日本財団 図書館


人口
増加率最低、0.15%
前年比出生者数も最低
住民基本台帳
 総務省は三十日、今年三月末の住民基本台帳人口は一億二六四七万八六七二人で、前年に比べ十九万三八六七人増えたと発表した。前年比増加率は○・一五%にとどまり、六十八年に調査を始めて以来、増加数、増加率とも最低。東京都や神奈川県など都市部への人口集中に拍車がかかる一方で、人口が前年より減った道県は過去最高の三十二に達した。少子高齢化が年々進む中で、やせ細る地方の姿が透けて見える。
 この一年間の出生者数は、前年よりも九二四五人少ない一一七万一三二〇人で、前年の過去最低をさらに更新した。死亡者数は九十六万九三五六人で、前年に比べ二万六三〇九人増えた。
 人口が増えたのは十五都府県。伸び率が最も大きかったのは○・七三%増の東京都で、次いで神奈川県、沖縄県。東京都は八万七千人の増加で、伸び率も前年(○・六四%)を上回った。転入者は転出者より七万二千人上回っていて、地下下落を背景にしたマンション建設などによる「都心回帰」の傾向を裏付けている。
 人口が減ったのは三十二道県で、前年の二十六から六増えた。最も減ったのは北海道の八二八五人で、次いで秋田県、新潟県。二十一年連続で人口が減っている秋田県の場合、減少率は前年の○・四九%から○・六三%に拡大した。
 年齢別の人口割合は六十五歳以上が一八・二五%で、前年に比べ○・五六ポイント増えたのに対し、十五歳未満は一四・三三%で、前年に比べ○・一七ポイント減った。一世帯の平均人数は二・六〇人で、前年より○・〇三人減った。
(朝日新聞 二〇〇二・八・三一)
 
住民基本台帳による都道府県別人口
(02年3月31日時点、▲は減少)
  人口(人) 増減数(人) 増減率(%)
北海道 5,667,024 ▲8,285 ▲0.15
青森 1,492,669 ▲4,367 ▲0.29
岩手 1,416,421 ▲5,375 ▲0.38
宮城 2,348,465 1,299 0.06
秋田 1,190,O07 ▲7,559 ▲0.63
山形 1,236.978 ▲4,386 ▲O.35
福島 2,128,309 ▲5,087 ▲0.24
茨城 2,995,384 ▲199 ▲0.01
栃木 2,004,401 1,118 0.06
群馬 2,021,238 1,512 0.07
埼玉 6,926,514 28,295 0.41
千葉 5,950,584 30,186 0.51
東京 11,905,712 86,867 0.73
神奈川 8,484,744 58,961 0.70
新潟 2,470,641 ▲6,259 ▲0.25
富山 1,122,559 ▲1,855 ▲0.16
石川 1,176,438 ▲163 ▲0.01
福井 827,343 ▲696 ▲0.08
山梨 885,196 ▲881 ▲0.10
長野 2,203,200 ▲1,298 ▲0.06
岐阜 2,109,013 ▲791 ▲0.04
静岡 3,766,759 2,705 0.07
愛知 6,964,783 29,752 0.43
三重 1,858,120 ▲770 ▲0.04
滋賀 1,341,405 6,784 0.51
京都 2,563,344 139 0.01
大阪 8,636,217 7,616 0.09
兵庫 5,550,419 13,054 0.24
奈良 1,445,508 ▲3,025 ▲0.21
和歌山 1,083,391 ▲4,223 ▲0.39
鳥取 616,642 ▲436 ▲0.07
島根 759,303 ▲2,841 ▲0.37
岡山 1,957,228 ▲301 ▲0.02
広島 2,869,011 ▲3,185 ▲0,11
山口 1,522,696 ▲6,248 ▲0.41
徳島 829,185 ▲2,056 ▲0.25
香川 1,031,470 ▲1,778 ▲0.17
愛媛 1,505,047 ▲3,795 ▲0.25
高知 816,054 ▲1,815 ▲0.22
福岡 4,990,494 1,267 0.23
佐賀 880,665 ▲1,974 ▲0.22
長崎 1,522,140 ▲5,258 ▲0.34
熊本 1,869,075 ▲1,341 ▲0.07
大分 1,231,533 ▲2,896 ▲O.23
宮崎 1,182,062 ▲2,473 ▲0.21
鹿児島 1,780,157 ▲3,074 ▲0.17
沖縄 1,343,124 9,002 0.67
126,478,672 193,867 0.15
 
中国
第二子認める新法施行
高齢化歯止め狙う
【北京31日=佐伯聡士】中国政府は三十一日、新華社通信を通じて、一組の夫婦に子供一人を提唱する「一人っ子政策」を緩和し、第二子出産も認めるとした「人口及び計画生育法」を九月一日から施行すると発表した。「二人目容認」を法制度上初めて保証することで、高齢化の進行に歯止めをかける狙いだ。
 中国では、一九七九年から産児制限政策が始まったが、立法化されず、各地方政府が独自の規則を定め、対応してきた。労働力確保から複数の子供の出産を認めてきた農村に対し、都市部では、厳格な「一人っ子政策」が展開されてきた。
 新法は産児制限政策の継承をうたう一方で、「法律、規則の条件を満たす者は、第二子出産を(関係部門に)求めることができる」と明記している。現在、地方政府の規則の大半にある「夫婦とも一人っ子の場合、第二子を産める」との規定が、法的裏付けにより都市部でも機能することになる。
(読売新聞 二〇〇二・九・一)
 
人口
高齢化・少子化加速続く
百歳以上一万七九三四人に
子育て支援へ奨学金創設/無利子で年50万円
 厚生労働省は十日午前、公的年金の積立金を財源に高校・大学などの生徒・学生一人に対し、年間五十万円を限度に無利子で融資する「若者皆奨学金制度」の創設などを社会保障審議会年金部会に提示した。少子化対策の一環で、高等教育にかかる親の負担を軽減することで経済的な不安の解消を図るとともに、将来の年金の支え手を確保するのが狙いだ。
 同省によると、若者皆奨学金の融資対象は「十六歳から二十歳代後半までの生徒・学生」。「経済的理由により修学困難な者」を対象とする日本育英会の奨学金貸与と異なり、次の時代を担う若者すべてに適用する「皆奨学金」という新たな理念を打ち出したのが特徴。融資のためには保護者や二十歳以上の学生が「公的年金の加入者」であることを必要とし、返済を怠った場合に公的年金の給付減額も想定している。
 奨学金の返還は二十年期限で、生徒・学生が就職後に支払うのを基本とする。企業などに就職し、厚生年金などに加入する際には「奨学金の返還」を義務付ける考えだ。
 同省などの試算では、全国の生徒・学生約八○○万人に五十万円を融資するために必要な経費は年間約四兆円となる。財源には厚生年金など公的年金の積立金約二〇○兆円を活用する。
 このほか、同日の年金部会では(1)現在、最長一年になっている育児休業期間の厚生年金の保険料免除期間を三年に延長する(2)自営業者ら国民年金加入者にも育児期間中の保険料免除制度を設けるなどの論点が示された。【因幡健悦】
 
百歳以上・32年連続最多更新/増加、二〇七〇年代まで
 今月末までに百歳以上となるお年寄りは、前年より二四五九人増えて一万七九三四人となり、三十二年連続で過去最多を更新したことが十日、厚生労働省の発表した「全国高齢者名簿」(長寿番付)で分かった。今年度中に百歳の誕生日を迎えるお年寄りも、前年より一二四七人増えて一万五十二人と、初の一万人台に。長寿日本一は女性が十六日で一一五歳になる本郷かまとさん(鹿児島市)で四年連続、男性が三年連続で一一三歳の中願寺雄吉さん(福岡県)となった。
 長寿番付は三十日時点の年齢をもとに、一日現在で集計。今月末までに百歳以上となる男性は二八七五人、女性は一万五〇五九人で、女性が全体の八四%を占めた。
 人口十万人当たりの百歳以上の長寿者数は全国平均が一四・〇九人。都道府県別の上位は(1)沖縄県(三九・五人)(3)高知県(三五・〇六人)(3)島根県(二八・六五人)の順で、沖縄県は九十年以来十三年連続のトップ。逆に少ないのは(1)埼玉県(六・五六人)(2)青森県(七・五三人)(3)愛知県(八・六一人)で、今年も「西高東低」の傾向は変わらなかった。
 厚労省老健局は「長寿者の数は、団塊の世代の子どもたちが百歳に到達する二〇七〇年代にピークを迎える」とみており、右肩上がりの増加が続きそうだ。【須山勉】
 
◇全国の長寿者上位20人◇
順位 性別 年齢 住所
(1) 本郷かまと 115 鹿児島市
(2) 中願寺雄吉 113 福岡県小郡市
(3) 川手ミトヨ 113 広島市
(4) 小山ウラ 112 福岡県飯塚市
(5) 伊藤ミセ 111 静岡市
(6) 三澤つる 111 兵庫県芦屋市
(7) 谷久米吉 111 徳島県小松島市
(8) 橋元唯之助 111 兵庫県三田市
(9) 田中沢世 111 福岡県行橋市
(10) 矢野こみつ 110 神戸市
(11) 仲宗根蒲 110 沖縄県具志川市
(12) 田上きんの 110 岐阜県下呂町
(13) 福原ツル 110 沖縄県金城町
(14) 遠藤豊 110 静岡市
(15) 米原ヨキ 110 島根県出雲市
(16) 田村宇太郎 110 東京都世田谷区
(17) 川田紀夫 110 徳島市
(18) 宇栄カメ 110 那覇市
(19) 比嘉カメ 110 那覇市
(20) 嶋津はる 110 横浜市
(敬称略。年齢は9月30日現在)
 
多様な働き方へ選択肢の確率を/〇二年版厚労省白書
 坂口力厚生労働相は十日の閣議に〇二年版厚生労働白書を提出した。少子・高齢化による生産年齢人口の減少と経済・産業構造の変化を受けて、社会を支えている現役世代の働き方や所得水準について分析を行った。
 女性の働き方についてみると会社員、公務員などの雇用されている女性は夫が雇用されている世帯の半数を占めるまで増え、育児のため二十五〜三十四歳の層で女性労働力が減るMカーブも浅くなるなど、現役世代を通じて就業する人が増えている。
 半面、女性はパートタイム労働者の七割近くを占め、一般労働者との賃金格差が広がっている。
 白書は「会社人間の夫とそれを支える専業主婦の妻」から、男女ともにライフサイクルや就労意識に応じて働き方が変化するため、働き方の多様な選択肢と公正な処遇を確立すべきだと指摘した。
 白書はまた、公的年金制度に対する不安感の高まりを受け「我が国の経済社会が存続する限り、公的年金制度がつぶれることはあり得ない」と異例の反論を掲載している。
【高安厚至】
(毎日新聞 二〇〇二・九・一〇(夕刊))







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION