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3. 研究開発の経過
 この事業を推進するに当たり、当協会内に次の委員会及び解析作業部会を設置して、事業計画の検討・策定、及び調査研究の推進を行った。
 
「歴史的な船舶観測データセットの整備と海洋変動による旱魃・冷害の研究」
平成14年度委員会委員
 
委員長 山元龍三郎 京都大学名誉教授  
委員 花輪公雄 東北大学大学院理学研究科 教授
轡田邦夫 東海大学海洋学部海洋科学科 教授
加納裕二 気象庁気候・海洋気象部 課長
倉内利浩 気象庁気候・海洋気象部 調査官
会沢孝 気象庁気候・海洋気象部 主任技術専門官
小長俊二 元気象庁 気象研究所所長  
磯崎一郎 元気象庁 海上気象課長  
渡辺好弘 日本気象協会開発本部 本部長
有沢雄三 日本気象協会開発本部 専任主任技師
岡田弘三 日本気象協会開発本部 主任技師
坂井紀之 日本気象協会首都圏支社 技師
内田洋平 日本気象協会関西支社 技師
事務局 中村丸久 日本気象協会管理部本部 事業課  
 
「歴史的な船舶観測データセットの整備と海洋変動による旱魃・冷害の研究」
平成14年度解析作業部会委員
 
部会長 花輪公雄 東北大学大学院理学研究科 教授
部会員 轡田邦夫 東海大学海洋学部海洋科学科 教授
見延庄士郎 北海道大学大学院理学研究科 助教授
安田一郎 東京大学大学院理学系研究科 助教授
岩坂直人 東京商船大学海洋工学講座 助教授
谷本陽一 北海道大学大学院地球環境科学研究科 助教授
杉本悟史 気象庁気候・海洋気象部 調査官
小司晶子 気象庁気候・海洋気象部 技術専門官
有沢雄三 日本気象協会開発本部 専任主任技師
岡田弘三 日本気象協会開発本部 主任技師
坂井紀之 日本気象協会首都圏支社 技師
事務局 中村丸久 日本気象協会管理本部 事業課  
 
4. 研究開発の成果の概要
 この研究開発の成果は、第1部から第3部に詳しく述べられるが、要約すると次のとおりである。
(第1部)
 神戸海洋気象台が収集した1889年〜1960年までの「海上気象報告」のうち、未だ電子媒体化されていない1911年〜1940年までの約42万通を電子媒体化した。これらを平成7〜13年度事業で電子化したデータと合わせると、約317万通のデータが電子媒体化された。これらのデータは品質管理され、約314万通のデータがCD−ROMに格納され、国内外の気象海洋関連機関等へ配布された。
 
(第2部)
 全国的に冷夏の年は、日本近海の海面水温は例年より低い。特に、北日本海域でこの傾向は顕著である。反対に沖縄近海では例年より水温は高い。一方、カリフォルニア沖およびペルー沖では、前年の秋季から当年までの水温は例年より高い。
 全国的に暑夏の年は、北日本近海から東経180度までの北緯40度線に沿った海域で、海面水温は例年より高い。ペルー沖では例年より水温は低い。また、前の冬季には、アラスカ西岸沖とカリフォルニア南方沖で水温は高い。冷夏の水温の分布は、テレコネクションパターンと類似する。
 
(第3部)
 データ解析作業部会により、次の研究成果を上げた。(1)「レジームシフトの季節発展」研究によれば、レジームシフトはENSOイベントと同期して起こり、そのイベントは長期停滞型である。レジームシフトは、ENSOモード、北太平洋モード、北極振動モードの同期した符号反転として表される。太平洋熱帯域のシグナルは、東部では風偏差の弱化によって消滅するものの、中央部ではシフトの後も持続する。(2)「北半球冬季の海上気象要素の長期変動」研究によれば、経験的直交関数解析を行った結果、北太平洋および北大西洋における海面水温の数十年スケールの変動には、各海域において固有な変動と両海域間に関連する変動が存在することが示唆された。(3)「神戸コレクションの品質管理と露点温度に見られるデータ品質の特徴」研究によれば、1960年頃を境に以前の露点温度が他種の温度に較べ正偏差に偏っており、乾湿球定数が一定でなく風速に依存するという理由によることも考えられるので、今後、新しい回帰式を作成する予定である。







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