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2. アンケート調査とその結果
 今回の実施内容について評価を得ること、並びに次回以降のカリキュラム編成に際しての参考とするため、参加者全員に対し、アンケート調査を実施した。なお、総合評価のほか、講義や実技・実習に対する評価は、「A:とても有意義であった」「B:有意義であった」「C:普通」「D:つまらなかった」という4段階での回答とコメントを得た。
 
(1)第1回目のアンケート調査の結果
(1)全般の内容に関するアンケート調査の結果(図1
イ. 内容全体について(図1−イ
 本スクールの総合評価は、「A:とても有意義であった」が72%、「B:有意義であった」が28%で、すべての参加者から有意義であったという回答を得た。その理由については、「普段体験できないことが体験できた」「海についての知識が深まった」「多くの仲間ができた」などであった。
ロ. 本イベントを知った方法について(図1−ロ
 「学校の先生に聞いた」が72%で最も多く、次いで学校に配付された「募集要項を見た」が24%であった。これに対し、インターネットを通して知った者は4%であった。このことからも、口コミによる情報が人集めに対していかに効果的であるかが伺える。
ハ. 日程について(図1−ハ
 「丁度よかった」と答えた者が40%であったのに対し、「短かかった」と答えた者が56%を占めた。先に述べたとおり、今年度は、昨年度に比べて講義数を増やしたにも拘らず、半数以上の者がさらに日数の延長を希望した。このように開催期間の延長を希望した生徒は、上記「イ」の問いに対し、全員が「とても有意義だった」と答えていることから、本イベントに対する参加意欲の高さや、「さらに交友関係を深めたい」といった要望を持っていることが伺えた。
ニ. 参加人数について(図1−ニ
 すべての者が「丁度よかった」と答えたため、今回の受け入れ人員は、極めて適切であったと思われる。
ホ. 参加旅費について(図1−ホ
 56%の者が「自己負担でよい」と答えたが、その多くは、近郊からの参加者であった。これに対し、「一部主催者が補助した方がよい」と答えた者は、35%であった。このうち交通費の自己負担が最も多かったのは、神戸から参加した2名の生徒で、それぞれの自己負担額は約3万円で、都内や横浜市内からの参加者に比べ、約10〜20倍もの負担となっていた。
ヘ. 今回の参加で、海洋科学技術に対する興味が深まったか(図1−へ
 「とても深まった」が69%、「深まった」が31%であったという結果が示すとおり、本スクールが生徒たちに対して、海洋および海洋研究への興味を高めるのに極めて有効であることが裏付けられた。
 
(2)講義及び実習等に関するアンケート調査の結果(図2
 表3のカリキュラムの中で、講義のみの科目は、「深海6500mの世界」「深海への挑戦」「潜水と人間」「深海潜水300mへの挑戦」及び「深海地球ドリリング計画」の5科目、講義に実習や見学を加えた科目は、「深海の生物」「高圧実験」及び「地球環境と海洋」の3科目、実習のみの科目は、「ROV実習」「圧力体験実験」及び「体験潜水」の3科目、それに見学を主とした科目は、「深海調査機器」であった。これらに関する評価の結果を図2に示す。これらの中で「A:とてもおもしろかった」という評価の割合が最も高かったのは、「体験潜水」と「圧力体験実験」の80%であったが、反面、「圧力体験実験」では、「D:つまらなかった」と答えた者が4%(1名)、「普通」と答えた者が7%(2名)存在した。このように評価したのは、本実験において加圧初期の段階で、前頭部の痛み(副鼻腔スクイズ)や鼓膜の痛み(中耳腔スクイズ)が生じたため、途中で、本実験への参加を断念した生徒であった。一方、これら以外では、「地球環境と海洋」の講義を除いたすべての科目が、「A:とてもおもしろかった」と「B:おもしろかった」の両者を合わせて、全員から80%以上の高い評価を得た。特に「深海地球ドリリング計画」の講義は、全員がAまたはBと評価した。このような高い評価を得た講義は、生徒たちにとって極めて興味ある内容であったことは勿論であるが、それ以上に、理解のしやすさや講師の説得力といった人的要因が大きかったことが、各講義毎に書かれたコメントなどから伺えた。しかしながら、上記の科目においような低い評価を下したのは、むしろ生徒側の取り組み姿勢が問われる問題であったと思われる。
 
(1)第2回目のアンケート調査の結果
(1)全般の内容に関するアンケート調査の結果(図3
イ. 内容全体について(図3−イ
 本スクールの総合評価は、「A:とても有意義だった」が84%、「B:有意義だった」が14%で、今回もまた、すべての参加者から有意義であったという回答を得た。その理由については、「普段体験できないことが体験できた」「海についての知識が深まった」「研究者から直接を受けることができた」などであった。
ロ. 本イベントを知った方法について(図3−ロ
 「A:先生に聞いた」が84%で最も多く、反面、当センターの「D:センターのホームページを見た」という生徒は、今回参加した者の中にはいなかった。したがって、今後の募集方法もインターネットによる人集めは、余り期待できないことが予測される。
ハ. 日程について(図3−ハ
 今年度は、昨年度に比べて講義数を増やしたにも拘らず、「B:丁度よかった」と「C:短かかった」答えた者がともに50%ずつで、「A:長かった」と答えた者はまったくいなかった。したがって、次年度以降も今回のスケジュールを参考にして企画することが望ましいと考える。
ニ. 参加人数について(図3−ニ
 「A:多すぎた」と答えた者が12%、「B:丁度よかった」と答えた者が88%であった。「多すぎた」とする理由については明確ではないが、対人関係をうまく保てない生徒たちにとっては、はしゃぎすきの多くの生徒たちの行動が煩わしく感じられたのかも知れない。しかし、総合的に判断すると、今回の受け入れ人員は、極めて適切であったと思われる。したがって、次年度以降の受け入れ人員は、宿泊施設の問題が解決され、さらに、実技・実習の担当者との協議において、実施上、支障ないと判断された場合には、今年度と同様の人員を受け入れて実施したい。
ホ. 参加旅費について(図3−ホ
 35%の者が「A:全額自己負担でよい」と答えたが、その多くは、近郊からの参加者であった。これに対し、「B:一部主催者が補助した方がよい」、「C:全額主催者が負担した方がよい」と答えた者は、それぞれ56%と9%であった。主催者の一部負担を希望した生徒の多くは、自己負担額が5,000円〜10,000円を超える分を主催者側で負担して欲しいという要望をしていた。
へ. 今回の参加で、海洋科学技術に対する興味が深まったか(図3−へ
 「A:とても深まった」が58%、「B:深まった」が42%であったという結果が得られた。1回目に比べて「とても深まった」と回答した割合が低かったが、「深まった」と回答した者との合計が100%に達したことから、本スクールが生徒たちに対して、海洋および海洋研究への興味を高めるのに極めて有効なイベントであることが裏付けられた。
 
(2)講義及び実習等に関するアンケート調査の結果(図4
 表4のカリキュラムの中で、講義のみの科目は、「深海6500mの世界」「深海潜水300mへの挑戦」「潜水と人間」「深海調査機器の開発」「深海底の物探し」「地球環境と海洋」「地震の巣を探れ」及び「深海地球ドリリング計画」の8科目、講義に実習や見学を加えた科目は、「深海の生物」と「驚異の圧力」の2科目、実習のみの科目は、「ROV実習」「圧力体験実験」及び「体験潜水」の3科目であった。これらに関する評価の結果を図4に示す。これらの中で「A:とてもおもしろかった」という評価の割合が最も高かったのは、「体験潜水」の78%、次いで「圧力体験実験」と「深海地球ドリリング計画」の講義が共に76%であった。中でも「深海地球ドリリング計画」と「深海6500mの世界」の講義に関しては、すべての者がAまたはBと評価しており、「深海生物」に関しても、1名を除いて、同様に高い評価が得られた。これに関しては、先の1回目の報告でも触れたが、生徒たちにとって極めて興味ある内容であったことに加え、理解のしやすかったことや講師の説得力、といった人的要因が大きかったことが、各講義毎に書かれたコメントなどから伺えた。一方、これまで常に評価の高かった「体験潜水」や「圧力体験実験」の評価が予想外に低かったのは、前者については体調不良等で参加できなかったこと、また、後者については「耳抜き」等がうまくできずに途中でリタイアしてしまったことがその原因となっていた。これらのことからも、実習は参加しなければ意味がないことが改めて確認された。
 
(3)まとめ
 本スクールの参加者の募集については、これまでは、特に当センター方の地域を重点地域と位置づけて募集を行ってきたが、交通費が全額自己負担となって以来、常に定員割れの状態が続き、参加者を確保するのが困難となった。そこで今回は、従来のように重点地域を設けることなく、県内及び都内の高等学校、高等専門学校を中心に募集を行った。募集要項は前ページの学校長および理科主任のほか、以前、生徒を推薦してくれた教諭や自身が参加した教諭に対して送付し、生徒や同僚の参加を促すよう依頼した。その結果、未だ十分であるとは言えないものの、従来よりも多くの応募者を得ることができた。したがって、次年度以降もこのような方法で募集することが効果的であると思われるが、本スクールの存在を広く周知することや参加校の片寄りを少なくするためにも、引き続き未参加の学校に対しても積極的な働きかけをしていく。







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