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会議概要
会議各セッションのテーマと講演者は以下のとおり
 
1日目 2002年11月21日(木)
 
開会式
 開会式の議長は、ローズ・マリー・ロジャー・クール運営委員会議長・カナダ上院議員がつとめ、会議目的の説明をスターリング・スクルッグスUNFPA/IERD局長が行い、開会宣言をジーン・オーガスティン・多文化及び女性の地位担当国務大臣(カナダ)・前CAPPD議長が行い、基調講演を、ソラヤ・オベイドUNFPA事務局長、スティーブ・シンディングIPPF事務局長が行なった。
 引き続き、会議役員の選出が行なわれ、議長、副議長、グループ・ディスカッション議長、起草委員長の選出が行なわれた。議長にはホスト国カナダを代表して運営委員会議長をつとめたローズ・マリー・ロジャー・クール上院議員が選出され、副議長はスイスと、ブルキナファソから、グループ・ディスカッション議長および各地域から二名ずつの起草委員が選出された。また、会議宣言文をまとめる起草委員長には谷津義男AFPPD議長が就任した。
 
セッション(1)
パネル・ディスカッション
ICPD行動計画実施可能な環境の創出 ――カイロから八年、成功と制約――
 セッション一では、セッション議長をイメルダ・ヘンキンUNFPA事務局次長が務め、パネリストとして、彭珮云(ペン・ペイ・ユン)中国全人代副議長、シマ・サマール・アフガニスタン駐在国連人権弁務官、マリア・クリスティナ・ロペス・アルメイダ・フォンテス・リマ・ガーボ・ベルデ法務・内務大臣、ジャビール・トレス・ゴイティア元ボリビア保健・社会サービス大臣がそれぞれ講演を行なった。
 イメルダ・ヘンキンUNFPA事務局次長は、各講演者紹介の中で特に中国問題に言及し、世界の人口の一/五以上を占める中国の人口、家族計画政策が人類の未来にとって重要な影響を与え、その成功が人類の将来に対する希望に大きな光を与えていると述べた。
 セッションの中では彭珮云(ペン・ペイ・ユン)中国全人代副議長が中国の成功事例と今後の中国の持続可能なためにも人口問題に対する努力を継続する、と講演を行った。
 続けて、シマ・サマール・アフガニスタン駐在国連人権弁務官がソ連のアフガン侵攻以降一九九二年まで憲法が停止し、タリバンがカンダハルで勃興してからは女性に対する教育は停止され、避妊は禁止されるなど、カイロ合意も全く何の影響を与えない情況が続いた。現在最も大きな問題は安全の確保で、出産のほとんどが産婦人科の医療が得られない環境下で行われている。また、国内避難民の問題も深刻で、このような劣悪な環境の中で女性の人権をいかに確保するかが最も大きな問題となっている、と述べた。
 またマリア・クリスティナ・ロペス・アルメイダ・フォンテス・リマ・ガーボ・ベルデ法務・内務大臣はODAが果たした役割を高く評価し、ODA活用の結果、ガーボベルテの国民一人あたりGNPが一九七五年独立時の三百US$から千二百US$へと向上し、国民に対する人口・リプロダクティブヘルス分野のサービスも画期的に改善された、と述べた。またその成功経験から良い統治(Good Governance)が最も重要であると強調した。
 ジャビール・トレス・ゴイティア元ボリビア保健・社会サービス大臣は、アフリカ女性の五〇%以上が十代で妊娠しており、妊娠・出産のもたらすリスクが大きい。その結果妊産婦死亡率が高くなっており、二十一世紀にICPD行動計画の早急かつ完全な実施が必要であると訴えた。
 
セッション(2)
「ドナーはどこに?」
 セッション二では議長をCAPPDのレイネル・アンドリーチュック上院議員がつとめ、イギリスのサレイ・キーブル国際開発担当国務大臣、カナダのマリーン・ジェニングス国際協力政務次官が講演を行なった。またスウェーデンのジャン・カールソン開発協力大臣およびヨーロッパ委員会のポール・ニルソン「開発と人道委員会」コミッショナーはビデオによるメッセージを上映した。
 サレイ・キーブル大臣は、イギリスとしてICPD行動計画を強く支持することを改めて述べた。現在HIV/AIDS感染者が大幅に増えており、その対策が早急に必要になっている。また世界中で二億五千万人のカップルが家族計画を入手できない状態にある。セックスを奨励するわけではないが、セックスに伴うリスクはきちっとコントロールしていく必要がある。イギリス政府としてはカイロの行動計画を強く支持している。カイロの合意を退行させようとする勢力があるが、それに対しては戦いを挑むべきである。貧しい人々が貧困から抜け出すための手段をなぜ否定するのかわからないと述べた。
 カナダのマリーン・ジェニングス国際協力政務次官は、どこにドナーがいるかというテーマに対して、カナダのドナー国としての位置付けを述べた後にリプロダクティブヘルスは個人の権利を強化するものであり、カナダ開発庁(CIDA)もHIV/AIDS対策に対する拠出を四倍に増額し、そのうち一/三はUNFPA経由で行った。重要なことは問題に対応できる専門家の育成、国家レベルでの総合調整を行うことで援助の効率を上げることであると述べた。
 その後、フロアからの発言を含めた討議となったが、その中で“ドナーはどこにというこのセッションの答えはここにはない。なぜならば、ここに集っている人たちは既に人口と持続可能な開発のために熱心に働いている人たちであり、できる限りの努力をしている。その意味から言えばいかに関心のない人たちを動員するかということが非常に重要である。そのためには政治的な決断が重要である。とくに、中国の人権抑圧を口実とした人口問題への批判、アメリカ合衆国からのUNFPA、IPPFへの拠出停止などが行われているが、それらに対する働きかけが必要となるだろう”という意見や食品の安全も重要な問題だという指摘が続いた。
 
全米三百の新聞社と米国民の八五%がUNFPAの活動を支持―米・マロニー議員
 アメリカ合衆国がUNFPA、IPPFへの拠出を停止したことに関連して、アメリカ合衆国のマロニー議員が、上下両院はカイロ合意を理解しており、ブッシュ政権に対して資金拠出を行うよう決定した。議会のレベルではUNFPAに対する反対の動きはない。また、中国の人権抑圧の問題に関しても議会が調査団を中国に派遣し、その調査団の調査結果もUNFPAの活動と中国の人権抑圧との関係について否定しており、人口問題に対して肯定的な報告書となっていた。全米三百の新聞社がその社説でUNFPAの活動を支持しており、世論調査によれば国民の八五%は支持している。しかし、極端に保守的な政治活動を行うNGOがあり、彼らの利権や利益のために人口問題に対する批判が行われている。それが残念ながらそれなりの政治的な影響力をもってしまっている。その意味で今回の政府の決定はたいへん残念であると、アメリカ合衆国の事情を説明した。
 フロアから、中国の彭珮云(ペン・ペイ・ユン)中国全人代副議長の講演の中に、現在世界の人口問題にとって逆風となっている、中国の人権問題に対する言及がないのはおかしいという批判が出た。これに対し中国側は、中国はいつでも門戸を開いており、疑念がある方は中国のどこでも直接きて視察されればそのような疑念は晴れるだろうと答弁した。
 ヨーロッパ議会のウーラ・サンデバーグ元人口委員長は生まれてくる子供の権利を守らなければならない。子供を単なる労働力としてしか考えていない国もあると述べた。
 ガーナの議員は、現在のホワイトハウスの決定は良識あるものとは到底言えない。多くの少女が、性に対する知識がないために望まない妊娠を強いられている。アメリカの選挙民に教育よりも軍事費を大きく使う政権や政治家に投票すべきではないと訴えかけるべきだと主張した。
 イギリスのクリス・マックファーティ議員は、世界中どこに行ってもコカコーラの自動販売機を見ない国はない。現在、多国籍大企業は一国の予算規模をはるかに上回る事業規模をもっている。この点から言えば、コカコーラにコンドームを付けて売るようなことも考えなければならないのではないのか、と述べた。
 その後、アイルランドの議員、イギリスの議員が自らの中国視察の結果を報告し、UNFPAは中国でたいへん良い活動を行っている。アイルランド出身のカトリックの修道女が、中国の人口プログラムに協力しており、長年この問題に中国で携わっている修道女の口からも決して強制でないという報告があった、という事例報告。さらには、食料安全保障の問題が国内的にも国際的にも確保されておらずそれに対する対策が急務であるという主張や、アメリカはアメリカが許容できる適切な家族計画を支援する必要がある、などの意見が出た。
 
セッション(3)
グループ・ディスカッションI
 セッション三は各部会に分かれたグループ・ディスカッションであり、それぞれ、テーマとリソースパーソンは以下のとおり:
第一部会「HIV/AIDS」、リソースパーソン:マベル・ビアンコFEIM議長(アルゼンチン)
第二部会「リプロダクティブヘルスと用品の安定供給」、リソースパーソン:ジャガディシュ・ウパヤディUNFPA技術支援局多国間プログラムおよび現地支援部長
第三部会「緊急状況下におけるリプロダクティブヘルス」、リソースパーソン:パトリシア・ヒンドマラッシュUNFPA渉外局長
第四部会「思春期のリプロダクティブヘルス」リソースパーソン:デリア・バルセロナUNFAP技術支援局
 グループ・ディスカッション第一部会「HIV/AIDS」の議長はマレニーAFPPD事務総長が務めた。このセッションではHIV/AIDS感染は未だピークに達していない。今対策を集中的にとらなければ将来的に大きな禍根を残すことになる。また女性の感染率が上昇しており、これは女性の社会的地位が男性に比べて低いという現実を表している、という指摘がなされた。
 
ESCAP人口会議に向けたアジアの対策
 初日の会議終了後、アジア国会議員とUNFPAトラヤ・オベイド事務局長との懇談「ESCAP人口会議に向けたアジアの対策」がおこなわれ、続いて起草委員会が開催され、文案の検討と採択が行なわれた。







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