日本財団 図書館


(4)2サイクルディーゼル機関の動作
 
(A)Scavenging 掃除・吸気
(B)Compression 圧縮
(C)Working 燃焼
(D)Exhaust 排気
図3・4 2サイクルディーゼル機関
 
 
 図3・4のとおり、(A)の第1ストロークのはじめに近い位置から第2ストロークのはじめにおいてピストンが上昇するとき、シリンダ頭の空気入口弁が開いて、また、シリンダ壁にある排気口も開いたままであるので、新鮮な空気がシリンダ内に入り、シリンダ内の燃焼ガスが同時に排除される。空気入口弁からの新鮮な空気は大気圧より僅かに高い圧力の空気である。次に(B)のように第1ストロークの後半になると排気口は閉じて、また、空気入口弁も閉じているので、この間に空気が圧縮され、シリンダ内の空気は高圧と高熱になる。(C)のように第2ストロークの終りにおいて燃料の噴射が行われ、その燃焼・膨張によって動力が発生する。次に(D)のように、第3ストロークの終りに近づくにつれ、排気口が開くので、シリンダ内の燃焼ガスは、急に大気中に放出される。排気口がある程度まで開いたところで、シリンダ頭の空気入口弁が開いて新鮮な空気を送り、燃焼ガスの排除を助ける。これで1回転2ストロークで完了するので2サイクルディーゼル機関という。この行程が繰返されてエネルギーをクランクシャフトに伝える。出力は1シリンダあたり、6,000PS位が最大である。
 なお、現在では、ポート掃気、弁排気型である「ユニフロー掃気方式」が主として採用されている。排気弁があるため、構造は複雑となる掃気効率が高く、過給機関にも有利である。図3・5にB&Wの例を示す。
 
図3・5 B&W機関の例
 
 
(5)過給機(Super Charger)
 ディーゼル機関の付属として、過給機があげられるが、これは最大限に空気をシリンダー内に送り燃焼効果を高めまた燃料の消費を少なくするためのものである。今日では4サイクル機関は勿論のこと、2サイクル・ターボ過給機関ができている。過給機は機械駆動によるものと機関の排気を利用して、排気タービンを回し、これに直結したブロワーで空気を送るものとがある。その目的は前に述べたとおり燃焼効率を良くするためであり、シリンダ当りの出力の増大、燃料の消費量が減少し、出力当りの機関重量の軽減となる利点があげられる。
 
(6)調速機(governor、speed governor)
 機関の負荷の変動に応じて、燃料の量を適当に加減して回転数を所定の速度に自動的に保つ装置であって、機関には必らず装備されている。殊に発電機用原動機、タービンなどは精巧なものが要求される。
 これには遠心式、空気式、油圧式電子式等多くの種類がある。
 図3・6は遠心式の原理図であって、回転軸に取付けた重錘が、ばねの力に抗して回転速度の増減に応じ遠心力により開き又は閉じる力を利用して、燃料弁を作動させ燃料の量(蒸気タービンの場合は蒸気量)を加減して、回転速度を加減するものである。ばね力を調節して回転速度を調節することもできる。また、最高(及び最低)回転速度のみを制御する非常調速機もある。
 
図3・6 ガバナ原理図







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION