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1. はじめに
 IMOはMAPOL73/78条約を締結して、国際航海に従事する一定の船舶に対して、海洋汚染防止の措置を講じることを課している。船舶からの油による海洋汚染防止は、同条約の附属書Iに規定され、この要件を満たすために船舶に搭載する設備及び装置等は、それぞれの国際基準に適合していなければならない。これらの国際基準は、別途総会決議あるいは海洋環境委員会決議により、詳細な技術仕様や指針が定められている。
 
 一方、環境保護の関心の高まりや社会経済活動の活発化とともに、科学技術の進展に合わせて、より効果的な規制に改めようとする動向に、それ自体が合理的である限り、肯定的な促進を図らなければならない側面もある。
 
 油汚染防止装置として船舶が備えつけることを要求される装置の性能は、「機関室ビルジの汚染防止装置の指針及び仕様」と「油タンカーの油排出監視制御装置の指針及び仕様」を、それぞれの決議:MEPC.60(33)と決議:A.586(14)に定められている。これらの決議は採択以来10数年を経過しており、規定の内容が時代の趨勢に対応していないとの認識が深まってきた。
 
 このような規則を更新しようとする作業に当たっては、海運先進国として果たすべき我が国の責務とIMOにおける立場を見極めつつ、対処する必要がある。
 
 先に、MEPC.42(平成10年10月)ではオランダなど3ヵ国からの提案を審議し、提案の意図する作業をDE小委員会に付託することを決定した。
 
 DE小委員会では、この付託事項を審議し、具体的作業を開始した。また、この作業の効率的推進を図るため、参加任意のコレスポンデンスグループを結成して、各決議の迅速な見直し案作成を進めた。なお、検討すべきMEPCからの付託事項を以下の6項目に絞った。
・型式承認試験の仕様に乳化流体を含めること。
・同上の試験に用いる試験流体の仕様を見直すこと。
・15ppm警報装置を改ざん防止のために封印すること。
・同上の装置に記録装置を付加すること。
・新技術を導入すること。
・乗組員の教育、訓練に関すること。
 
 この見直し作業はMEPCの要請に従い、2年間で成案を得ることとした。しかし、現時点では、1年間延長することが合意され、平成15年中に最終化されることとなっている。







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