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5. MARPOL73/78附属書IIの見直し(議題5関連)
(1)プレナリーでの議論
 ESPH議長のオランダより附属書IIの改定案(BLG8/5)について説明があった。またノルウェーからはBLG8/5/1 BLG8/5/2について提案説明がありそれに対しオランダはエディトリアルな提案でないのでプレナリーで議論するよう要請があった。BLG8/5/1のケミカルタンカーの定義変更については日本からは実質的な影響がある可能性を考慮し注意深く検討するよう要請した。パナマはMARPOLとSOLAS条約の整合も重要であり、日本の指摘を考慮して検討するよう発言があった。これに対しノルウェーは単純なエディトリアルな提案である旨発言した。議長は非常に注意深く検討するようWGに検討を指示した。
 日本からはINF2の紹介を行い、rule10によるFをYではなくZとすること、rule12の物質は無害としAppendix IIIを残すこと、Residueの定義を変更することを主とした文書をMEPC49に提出する予定であることを表明した。なお分類方法の変更に関しパナマから植物油に関するデータが提供されてないと発言があり、事務局からインパクトに関するデータと物性に関するデータがあり物性のデータについてはすでにMEPCでも要請しているが効果はなかったとの返答であった。オランダ、IPTA、パナマはさらなる要請を求めたが、フィリピン、アメリカはデータ収集の困難さを指摘した。
 
(2)WGでの議論
ケミカルタンカーの定義
 ノルウェーより提案のあったケミカルタンカーの定義については、SOLAS条約上のケミカルタンカーの定義と区別するため“NLS Tanker(Noxious Liquid Substancesをばら積みで運送するために建造又は改造された船)”とすることで合意された。この合意に従い、附属書IIにおいて明確にSOLAS上のタンカーと区別する必要がある部分は“NLS Tanker”に変更された。
附属書II案の修正
 またUnified Interpretationについては今回の改正で附属書IIに取込まれた部分は削除することとしUnified Interpretationを見直した。その他ノルウェー提案(BLG 8/5/2)を考慮の上、エディトリアルな文章修正を行った。なお附属書IIの最終改正案(3分類及び5分類)は今回の見直しに従って事務局が準備することとなる。
ESPH作業部会の今後の作業計画
 事務局が用意した次回会合議題案の検討を行った。本案が承認されれば次回会合では植物油のディープタンクでの運送に関するガイドライン案(特定の要件の免除等)の検討が行われることとなる。
 
(3)プレナリーでのレポートの審議
 WGの報告書は特段の審議はなく承認された。
 
6. 化学品の安全性及び汚染危険性の評価(議題6関連)
(1)プレナリーでの議論
ESPH8のレポート
 BLG8/6に関しESPH8の議長国オランダよりWGの報告があった。報告に対する一般的なコメントとして米国は植物油の受入設備の問題を指摘、マレーシアがそれを支持した。受入設備の実態データについての英国からの質問に対し、米国は自国の調査であると述べた。パナマも問題を指摘すると同時に、影響を評価をする上での必要なデータが不足していることを強調した。またパナマは残渣はリサイクルのうえ、原料としても使用可能と述べた。また三国間協議物質のIMOに対する通知を90日から30日にすることも了承された。ドキュメントに関しては日本はウォーターテストがなぜ必要かと質問しオランダは検査する場合の参考のためと回答した。
 上記検討の後、ESPH8のレポートは承認された。
BLG 8/6/2
 BLG8/6/2 について韓国が提案理由を説明し、3分類システムでは既存船に大きな影響があり、5000t以下の現存船には適用すべきでないと述べた。パナマからどのような物質が影響を受けるのかと質問があったが議長はこのペーパーについての議論はMEPC49で行うことを指示した。
ジメチルエーテル
 ジメチルエーテルの運送要件に関する提案BLG 8/6/1及びBLG 8/6/3は特段の検討は行われずWGにて審議されることとなった。
 
(2)WGでの審議
ジメチルエーテルの運送要件
 ノルウェー及びイラン提案に基づきジメチルエーテルの運送要件が検討された。同提案は科学的純品のデータを基に設定されているが、実際に運送される物質はある程度の不純物を含んでいるためその含有率によっては他の危険性(過酸化物の生成等)を有する場合があることが指摘された。さらに毒性ガスの検出に関し、同物質の毒性値はジエチルエーテルに比較して低いといえるが、蒸気圧が高いため毒性ガス検知器の備え付けが必要となるとの指摘があった。これら検討の結果、本件は次回ESPHの中間会合にて更に検討を行うことで合意された。
二酸化炭素の運送要件
 ESPH8にて合意された二酸化炭素の運送要件について、ガス検知要件に関するerrorの修正が行われた。
 
(3)プレナリーでのレポートの審議
 WGの報告書は特段の審議はなく承認された。
 また植物油に関してはオランダがBLG小委員会としてGESAMP EHS WGに仮査定を行うよう要請することを提案し、ノルウェー、ドイツ、日本、バハマ、パナマが賛成し了承された。
 
7. IBCコード及びIGCコードの電気設備に関する規定の改正(議題7関連)
 DE46の結果(BLG 8/2/3)、IBC及びIGCコード中のパラ10.2の引用個所(BLG8/7)及びBLG 7の報告書(BLG 7/15、annex 7)を基に本件の検討が行われた。プレナリーでの簡単な審議の結果、直前に開催されたDE46で合意されたSOLAS II−1章の改正案を基に事務局がIBC及びIGCコードの改正案を準備することとなった。その後事務局案(BLG 8/WP.5)の審議が行われ特段の議論はなく合意され、MSCに送られることとなった。
 
8. FPSOs及びFSUsに対するMARPOL附属書I要件の適用(議題8関連)
(1)プレナリーでの審議
(イ)CGからの報告(BLG8/8)
 CGのコーディネーターである豪州より、CGでの検討結果がBLG8/8に基づき報告された。一般的なコメントとして、我が国から既存のFPSOs及びFSUsに対し本件は非適用であることを確認した。
 審議は、CGで作成したMEPCサーキューラー案(BLG8/8、Annex 1)、MARPOL附属書I第21規則の改定案(BLG8/8、Annex 2)、Form C(BLG8/8、Annex 3)、MARPOL附属書I統一解釈の改定案(BLG8/8、Annex 4)毎に進められた。
(a)MEPCサーキューラー案:FPSOs及びFSUsへのMARPOL附属書Iの適用に関する指針(BLG8/8、Annex 1)
 FPSOs及びFSUsには、目的により、いろいろなタイプが存在することは周知のことである。我が国から、これに関連して、海中への油及び油混合物の排出をしないもの(全て陸揚げする)ものについては、排出に係わる設備要件を考慮すべきであると発言し、議場の理解を得た。詳細についてはWGにて審議することとした。
(b)MARPOL附属書I第21規則の改定案(BLG8/8、Annex 2)
 固定型及び浮遊型プラットフォームの特別要件の改定案について、一般的なコメントがされた。豪州からは、現行のままでもかまわない、パナマ及びノルウェーからは、必要に応じて変えていくべきとのコメントがなされた。詳細についてはWGにて審議することとした。
(c)Form C(BLG8/8、Annex 3)
 IOPPのSupplementとしてRECORD OF CONSTRUCTION AND EQUIPMENT FOR FPSOs AND FSOs (FORM C)について、一般的なコメントが集められた。パナマ、豪州からは、本指針はRecommendationであるが、証書を持たせて、検査時に検証すべきであると発言があった。
(d)MARPOL附属書I統一解釈の改定案(BLG8/8、Annex 4)
 コメントは無かった。
 事務局より、本件の適用、21規則の改定案について、本文中に指針を引用していることについて不適切ではないか、また、Form C(非強制である)の位置付けをどうするかという問いかけがあった。これに対し豪州は、やはり何らか本船上に持たせるべきであるとコメントしたが、事務局は、豪州のコメントは理解するものの、FPSOsやFSUsには、強制のIOPP証書は持ち得ず、無いものにSupplementのForm Cは、おかしいとコメントした。
 議長より、IOPP証書のSupplementとせず、MEPCサーキュラーの要件とし、脚注にMARPOL Annex Iに入れるコメントがあった。
 我が国は、再度、海中に排出しないFPSOs及びFSUsについて、適用規則を考慮すべきと発言した。豪州から、あくまでもAnnex Iでカバーできる範囲で適用すべきである、またバハマより、FPSOs及びFSUs等の定義が必要であり、それらのタイプの考慮も必要であるとの発言があり、リベリアが支持した。
(ロ)FSUsに油タンカーを使用した際の増大腐食(BLG8/8/1、ドイツ)
 ドイツから、上記の提案文書について説明があった。古い油タンカーをFSUs等に使用すると、腐食の進行が早く、非常に危険であるという内容である。これに関し、バハマは、昨年のプレステージ事故のような惨事が今後起こらないように、十分注意しなければならなく、特にFSUs等は、PSCの海域内に置かれることが多く、リスクが多いことをコメントした。
 議長から、本提案の内容は、この議題にそぐわなく、どう扱うかフロア対しコメントを求め、パナマ、蘭、リベリアから、MEPCサーキュラー案の作成に充分考慮すべきと発言があり、ブラジルが賛同し、更に英国、マーシャル諸島から検査に対しての検討に勘案すべきと発言があった。
 WGを設置するにあたり、WG議長にR. Gehling氏(豪州)が指名され、WGに対し以下の指示がされた。
(1) MARPOL附属書I/21規則の改定案、FPSOs及びFSUsのIOPP証書案の最終化、及びMEPC決議案の用意
(2) MARPOL附属書I/21規則に関する統一解釈案の検討
(3) FPSOs及びFSUsへのMARPOL 附属書I要件適用の指針案の検討
(4) 必要に応じてCGへの指示の用意
(5) プレナリーへの報告
 
(2)WGにおける審議
 WG議長R. Gehling氏(豪州)の下、我が国の他、豪、仏、マーシャル・アイランド、蘭、ノルウェー、韓国、英及び米国が参加し、BLG8/8をベースに上記の小委員会からの指示に沿って審議された。
(イ)IOPP証書
 FPSOs及びFSUsへのIOPP証書適用について見直しを行い、書式の変更の必要はないこととした。但し、証書には、「上記以外の船舶」とし、FPSOs又はFSUs及び操業場所の注釈をつけることにした。
(ロ)MARPOL附属書I 21規則の改正提案
 本件に関し、プレナリーで我が国、豪、パナマ及びノルウェー等が、それぞれの見解を述べたが、定義のしかたについて、曖昧なため、WGにおいて多少の変更を行った(WP.8、Annex 1)。(我が国に既存するFSUのようなタイプについては、適用外とされる。)
(ハ)構造及び設備の記録(Form C)
 プレナリーにおいて議論されたForm CをMARPOL Annex Iの附属にするか、MEPCサーキュラーの附属にするかについて検討し、MEPCサーキュラーである指針に直接関連する附属として扱うこととした。(WP.8、Annex 3)
(ニ)21規則の統一解釈に関する問題
 本統一解釈について現行のものの改訂が必要であることは、認識されており、指針の作成に付随するものである。WGは、本件についてCGで作成された案を基に修正した。(WP.8、Annex 2)
(ホ)FPSOs及びFSUsへのMARPOL 附属書I要件適用の指針案
 適用要件について、CGで作成された適用条項毎に審議がされた。特に、検査及び我が国がプレナリーにおいても適用の考慮を提起した海中への油及び油混合物の排出要件について注意深く検討された。検査については、A.744(18)の船底検査について適用することとした。排出要件については、附属書I/9(1)(b)に基づいて適用することとなった。排出に関する設備要件については、我が国から、全て陸揚げするものについては、非適用にすること(15(3)規則)、油排出監視及び制御装置及び油フィルタリング装置は、Applicable(16規則)に、更に特定施設に揚げるものは、標準排出具の装備をApplicable(19規則)にすべきと発言し、修文された。(WP. Annex3)
(へ)コレスポンディング・グループ
 CGのタスクは終了し、CGの存続の必要は、無くなった。
 
(3)プレナリ−(WGの報告)
 WG議長より、WGで検討された結果について、BLG8/WP.8に基づいて報告された。米国から、統一解釈(WP.8、Annex 2)のU.I.1.3.3bisについてU.I.1.0.2でFPSOs及びFSUsは、oil tankerでは無いと定義しているのに、oil tankerがFPSOs又はFSUsに改造するとき(その逆も同様)Major Conversionとされないのは、Major Conversionの定義に矛盾するとの発言があった。(米国のこの発言の根底には、13F及びGの適用がある。)
 事務局及びBLG議長からの助言を受けて、WG議長は、WGを再度招集し、本件について修正を行った。具体的な修正は、U.I.1.3.3bisの削除及びそれに伴う1(8)規則(Major Conversion)の適用の修正である。この修正によって、oil tankerのFPSOs又はFSUsへの改造(その逆も同様)は、Major Conversionと見なすこととなった。
 その他については、特段の議論も無く、承認された。
 議題4関連:附属書Iの見直しについて、本件の21規則改正提案を見直し新附属書Iの37規則に差し替えて附属書IをMEPC49に送ることとした。







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