|
8.2 速力及び主機出力の推定
小型高速船艇は主要寸法、船型形状、用途、速力範囲、航走姿勢等が多岐に亘る外、水槽での高速域モデルテスト設備能力面の問題や経済上の理由等に制約され、大型船のような汎用的推進・抵抗性能関係の資料は十分には整備されているとは言えない。
この様な現状の中で、初期計画段階での速力と主機出力の略算推定に良く使用されているのが丹羽誠一氏及び大隅三彦氏のチャートである。
8.2.1 丹羽チャート
図8−2にハードチャイン型、図8−3にディープV型の推定チャートを示す。何れもV／△1／6及びLOA／△1／3をパラメータにしたチャートからBHP／△・Vを読み、各載荷状態の排水量とその速力範囲に対するBHPを求める。一般にはハードチャイン型とディープV型との判別が難しいので、両チャートでチェックするのが望ましい。
| △ |
△，△1／3，△1／6 |
| V |
V1 |
V2 |
V3 |
V4 |
| BHP／△・V |
|
|
|
|
| BHP |
|
|
|
|
|
8.2.2 大隅チャート
1）BHP推定法
LWL／△1／6、vs／√LWLをパラメータとしたチャート（図8−4参照）よりBHP／β・△L1.14の値を読みとり、これからBHPを求める。
| △ |
△，△1.14 |
| VS |
VS1 |
VS2 |
VS3 |
VS4 |
| Vs／√LWL |
|
|
|
|
| BHP／β・△1.14 |
|
|
|
|
| BHP |
|
|
|
|
|
2）裸殻有効馬力EHPnからBHPを推定する方法（図8−5参照）
BHP＝EHPa／η＝（1＋α）・β・γ・EHPn
η：推進係数，EHPa：付加物付有効馬力
α：空気及び付加物の抵抗係数＝0.03＋0.07×プロペラ軸数
β：長さ係数LWL＞25m β＝1.12−0.0048LWL
LWL≦25m β＝1
γ：スケグ抵抗係数＝スケグ及びビルジキールを含む浸水面積／含まぬ浸水面積
η＝η t・η r・η o・η H←各記号は 8.1参照（η r＝η R）。又各数値は図8−5の左上部のカーブから求める。 EHPnは図8−5のチャートよりEHPn／△1.14の値を読みとり、これをベースにEHPaを算定する。
| （拡大画面：100KB） |
 |
図8−2 丹羽誠一氏 ハードチャイン系パワリング・チャート
| （拡大画面：94KB） |
 |
図8−3 丹羽誠一氏 ディープV系パワリング・チャート
図8−4 大隅三彦氏 BHP推定チャート
| （拡大画面：75KB） |
 |
図8−5 大隅三彦氏 EHPn 推定チャート
| （拡大画面：66KB） |
 |
|
