2日目 2002年11月22日(金)
セッション(4)
グループ・ディスカッションII
セッション四 グループ・ディスカッションIIも各部会に分かれた部会セッションであり、それぞれ、テーマとリソースパーソンは以下のとおりである。
第一部会「貧困、人口と開発」、リソースパーソン:トム・メリック世界銀行顧問
第二部会「食料、水、人口と環境」リソースパーソン:レスター・ブラウン地球政策研究所長
第三部会「女性に対する暴力、リプロダクティブヘルスと人権」リソースパーソン:エスター・マヤンバラ・キサケ・マケレレ大学人権平和センター(ウガンダ)講師
第四部会「高齢化」、リソースパーソン:ルイーズ・プルッフェ・カナダ保健省
セッション四 グループ・ディスカッションIIの第二部会「食料・水、人口と環境」の議長はインドのジャナット議員が務めた。
リソースパーソンのレスター・ブラウン地球政策研究所長はアメリカ農務省、カナダ小麦理事会などの資料を引き、現在食料生産と人口の関係がかつてないほど厳しいものとなっていることを指摘した。本年九月二〇〇二年の世界の穀物収穫高は八千八百万トンの不足になると予測されると米国農務省が発表した。これは三年連続での不足で、二〇〇〇年に二千九百万トン、二〇〇一年には三千万トンの不足であり、三年合計で一億四千七百万トンの不足となる。これに伴って各主要穀物の備蓄も、歴史的に低い水準を記録しつづけており、小麦は過去二十八年間で最低の水準であり、コメは過去二十七年間で、トウモロコシは過去四十年間で最低の水準となっている。
その結果、食料の安全保障は不安定になってきている。その理由としては、作付け期に穀物価格が低かったことにより、作付けそのものが低調だったこと。地球の平均気温が上がりつづけており、近年かつて例を見ない熱波に襲われる地域が頻発していること。また二十世紀という短い時間に地下帯水層から過剰揚水が行なわれ、それによる灌漑の成果として高収量を維持してきたが、この帯水層の枯渇の問題が深刻になってきたことなどの理由によるものである。
これに加えて人口と豊かさが急上昇した。一九五〇年に世界の一人あたり平均所得は二〇〇〇US$であったものが、二〇〇〇年には七千四百US$と約三倍増加した。その間に世界人口は三十五億人も増加し、世界の総所得は六・六兆ドルから四十五兆ドルヘと七倍近く増大した。この増大は食肉消費の増大と共に食料への強い圧迫となっている。
地球の扶養限界を考えたとき、一九八二年に地球はその自然が生み出し永続的に持続できる水準を超えたと考えられる。現在では2割ほども不足しており、人類史上初めて自然からえられる恵みを消費するのではなく、自然の恵みを生み出す基盤をも消費し始めている。
この生態学的な“ツケ”は必ず将来支払わなければならない。また、グローバリゼーションと食料貿易の拡大の結果、かつては地域的限定された問題であった水不足の問題が、地球の規模の問題となってきた。西アジアや日本、韓国など食料を輸入に頼っている国は大きくその影響を受ける可能性がある。
現代の食料安全保障は、各国の農業省の施策よりも、エネルギー政策や人口政策のほうが大きな影響を与えるに至っている。食料安全保障はいまや社会全体の問題である。子供を産む決断はいくつかの国では作付け計画よりも大きな影響をその国の食料安全保障にあたえることになる。
かつて一九九六年世界食料サミットの際、FAOのジヤック・デューフ事務局長にたいしUNFPAのナフィス・サディック事務局長に宛てて“助けて”と手紙を書くよう提案した。人口プログラムを推進させることで人口を安定化させること、更にエネルギー政策を適切にとることで地球温暖化を防ぎ、気候を安定化させること。これらが不可欠になる。食料安全保障の問題はもはや農民の責任ではなく社会全体の責任である、と講演した。
セッション(5)
グループ・ディスカッション報告
各グループ・ディスカッションの議長から部会の討議内容の報告が行なわれた。
また同じ時間に、最終の起草委員会が開催され、前日の部会討議を反映させ、総会に提出し協議する最終文案を検討した。
セッション(6)
会議宣言文の検討と採択
セッション六では谷津義男・起草委員長によって、オタワ公約の最終文案が総会に提出された。フロアから活発に意見が出され、熱心な討議と検討の結果、オタワ公約は採択された。
この全体会議の席で、四回も文案検討を続けてきた起草委員の中からも新たな意見が提出されたり、この場に至って持論を展開する議員などもおり、谷津起草委員長が、“これまでに十分に意見を発表する機会はあったのであり、ここは合意を形成する場であって、演説をする場所ではない”と指摘する場面もあった。
セッション(7)
「会議フォローアップについての協議」
最後に会議事務局を務めた、ヘルナン・サンフェザーAPG事務局長から、地域議連の代表を集め二年ごとに国際議員会議を開催すること。E−mailを使った情報交換を活発化していくこと、などフォローアップの提案がなされた。
閉会式では谷津義男・起草委員長の手により「オワタ公約」発表が行なわれ。満場一致で採択された。その後、ローズマリー・ロジャー・クール議長によって閉会宣言が行なわれ会議は閉会した。
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