回転数及び回転方向を指示する計器。
 
4・8・3 回転方向指示器
 原動機軸等の回転及び回転方向に同期して回る指示器。
 
4・8・4 風向風速計
 風の方向及び水平方向の風の速度を測定する計器。
 
4・8・5 電気抵抗式温度計
 金属の電気抵抗は温度が上がれば増加する(その逆もあり。)性質を利用して温度計としたもので、使用温度範囲は−200〜850℃である。測温抵抗体は普通白金で、正の温度係数をもっているが、負の温度係数をもっているサーミスタを使用する場合もある。
 
4・8・6 熱電対式温度計
 クロメル−アルメル又は白金−白金ロジウムなどの二種の異種金属線の一端を突き合わせ、その部分に温度をかければ他端に熱起電力を発生する性質を利用したもので、使用温度範囲はクロメル−アルメルで350−1000℃、白金−白金ロジウムで600〜1400℃位である。
 
4・8・7 流量計
 流体の容積又は容量を直接測定する方法と流れの割合を測定する方法とがある。種類としてはオリフィス差圧式、電磁流量式、熱線流量式等がある。
 
4・8・8 液面計
 一般には浮子式(フロート式)が多い。即ちタンク内の液面の上下動を浮子の上下動に変換して、これを電気的にとり出す方法である。このほかに静電容量式や超音波を利用して、液面との反射往復時間から液面の高さを測定する超音波液面計がある。
 
4・8・9 電気式検塩計
 復水器の冷却水として海水を使用しているので、給水管に漏れがあれば、ボイラに塩分が入る恐れがある。従って、密閉されたボイラに給水中塩分が入らないように監視する必要があり、電気式検塩計を使用する。
 
4・8・10 スモーク インジケータ(smoke indicator)
 ボイラの煙の色又は濃度を光度の変化を利用して測定する装置である。
 
4・8・11 電気式喫水計
 船首、船尾の喫水量を指示するとともに、平均喫水量や排水量等を計測する装置である。これには静電容量を利用したもの、また、電気式の水圧を指示するもの等がある。







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