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5. 油排出管理分科会(RR−E201)での検討経緯
(1)第1回委員会(平成13年4月16日開催)
(イ)第44回船舶の設計、設備(DE.44)小委員会の報告
 DE.44の出席者から資料をもとに報告を受け、審議の結果、以下のように検討課題を纏めた。
a. 乳化ビルジに対応した、油除去装置及び油排出管理装置用の試験流体の検討
b. 乳化ビルジに対応した、油除去装置及び油排出管理装置の試験仕様の検討
c. 新技術の検討
d. 機関区域のトータルビルジ処理システムの検討
e. 油排出管理装置用記録装置の設置方法の検討
f. 油排出管理装置用記録装置の改ざん防止対策及び較正方法の検討
g. 油排出管理装置用記録装置の記録方法及び検査方法
h. 乗組員の教育及び訓練
 なお、h項の「乗組員の教育及び訓練」については、その内容の性質上、当委員会の検討事項から除外した。a項及びb項の「乳化ビルジに対応した油除去装置及び油排出管理装置の試験流体」及び「同試験仕様」を検討することとした。d項の「機関区域のトータルビルジ処理システム」は、MEPCからの付託事項に含まれていないため、我が国からの提案ではあるが、MEPCの動向を待つこととした。f項の「改ざん防止対策」については、入港国監督(PSC)関係を含め、種々問題のあることの指摘があった。一方、MEPC.46に対案を示せるよう作業を行うこととした。さらに、DE小委員会のもとに設置される、決議:MEPC.60(33)及び同A.586(14)の見直し案作成のための、コレスポンデンスグループへの対応も適時行うこととした。
(ロ)平成13年度事業計画の検討
 DE.44における検討課題に対応するため優先的に実施すべき事業計画を検討した。計画の試験研究は、ビルジ警報装置の検出部の現状、乳化油試験流体に混入する燃料油及び界面活性剤等と実船のビルジとの相関など、さらに内容を精査することとし、その結果を待って、実施を検討することとした。
 
(2)第2回委員会(平成13年5月18日開催)
 提出資料をもとに審議を行い、第1回委員会に引き続いて、検討項目を以下のように整理した。
a.型式承認試験に用いる試験流体の乳化の処方を判定する。
b.乳化流体に対する現存機器及び新技術機器の性能を調査する。
c.乳化流体を用いて、新技術機器の試験を行い、処理後の流体に含まれる油分及び乳化油分の濃度を測定する。得られた資料は、b項の調査に還元する。
d. 必要と認めるときは、乳化流体を用いる試験方法の見直しと検討を行う。
e. 油水分離器単体のみでなく、トータルシステムとしてのビルジ処理方法を検討する。
f. 記録装置の強制化に対する、MEPC及びDE小委員会への提案文書を作成する。
 上記に関連して、以下のような指摘があった。試験流体Bに提案されている燃料油は、見直し案に示される「ISO8217RMF25」に代わり、一般的に使用されている「ISO8217RMF35」とすべきである。「乳化」については、定義を明確にすること。「トータルビルジ処理システム(統合ビルジ処理システム)」の全体像が理解できる資料を作成する。「記録装置の強制化」に対しては、封印及び油水分離器の容量を含めて、提案文書を作成する。
 
(3)第3回委員会(平成13年11月16日開催)
 提出資料をもとに審議を行い、MEPC及びDE小委員会並びにコレスポンデンスグループへの対応を検討し、それぞれの作業の分担を定めた。
(イ)MEPC.60(33)の見直し
a. 全体的な意見の整理を行い、提案文書を作成する。
b. 試験流体案についての調査試験を行い、提案文書を作成する。
c. ビルジ警報装置についての調査試験を行い、提案文書を作成する。
(ロ)A.586(14)の見直し
 全体的な意見の整理を行い、提案文書を作成する。
(ハ)「記録装置の強制化及び改ざん防止措置」及び「トータルビルジ処理システム」
 提出資料をもとに審議を行い、問題点を整理して、MEPC及びDE小委員会に対する提案文書を作成する。(MEPC47/10/4 及びDE45/5/4)
 
(4)第4回委員会(平成13年12月5日開催)
 提出資料をもとに審議を行い、調査試験に関する今後の対応及びDE小委員会コレスポンデンスグループへ提出する意見の取りまとめを行った。
(イ)調査試験に関する今後の対応
a. 試験流体による油分濃度計の性能試験
 試験の実施に当たり、試験流体C(乳化流体)のみの試験でなく、試験流体B(残渣燃料油を油分とするもの)を含めることを検討する。
b. 試験流体Cの調製
 乳化流体の調製は可能であるが、懸濁固形物に用いる粒径10ミクロン以下の四三酸化鉄の入手が価格上困難なことが示された。
c. 試験流体の混合と攪拌試験
 攪拌タンク内の試験流体表面に、浮上油が視認されない程度に流体を維持するための循環ポンプの回転数及び循環量/時の試験結果が報告された。これにより、試験流体を均質に維持するための循環ポンプの性能基準については、留意を要する旨の提案書を提出することとした。
d. 油水分離器の試験仕様の見直しに対する予備試験
 乳化流体(試験流体C)を用いて、現存の油水分離器の性能試験を行った。その結果は、現存の油水分離器に何らかの改造を要することを示唆した。また、界面活性剤の濃度仕様0.05%にも、検討の余地があるとの指摘があった。さらに、油水分離器入口濃度が100ppm台であれば、多少の改造で対応できるが、1000ppm台では、大改造を要することが判明した。
(ロ)DEコレスポンデンスグループへの対応
 決議:MEPC.60(33)に関する最終意見の取りまとめを行った。乳化流体に対応できる油水分離器は製作可能である。また、機関区域のビルジトータル処理システムの検討を継続すること。これらを前提として、各条項毎に意見提出の要否とその内容を検討した。検討内容は、整理の上コレスポンデンスグループへ連絡した。
 
(5)第5回委員会(平成14年2月20日開催)
 提出資料をもとに審議を行った。決議:A.586(14)に対する見直し案の最終化には間があるので、これに対する審議は、先延ばしした。決議:MEPC.60(33)の見直しについては、コレスポンデンスグループの検討結果報告書に示された脚注をもとに審議した。これらに関する意見の要点は、以下のとおりである。
(イ)15ppm警報装置の応答時間は15秒を可とする。
(ロ)15ppm警報装置の記録装置にデータロガー使用の可能性を確認する。
(ハ)ビルジポンプ容量の規定は、現行使用のままとし、検討の対象は油水分離器組み込みポンプのみとするよう提案する。
(ニ)試験流体に用いる燃料油の性状仕様は、ISO基準ではなく、現行仕様のままとするよう提案する。
(ホ)試験流体の成分比率は、重量パーセントを可とする。
(へ)試験流体の仕様に関する「完全な乳化」の文言を削除する。
(ト)試験流体を経済上の理由から、試験の全期間中再循環することについては、試験流体Cのみとするよう提案する。
(チ)型式承認証書に加熱装置を記述する必要のないことを提案する。
(リ)代表的試験設備の配管系統図案が未入手なので、来着を待って検討する。
(ヌ)試験流体A及びBの仕様は、現行仕様のままとし、試験流体Cによる試験は、安定状態に達した時間に、30分を加えることを提案する。
(ル)試験流体A、B及びCによる試験について、試験仕様案では、機器の容量、設置場所等に問題を生じかねない旨の指摘を行う。
(オ)採取試料の油分濃度測定に用いる方法について、赤外分光法の抽出溶剤としても用いる、クロロフロロカーボン(C4F6C14)は、モントリオール議定書の指定物質ではない。ガスクロマトグラフ法のみでなく、現行方法も残すべきことを提案する。
 なお、「機関区域トータルビルジ処理システム」(統合ビルジ処理システム)については、指針及び仕様を作成すべきことを提案する。







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