日本財団 図書館


中小造船業及び舶用工業の需要創出について関係省庁に要望
 当会は、中小造船業の経営環境が依然として厳しい状況にあるため、去る9月11日に(社)日本舶用工業会及び(社)日本船舶電装協会と連名で国土交通省海事局長並びに海上保安庁長官に対して、官公庁船の増強、代替建造促進等について次のとおり要望しました。また、官公庁船を多数保有する他の省庁に対しても今後、所管船舶の代替建造の促進等について同様の要望を行うこととしています。
 
中小造船業及び舶用工業の需要創出に関する要望
(国土交通省海事局長宛)
 中小造船業及び舶用工業対策に関しましては、常々格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます。
 さて、わが国中小造船業及び舶用工業は、内航船、漁船、官公庁船等中小型船舶の建造、修理を通じ、我が国の安定的な海上輸送、海上災害の防止、海洋秩序の維持等に寄与するとともに、地域経済の発展と雇用の確保に大きく貢献しているものと自負しております。
 しかしながら、荷主業界の再編等に伴う内航物流構造の変化、国際的漁業規制の強化による漁船の減船等により、新造船、修繕船ともに仕事量が激減しており、このまま推移すれば、わが国中小造船業及び舶用工業の衰退は必至の状態に置かれております。
 このような状況に対処するため、我々業界は、経営基盤の強化に全力で取り組んでいるところではございますが、昨年度の中小型船の竣工量がピーク時の30%にまで減少する等、雇用維持に必要最低限の工事量確保さえ著しく困難な状況にあります。
 そうした中において、平成12年12月に中小企業経営革新支援法に基づく特定業種の指定を受けて、平成13年11月から5カ年計画で事業再構築を柱とする経営基盤強化計画を推進しているところでございますが、依然として景気回復の兆しは見あたらず、経営は一段と厳しさを増しております。
 つきましては、下記官公庁船の増強、代替建造の促進並びに既存船の修繕について政府の予算措置が講じられますよう特段のご配慮を賜りたくお願い申し上げます。
1. 国土交通省港湾局浚渫船等
2. 海上保安庁巡視船艇等
3. 水産庁漁業調査船等
4. 警察庁警備艇
5. 地方自治体所轄船舶
 
 (社)日本造船工業会並びに当会は去る9月28日、造船教育プログラム「造船技術者社会人教育」の最終講義の後、第二期生の修了式を大阪大学(吹田キャンパス)にて執り行いました。
 「造船技術者社会人教育」は、造船関連大学の先生方のご協力のもと、我が国造船業界の若手技術者の技術力向上を図ることを目的に昨年度から開講しているもので、第2回目となる今回は4月14日に開講の運びとなりました。本教育はEメールによる6ヶ月間の通信教育と3日間のスクーリングからなりますが、教育コースについては前回の材料・構造力学、流体力学、力学・運動学、計画学の4コースに生産計画・管理及び機関の2コースが加わり、より充実した教育プログラムとなりました。受講生は昨年度の77名を大幅に上回る134名に達し、各自自社業務に精励しながら半年に及ぶ通信教育に取り組まれ、この日無事修了式を迎えられました。
 本教育プログラムは受講生はじめ関係各位から高い評価を頂いており、今後も継続して実施していくこととしています。最後に今回の「造船技術者社会人教育」の運営にご尽力賜りました先生方はじめ関係者の皆様に本誌を借りて厚くお礼申し上げます。
 
第2回「造船技術者社会人教育」概要
1. 教育コース・講師
<材料・構造力学コース>
冨田康光教授(大阪大学大学院)
矢尾哲也教授(大阪大学大学院)
<流体力学コース>
姫野洋司教授(大阪府立大学大学院)
鈴木敏夫教授(大阪大学大学院)
<力学・運動学コース>
内藤 林教授(大阪大学大学院)
池田良穂教授(大阪府立大学大学院)
小林英一教授(神戸商船大学)
<計画学コース>
福地信義教授(九州大学大学院)
細田龍介教授(大阪府立大学大学院)
元綱数道氏
<生産計画・管理コース>
野本敏治教授(東京大学大学院)
大野伊左男顧問((株)サノヤス・ヒシノ明昌)
<機関コース>
岡田 博教授(東京商船大学)
畔津昭彦教授(東海大学)(順不同)
2. 教育期間・内容
集中講義:3日間
通信教育(Eメール):6ヶ月間
3. 受講生
総数134名(材料・構造力学29名、流体力学5名、力学・運動学12名、計画学21名、生産計画・管理30名、機関37名)(造工会員16社114名、中小造工会員8社20名)
4. 推進体制
主催:(社)日本造船工業会、(社)日本中小型造船工業会
協賛:(社)日本造船学会、関西造船協会、西部造船会、(社)日本マリンエンジニアリング学会
5. お問い合わせ先
(社)日本造船工業会・技術部(西村)
TEL:03−3502−2019 E−Mail:nishimura@sajn.or.jp
 
田所日本造船工業会技術委員長
 
冨田大阪大学大学院教授
 
修了式後懇親会
 
 平成15年度予算の概算要求が各省庁から発表されましたが、このうち船舶建造関係の主要なものは次のとおりです。平成13年度にスタートした次世代内航船「スーパーエコシップ」の研究開発では実証船設計やポッドの実寸モデル製作等に9億4,800万円の要求が行われています。また、環境負荷や運航コストの低減等を目的としたノンバラスト船及び帆走船の研究開発を行うために「低環境負荷型外航船(グリーンシップ)の開発」(1億3,000万円)が新規に要求されています。
 
1. 運輸施設整備事業団(船舶関係)
区分 平成14年度当初予算 平成15年度予算要求
総トン数(GT) 金額(億円) 総トン数(GT) 金額(億円)
旅客船 24,000 121 16,400 116
貨物船 94,000 280 95,000 305
合計 118,000 401 111,400 421
注1. 事業計画(契約)ベース。
2. 制度改正に関しては、モーダルシフト船の一部に係る共有比率の1割引き上げ(8割→9割)が要求されている。
 
2.次世代内航船(スーパーエコシップ)の研究開発
目的: 内航物流におけるコスト削減と快適な労働環境を実現して内航海運を活性化
  モーダルシフトの促進及び運輸分野からの環境負荷を低減
内容: ガスタービン対応型新船型及び電気推進式二重反転ポッドプロペラをコンセプトとした、環境負荷及び輸送コストが小さく、静かで、船上メンテナンスが不要な次世代内航船の研究開発を行う。(平成13年度〜平成17年度)
区分 平成14年度当初予算 平成15年度予算要求
歳出予算 3億9,000万円 9億4,800万円
 
(拡大画面:80KB)
 
3. 低環境負荷型外航船(グリーンシップ)の開発(新規)
 
目的: 外航海運分野からの環境負荷(バラスト水問題、温室効果ガス問題)の低減
  輸送コストの低減による外航海運の活性化
  先端技術開発による造船、舶用関連工業の競争力強化
内容: 外来生物拡散防止をコンセプトとしたノンバラスト船型、バラスト水処理装置等の開発とともに、従来型帆走技術の総合的な見直しによる新形式高揚力帆等の開発により、低環境負荷と採算性を両立した低環境負荷型外航船(グリーンシップ)の研究開発を行う。
区分 平成14年度当初予算 平成15年度予算要求
歳出予算 1億3,000万円
 
〔ノンバラスト船の研究開発〕
(平成15年度〜16年度)
(拡大画面:54KB)
 
〔帆走船の研究開発〕
(平成15年度〜18年度)
(拡大画面:44KB)
 
4. 離島航路整備補助
 離島航路船舶近代化建造費補助金
 離島航路就航船舶の近代化及びバリアフリー化を図るため、これに要する費用の一部を補助する。
区分 平成14年度当初予算 平成15年度予算要求
歳出予算 8,300万円 7,400万円
 
5. 官公庁船(新規)
 
区分 平成14年度当初予算 平成15年度予算要求
海上保安庁 大型巡視船×1隻 ヘリ甲板付高速高機能大型巡視船×3隻
中型巡視船×1隻 高速高機能大型巡視船×3隻
小型巡視船×1隻 高速特殊警備船×5隻
国土交通省 港湾局 環境整備船×1隻(有明海・八代海域配備) 大型浚渫兼油回収船×1隻(名古屋港配備)
防衛庁(支援船) 交通船×1隻
文部科学省 水産高校向実習船×大型3隻(青森県・宮城県・鳥取県) 長崎大学実習船X1隻
水産庁 漁業調査船×1隻(北光丸の代替建造)
 
(拡大画面:53KB)
 
(拡大画面:16KB)
 
(拡大画面:17KB)







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION