(3)韓国
現在一日一ドル以下で生活している人が地球人口の一/五である十二億人おり、二ドル以下生活している人々に至っては三十億人いる。
韓国は各国の支援を受けて経済成長を続け、現在世界で十三位になった。国会議員が発展のためにどのような貢献をなし得るか。人口増加の伸びを抑えることが、持続可能開発の条件。環境が大きく影響されてしまう。生活の質(QOL)を高めることが必要とされてくる。立法府からの支援が必要であり、女性に対する差別を撤廃する必要がある。国会議員の努力によってCEFDWを満たすような国内法の整備が必要である。韓国の国内議連である韓国児童・人口・環境議員連盟(CPE)では様々な目標を設定している。その中には乳児死亡率(IMR)、や妊産婦死亡率(MMR)を減らすことが含まれている。地球規模での協力パートナーシップが必要。
ICPD行動計画でGNP〇・七%をODAに向け、その四%を人口分野に向けるという合意がなされた。韓国政府は外国からの援助に対し深い感謝の気持ちを持っている。この感謝の気持ちを形にするために、途上国に対して援助を供与し、経済発展の経験を共有していきたいと考えている。
韓国の経済的成功経験の移転ばかりでなく、家族計画も含む人口問題に対する経験も移転していきたいと思う。韓国のTFRは一・三七にまで下がり、深刻な現状にある。
現在ODAの六三%はアジア・太平洋地域に向けられている。しかしこれはGNP(国内総生産)のわずか〇・〇六八%でしかない。一九九六年に比べると三倍の増加であるが、先進援助国(DAC)に比べると大きく遅れている。GNP対して〇・一%(千五百億ドル)を早く実現したい。
政策の面で国会議員の役割は大きい。途上国の発展には輸出の増加が唯一の道である。ドーハの会議が合意されれば、千五百億ドル、ODAの三倍が途上国にもたらされる。パートナーシップ・スキームのなかで貿易できる能力を向上していく。最低開発国(LLDC)に対して関税障壁を無くしていく。途上国とのパートナーシップを高めることで途上国の努力も促すことができる。
まだ、韓国ではODA法が成立していない。成立させることで整合性を持たせることができる。そのためには、国民の理解が重要であり、その支援がなければ実現できない。
従って、国会議員役割が重要である。一九八九年十一月にCPEが設立。議員レベルで世界中の議員とのパートナーシップを図っている。更に、社会・開発問題にたいする法制定のため毎年セミナーを開き、国会議員への啓発活動や一般国民も巻き込み草の根運動を行うことで意識高揚をはかってきた。このセミナーは立法者、政府高官のみならず一般へも開放され開催された。このセミナーで様々な問題を取り上げてきた。
ワールドカップで韓国はアジアで初めて準決勝に進出し世界に大きな印象を与えた。しかし世界に最も大きな印象を与えたものは、経済成長であると思う。各国からの期待にこたえるためにも国際援助の韓国式モデルを構築し、ODAにおいて人口・開発分野にさらに力を注いでいきたい。
(4)フィジー
フィジーは、インド系とフィジーの原住民からなり、人種問題と人口問題はデリケートな問題である。したがって、人口問題についてフィジーの中でこれまで十分な討議がなされてきたわけではない。フィジー政府は二〇〇一年十一月から計画を進め、委員会を設立した。しかしこの員会は常設の委員会ではなく、ICPD、FAOサミットなど主要なイベントにあわせて不定期に政府が準備するという形で人口問題に対する協議を行ってきた。したがって、定期的なフォローアップは行なわれてこなかった。人口問題を考える場合、労働市場も大きな問題となるがそこでは労働力の需要と供給を計算に入れたものでなければならない。
また、政府の開発政策の中に人口が取り込まれなければならない。単に人口のコントロールだけではなく、開発に左右される人間を考えることが重要である。そこでは、言葉を尽くして説得することが重要。人口を語る場合、その多くで人間は数字になってしまって、人間が見えなくなってしまう。しかし、人間が中心であることは言うまでもない。
現状では人口プログラムは計画立案されるが十分に人口問題の持つ意味が考慮されていないし、また他部門が尊重するわけでもない。それは人口問題が高い優先順位を持ってないからである。国会議員は人口の意味を伝えることが重要であろう。
AFPPDのバックグラウンドを知って、十分に理解して活動することが必要。その理解にもとづいて各国へ働きかけを行なうことが必要。家族計画は決して人口をコントロールすることではない。使い得る資源とのバランスをとった人口が必要である。
具体的には妊娠間隔をあける、また妊婦の健康保持が必要であり、これらを国の政策に反映させることが必要である。残念ながらフィジーでは政治的危機が人口プログラム実施の阻害要因となったが、これから人口問題の意味を伝え、人口プログラムの普及を図っていきたい。
(5)日本:松岡利勝(衆議院議員)
これから生きていく上で、食料問題が最も重要で、自国のみの利益追及や政治的にWTOが利用されてはならない。二十世紀は食料問題と環境問題が極めて大切な時期を迎えている。AFPPDの中に「食料安全保障委員会」を設立してほしい。
≪満場一致、拍手で了承≫
AFPPD第七回総会
総会では過去三年間の活動報告、収支報告が行われ、更に後三年間の活動計画・予算が承認された。また、AFPPDの運営に責任を持つ役員の選出が行われ、谷津義男議長ほか新役員が満場一致で選出された。
谷津議長挨拶(要旨)
この総会は、過去三年間にわたるAFPPD活動実績、その中で何が有益であったのか、またその影響などを率直に話し合う機会である。AFPPDが発起されてから二十年経ち、その活動は非常に広範囲に拡大した。その中で、改めて二十年を期に本来の精神に戻るべきである。
人口と開発に関する国会議員活動はドレーパー将軍と岸信介元首相がはじめられた。その原点は増えつづける人口に“食べ物をいかに確保するか”であった。二十一世紀になり、資源の限界がさまざまな形で明らかになっている今、原点に返った議論が重要であり、原点をしっかりといれて活動する必要がある。
この総会で、AFPPDの今後三年間の方向性を決める。私たちは、人口と開発の相関関係に焦点を当てるべきだと思っている。そして、同僚の国会議員を説得し、人口政策とその実施に焦点をあてるべく各国政府を説得する新しい戦略を見出さなければならない。
水は、希少な資源となりつつあり、地域や国際的な紛争の要因となりつつある。食料安全保障や持続可能な開発に関しても国によっては、人口増加の問題を考慮に入れることなく開発に関する議論を行っており、そのような傾向に歯止めをかけなければならない。開発に人口問題を取り込まない議論は短期的な議論であり、それに代わる考え方を提示していかねばならない。
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