付録1.4 第7回IMO・BLG小委員会報告
[I]会合の概要
(1)平成14年6月24日〜28日 ロンドンIMO本部
(2)参加国又は機関
アルゼンチン、豪、バハマ、バングラディッシュ、ベルギー、ブラジル、カナダ、チリ、中国、コロンビア、キューバ、サイプラス、朝鮮民主主義人民共和国、デンマーク、エクアドル、エジプト、フィンランド、仏、独、ギリシャ、インドネシア、イスラエル、伊、日本、ラトビア、レバノン、リベリア、マレーシア、マルタ、マーシャル群島、メキシコ、蘭、ノルウェー、パナマ、ペルー、フィリピン、ポーランド、ポルトガル、韓国、ロシア、シンガポール、スペイン、スウェーデン、シリア、トルコ、ウクライナ、英国、米国、ウルグアイ、ベネズエラ、香港(China)、ICS、IEC、IUMI、ICFTU、BIMCO、IACS、CEFIC、OCIMF、IFSMA、OGP、AWES、INTERTANKO、SIGTTO、DGAC、INTERCARGO、IPTA、IMCA及びWNTI
(3)議長等
議長 |
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Mr. AZ. Alam (シンガポール) |
副議長 |
: |
Mr. S. Oftedal (ノルウェー) |
事務局 |
: |
Mr. J. Westwood-Booth & Mr. J. Crayford |
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(4)日本からの出席者(敬称略、順不同)
石原 彰 |
在連合王国大使館一等書記官 |
加藤 隆一 |
国土交通省海事局 |
篠村 義夫 |
日本造船研究協会 |
岡村 敏 |
日本造船研究協会 |
赤塚 宏一 |
日本船主協会(ロンドン) |
松永 昌樹 |
日本海事協会 |
吉田 千秋 |
理工学振興会 |
熊野 幹夫 |
日本化学工業協会 |
柴田 清 |
海上技術安全研究所 |
戸松 憲治 |
内航総連合会 |
高尾 陽介 |
日本造船研究協会 |
濱田 高志 |
日本海事検定協会 |
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(5)議題
(1) |
議題の採択 |
(2) |
他のIMO機関の決定 |
(3) |
油流出を解析するための確率論の問題 |
(4) |
MARPOL73/78附属書Iの見直し |
(5) |
MARPOL73/78附属書IIの見直し |
(6) |
化学品の安全性及び汚染の危険性の評価 |
(7) |
IBCコード及びIGCコードの電気設備に関する規定の改正 |
(8) |
FPSOs及びFSUsへのMARPOL附属書I要件の適用 |
(9) |
タンカーにおける毒性物質を含む貨物の運送における人的保護の要件 |
(10) |
オイルタギングシステム |
(11) |
氷海域を航行する船舶のためのガイドラインの策定 |
(12) |
BLG8の作業計画及び議題 |
(13) |
2003年議長及び副議長の選出 |
(14) |
その他の議題 |
(15) |
MSCへの報告 |
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[II]審議結果の概要
1. 議題の採択(議題1関連)
会議に先立ち、IMO事務局長オニール氏より開会の挨拶が述べられた。今次会合において審議される議題の説明が行われ、この中で、確率論的手法を用いた油流出量の見直し、MARPOL附属書Iの全面見直し、有害液体物質の汚染分類の見直し及びMARPOL附属書IIの全面見直しはとりわけ重要な議題であるので、ワーキンググループを設置し審議することとした。各議題については原案どおり承認された。
2. 他のIMO機関の決定(議題2関連)
(1)FSI9、DE44、MEPC46及びMSC74の結果
特段の議論なく、ノートされた。
(2)MEPC47の結果
シップリサイクリングの検討が要請され、非公式グループで検討した。
(3)NAV47、DSC6、SLF44、STW33、FP46、DE45及びFSI10の結果
特段の議論なく、ノートされた。
(4)FSI10及びMSC75の結果
特段の議論なく、ノートされた。
3. 油流出を解析するための確率論の問題(議題3関連)
(1)プレナリーでの審議
CGのコーディネーターである独国からCG報告書(BLG7/3)の報告がなされ、引き続き、ノルウェーより、現在認められているOBO船の設計を排除しないことを目的とする提案文書(BLG7/3/1)の説明がなされた。我が国は、今回の規則の見直しが現状規則を満足する船を排除するものでないという意見を支持し、またOBO船と一般油タンカーとは運航特性の違いがあり、油タンカーを想定した規則案にOBO船を適用することは無理があるため、別クライテリアを設定し油タンカーのクライテリアと区別すべきである旨主張した。結果、議長より、OBO用のクライテリアを別途ワーキンググループで検討するよう指示がなされた。引き続き我が国より、提案文書BLG7/3/2に沿って趣旨説明を行い、3列貨物倉船舶に対する簡易計算方法の精度向上のための新たな係数の導入提案を行いたい旨を表明したところ、賛意が得られ、ワーキンググループで検討することとなった。
プレナリーでの審議の結果、以下の作業項目に従ってワーキンググループにて検討を行う事が指示された。
・ |
我が国提案文書BLG7/3/2にて示された検討結果を踏まえて第21規則を完成させる。 |
・ |
我が国提案に基づき、OBO船のクライテリアを検討する。 |
・ |
豪州提案(BLG7/4/1)に基づき、小型油タンカーのダブルハル構造に対する代替措置について検討を行う。 |
・ |
暫定ガイドラインを完成させる。 |
(2)ワーキンググループでの審議
ワーキンググループは、米国を議長に我が国の他、独国、英国、蘭、ノルウェー、中国INTERTANKOで構成されたが、実質の議論に参加したのは我が国を始め米国、独国、蘭、ノルウェーの5ヶ国であった。
(イ)詳細計算方法
我が国より、BLG6に提案した詳細計算方法は意図的に油流出量を減らせることから問題があるので、これに替え暫定ガイドラインで規定されている損傷確率計算方法をベースにした新たな詳細計算手法を提案した。本案は合意され、Explanatory Noteに含められることとなった。
(ロ)修正係数C3
我が国より、3列貨物油タンクを持つタンカーに対して、船側損傷による仮想流出量OMSの簡易計算と詳細計算での顕著な差を修正する為の係数C3(=0.77)の導入を提案した。この顕著な差の理由として、以下の説明を行った。
船側外板と貨物タンク壁との距離の問題に加え、3列タンクの場合センタータンクの容量は前端・後端のタンクになってもほとんどmidship部の値と変わらず、一方外板の痩せによって外板とタンク隔壁間の距離は小さくなるのでOMSの値が非常に大きくなる。2 rowの場合は、外板の痩せに従って貨物油タンクの容量が小さくなるのでこの問題は小さい。
議長より、C3を採用する場合、詳細計算方法は不要ではないかとの指摘があり、我が国は、C3の導入は簡易計算の計算値を詳細計算手法によって得られる値に近づけることを目的とするものであり、さらにより真の値を求める場合、また通常と異なる船型又はタンク配置に対する計算のために詳細計算手法を存続させておく必要がある旨答えた。ただし、詳細計算を適用する場合は、C3=1.0にすべきであることを補足した。
また、議長から、Cbを0.85で分けている根拠の説明を求められたところ、全くの箱型(Cb=1.0)であればC3は1.0となるはずであるが、C3=0.77を採用する場合、ほとんどのVLCCはCbが0.85未満なので、0.85を制限値としたと回答した。実際のタンカーのCbが一般的には0.85未満であることから、Cbの規定は不要との結論となった。
以上の議論を踏まえ、C3の定義の記述からCbの規定を削除すること、及び詳細計算をする場合には3列貨物油タンクの場合でもC3=1.0とする修正がなされた。この結果、第21規則第6節の船側損傷による油流出量計算式の記述を変更し、3列貨物油倉船については係数C3=0.77、その他の船及び詳細計算の場合については係数C3=1.0とすることが決定され、関連の定義文の挿入を行う事となった。
(ハ)OBO船に対するクライテリア
ノルウェーのクライテリア修正案に関し、我が国より再度OBO船に関しては別途クライテリアを規定すべしとの主張を行った。これに対して、独国よりOBO船と油タンカーとは同一クライテリアとすべきであり、OBO船も、現行油タンカーのクライテリアを満足すべきであるとの意見を表明し、またノルウェーより「OBO船は油タンカーと同一クライテリアにすべきである。但し、現行クライテリアをOBO船をも満足する様な緩和したものとすべき」との意見を表明した。審議の結果、暫定案としてOBO船用クライテリアを第21規則第3.1節に[ ]付きで取り入れ、プレナリーにおける審議に委ねることにした。
(ニ)小型タンカーに対する代替措置
オーストラリア提案(BLG7/4/1、プレナリーにてWG1に移行)において、5、000dwt未満のタンカーについて13F(7)に加えて13F(3)(4)(例えばMid-deckタンカーのデザイン)も適用可能にすべしとの提案があり、承認された。
(ホ)Explanatory Note
Explanatory Noteの作成については、時間的な制約もあり、今後CGを設け作業を行う事となった。また本件につき、我が国に対して簡易計算方法を用いた計算例、C3係数の説明、詳細計算方法の説明文作成の依頼があり、了承した。
(3)プレナリーでの審議(WG開催後)
プレナリーにて、ワーキンググループ議長(米国)より、BLG7/WP3に従ってWGでの審議結果を説明した。OBO船のクライテリアに関して独国より反対意見が述べられ、再度折衷案を検討することになった。結果、クライテリアをBLG6のノルウェー提案を用い、OBO船に対して別クライテリア(0.021)を採用する事が合意された。また、我が国提案のC3を含むその他の案件に関しても問題なく承認された。また、エクスプラネトリーノートを作成するために、独国をコーディネーターとしてCGを設置することが認められた。我が国も参加を要請され了承した。
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