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第3章
1. 船の一生の間に受ける外力の大きさと回数、構造物に外力がかかった場合にどのような応力が生じ、変形が起こるかを研究するのが構造力学であるから、船体構造を安全かつ合理的に設計するには、構造力学の知識が必要である。また構造力学をもとにして構造基準によって主要部材の寸法は与えられているが、部材の結合法とか、特別な構造の部分とかは、構造設計者が構造力学の知識をもって設計を行なわなければならない。
 構造設計は船一生の経費を最小とするよういろいろの考慮をして、ものをまとめることで経済という考え方をとり入れた最適設計をしなければならない。これが工学の一分野である構造力学と異なっている点である。
2. 横式構造−ブロック建造のとき小形の縦通材の継手が少ないので、船台上の作業が楽である。漁船の魚倉や機関室下部の小容量のタンクなどのように水密の肋板を多数必要とする場合には横式構造が有利である。小型船の船側構造には横式構造が有利である。
 縦式構造−超大型船とか長大な船倉を有する船には縦強度の点で有利である。船底部の凹損対策には縦式構造が有利である。また甲板の有効断面積を大きくとれないときには、甲板梁を縦式構造とすると有利である。
 混合構造−船底と甲板を縦式構造とし、船側を横式構造としたものを混合構造といい、工作の点でも、縦強度の点でも有利である。この場合も、船首尾部、機関室船底は横式構造がよい。
3. 鋼板を組み合わせた場合に、鋼板がヘナヘナするのを止めるために、鋼板に沿わして溶接で取り付ける平鋼、山形鋼などをいう。外板に対する肋骨、甲板に対する甲板梁なども防撓材の役目をする。水密隔壁の立防撓材、船首尾部の外板防撓材、船底平坦部の外板防撓材、甲板室壁の防撓材が本来の防撓材の役目をする。
 防撓材の取付けに当っては、まず取り付けられる板とのバランスが必要(防撓材の断面係数、フランジとウエブの厚さ)であり、次に端部において剛性の急激な変化を避けねばならない。すなわち適当なブラケットで他の防撓材に連結させるか、またはブラケットを用いないときは、溶接で端部を直交部材に直付けするか(クリップ)、フランジを切り、ウエブをテーパーさせたスニップエンドとする。この端末の固着法が適切でないと悪い影響がある。
4. 船体中央(船体中央)から前後それぞれ0.2Lの間を0.4L船体中央といい、これを船体中央部という。(0.5L船体中央をいう場合もある。)ここは縦方向の曲げモーメントがもっとも大きな箇所であるので、縦強度部材はこの間を寸法一定で全通させねばならない。中央横断面の断面係数を計算する場合にも、0.4L船体中央に全通する縦強度部材のみを有効として採用している。
5. 二重底内のタンクの区画(水密肋板の配置)、水密隔壁の位置、船楼端隔壁の位置、主機関台の位置(側桁板の配置)、倉口・機関室口の大きさ(甲板下縦桁の配置)、梁柱の位置、特設肋骨、特設梁の位置、マスト・デリック・ポストの位置、などに注意を要する。
 構造が連続し、力の伝達が滑らかに行くこと、開口部の補強、集中荷重を受ける場所の力の散らし方に注意を要する。
6. リベット・シーム(鋲縦縁)箇所、ブロック分割の箇所は構造図を画く前に決めておかなければならない。ブロック分割については、工程とかクレーン容量とかも考慮の対象となる。リベット・シームはぜい性破壊の伝わるのを防止する意味で望ましい(NKではL60m以下は不要としている)が、リベット工の払底のため、だんだん廃止の方向に向い、その代り鋼材を高級にすることが多くなってきた。
 防撓材の端末の処理、切り抜き孔の位置と大きさなどにも工作標準があり、詳細図ではその指示が必要であるが、基本図でもこれを考えて非常識な図面を画かないようにする。
7. 外板、平板竜骨、中心線桁板(単底のときは中心線内竜骨)、内底板縁板、(船底縦肋骨、内底縦肋骨、縦通梁、船側縦肋骨)、甲板口側線外の強力甲板および第二甲板、舷縁山形鋼または舷縁平鋼。( )内は縦式構造の場合のみ)
  
8.
(a)FLAT BAR(フラット・バー)平鋼
 
 
(b)FLANGE(フランジ)曲縁
 
 
(c)SNIP(スニップ)形鋼のフランジを切除すること
 
 
(d)RIVET(リベット)リベット・シーム
 
 
(e)船体中央部0.5L間
 
 
(f)BULKHEAD(バルクヘッド)隔壁
 
 
(g)LONGITUDINAL(ロンジチューヂナル)ロンジ、縦通材
 
 
(h)WEB FRAME(ウエブ・フレーム)特設肋骨
 
(i)UNDER(アンダー)甲板下面に・・・あり
9. 中央横断面図:船殻構造の主体となる縦強度部材(平板竜骨、外板、船側厚板、梁上側板、甲板、舷縁山形鋼、縦通肋骨、縦通梁、中心線桁板、内底板、縁板)とその他の縦通部材(側桁板、船側縦通材、甲板下縦桁、倉口縁板、内張板、舷墻など)、および横強度部材(肋板骨、甲板梁、外側肘板、梁肘板、肋材防撓材など)の配置と寸法を記入する。図面には、船体中央部の船倉部、機関室の横断面(中心線の片側だけ)を画く。
 鋼材構造図:外板を除いた長さ方向の構造方式と部材寸法を示す。中心線縦断面図(二重底内の肋板配置、特設肋骨、梁柱位置、甲板の配置などを図示し、肋骨、特設肋骨の寸法を示す)、各甲板平面図(甲板の板割りと寸法、甲板梁の寸法、隔壁、鋼製壁の位置、甲板下縦桁板、側桁板の寸法、外側肘板の位置、二重底内タンクの区画、単底上面の構造)を画く。
 外板展開図:鋼材構造図に表われない平板竜骨、船底外板、船側外板、舷側厚板、舷墻板などの板割りと寸法を示すのが主体で、横縁(バット)と縦縁(シーム)の配置とそれぞれの板の展開寸法が決められる。外板に取付けられる船底縦肋骨、側桁板、彎曲部竜骨、二重底縁板、船側縦通材、肋骨、隔壁の位置も示される。船首船底補強部の範囲も示され、まだ外板ブロックの分割位置も記入される。







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