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船殻設計

 事業名 小型造船技術講習
 団体名 日本中小型造船工業会 注目度注目度5


2.4 横強度
 船体が受ける水圧、甲板荷重、積荷、構造および機関などの重量などの外力に対抗して船体の横方向の外形を保つためフロア、フレーム、甲板、ビーム、ブラケット、ピラー、ウエブフレーム、ストロングビームなど適当に結合して横部材系を設ける。これらの横部材の強さを横強度といい、計算の際は船体の1フレームスペース間の横部材系だけについて考え、これらに結合されている底桁、甲板下カーダおよび船側縦材などの縦通材の影響は無視する。
 もともと船の強度を論ずるのに、縦強度と横強度に分けて各々独立に取扱うのは全く便宜的なものであり、本来ならば船を一個の立体的構造物としてその綜合強度を論ずるのが正しいやり方である。しかし、それは一つの理想であって、船のように複雑な構造物ではとうてい不可能なことである。したがって、実用的な理論的取扱い法が考案されるまでは従来の方法によるほかはない。
 この意味において横強度も、縦強度と同様に絶対的なものではなく、同様な計算法による他船の結果に対する比較強度と考えられる。
前節で述べた縦強度計算の裏には、横強度が十分あって縦強度を受け持つ外板や甲板がいつも正しい位置で働くことができるということが前提条件となっているし、また、横強度の計算には、横強度を受け持つフレームや甲板ビームの外側には外板や甲板があって横強度に大きな加勢をしていることを忘れてはならない。このような縦部材の影響を考慮する必要がある場合は、また別に縦横部材の相互干渉を考慮した立体的強度計算法によらなければならない。
2.4.1 横強度計算の基準
 商船では船級協会規則とか船舶安全法に基づいて構造寸法を決定するので、特に横強度計算を要求されていない。多くの船では横強度は十分余裕があるものであって、破損例を調べても横強度の不足によるものは少ないものである。しかし、無甲板船、長倉口船など、とくに横強度が不足と思われる場合には計算を行なう。とくに潜水艦の場合は縦強度よりも横強度計算の方が重要である。
(1)横強度部材
 船の横強度は甲板ビーム、フレーム、フロアなどよりなる骨組構造と横隔壁との二要素で保持されている。船の横強度を比較するには、両者のうちいずれか一つについてその強度を計算すればよい。一般には横強度の主要材として骨組構造の方をとっている。
 横強度部材としては、フレーム・甲板ビーム・ブラケット・縁板・フロア・1フレームスペースの幅の外板・甲板・内底板・ピラーなどをとる。
(2)荷重の標準
(a)水圧
 横強度計算の際考慮すべき最も酷な荷重状態としては喫水線の高さが最も高くなる満載ホッギング状態が考えられるが、横強度計算では満載喫水線までの静水圧をとるのが普通である。この場合、静水面からhmの深さで横部材が海水から受ける圧力は外板面に垂直後方に1,025hkgf/m2である。
 横強度計算は1フレームスペース間の横部材について行なうので、上記の水圧分布にフレームスペースをかけて横部材単位長に対する荷重分布を算出する。
(b)甲板荷重
 上甲板暴露部の荷重として甲板積貨物または甲板上に打ち上げられる海水の重量を考える。この場合密度fckgf/m3の貨物をhcmの高さに積んだ場合、貨物による圧力はfc・hckg/m2であるが、fcは貨物を均質とした値であるから、一般にはその空げきを考えてこれよりいくらか小さな値をとるべきである。甲板に打ち上げた海水の重量に対しては、普通ブルワークの高さhbmの水頭をもつ海水の静水圧1,025hbkgf/m2をとる。
 また、甲板間貨物による荷重は、上と同様に、すきまを考慮した貨物の平均密度fckgf/m3と甲板間高さHcmとからfc・Hckgf/m2となる。この場合、貨物は船側に対しても側圧を及ぼすはずであるが、外板の外側から働く水圧の効果を打消す方法に働くから、安全側をとって普通これを無視している。
 以上の水圧の和の分布にフレームスペースをかけ横部材の単位長に対する荷重分布を求める。
(c)構造重量
 強度計算を行なう部分の1フレームスペース間について横部材の各位置における構造の単位長当りの重量を算出し前項までに述べた荷重分布に重ね合わせる。
(d)せん断力
 以上に述べた1フレームスペース間に加わる荷重の垂直成分の総和は一般に0にならず、これだけでは上下方向の釣合条件は満足されていない。このほかに外板およびその他の縦通材を通じて隣接した部分から伝達されてくるせん断力を考慮することによりこれが満足される(第2.30図参照)。その大きさは縦強度計算の際求めたせん断力曲線を使って前後のフレームスペースとの境界断面に働くせん断力応力の分布を求めることはできるが、簡単のためこれは行なわず、前に述べた水圧、貨物、構造および機関の重量の総代数和を求め、これと大きさを等しく向きが反対なせん断力が両舷の船側外板に半分ずつかかるものとして横部材系全体の垂直方向の釣合条件を満足させる(第2.31図(a))。
 
第2.30図
 
 ただし、これは貨物船の構造のように縦隔壁がない場合についてであって、第2.31図(b)のように船側外板以外に縦隔壁のある場合は、簡単に1/4・Fずつのせん断力がそれぞれ一様に分布するものと考える。
 
(a)
(b)
第2.31図
 
2.4.2 横強度計算例
 以上のような荷重分布により、横断面の骨組構造の横部材各断面に生ずる曲げモーメント、せん断力、軸方向力の分布を求めた計算例を第2.32図に示す。
 
(拡大画面:33KB)
第2.32図 −
列倉内ピラーを有する単甲板船のモーメント分布(ダールマンの計算)
 
2.5 局部強度
 いままでは、船全体を一つの構造物としてその縦強度および横強度を論じてきたが、船にはこの他に、その一部分だけに働く力があるから、これに対しても十分の強度を持たせなければならない。
 これらの局部強度は、船体各所にわたる事がらなので、これを残らず論じることはできないし、またこれらの多くは材料力学の応用によって解くことができる。(詳細は第3章にのべることとする。)







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