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[演習題解説]
1.2 作画現図と数値現図
演習題:−
 数値現図での船体座標は、なぜ右手系になったのだろうか?
  
 
 [解] 図面や現図の描かれ方に合わせた。伝統的に洋式船舶の図面は、長さ:船尾→船首、幅:左舷で→外、深さ:→上、・・・の方向に昇順(数字が増える)となっている。このL×B×Dに親指×人差し指×中指の順を当てはめると、右手に相当する。
 洋式の建造法は木造時代から、船尾骨材が起点であり、横書き式に肋骨番号が打たれる図面となった。慣習を変える理由もなかった。
 
2.1.2 開孔
演習題:−
 こんな半開孔のような紛らわしい取扱いとせず、NC切断トーチが走るように外周そのものとしたほうが判りやすいのでは?・・・利点/欠点を比較せよ。
  
 
[解] NC切断では、半開孔はない。全く同じ外周切断線である。それで統一してもよいが、設計図での線のグレードや、従来の型定規の感覚から、一品図表現も考え合わせた結果残った取扱いである。
 敢えて言えば、精度上の区分判断としてよい。
 数値現図の導入などの機会に、個々の造船所内で利害得失につき討議して、認識をそろえるとよい。
 
演習題:−
 組立溶接順序・水密要領の決定は、現図技術の範囲か?・・・でなければ、どこで?
  
 
[解] 現図は、もともと設計の補完業務を担わされてきた。この型定規の説明も、かなりの範囲が詳細設計や生産設計の機能に属する。
 それはそれでいいのである。どこかが担うのであれば、情報伝達経路は最短がよい。
 この現図の技術位置や責任が、造船所の経営・設計・現場で正確に理解されていることが、重要である。
 当然、数値現図になれば、この現図技術は、設計に吸収されることになる。
 
2.1.3 部材端の位置:粗切・端伸し・予定線
演習題:−
1)端伸し量+αを型定規に表示するか?また部材にマーキンすべきか?
2)端伸し端部のコーナースカラップのR心は、どこか?
  
 
[解] 「端伸し」であれ「延べ尺」であれ「伸し仕上げ」一般は、伸し位置が「仕上がり形状」である。したがって
1)本来は必要ない。問題はメインテナンスにある。図面に記録がなければ、参考に型定規に残しておく。また現場からのフィードバックを求めて現場に示すときは、マーキンしておく。
2)伸しコーナーである。
 
2.1.9 開先および差越
演習題:−
●どのような場合に差越が必要か。例えば、S付X開先(#17、18)の火入れ順とX先端の精度は?
●必要な場所に差越線を記入するのは現図(型定規)か、それとも(切断場に隣接する)マーキン職か?
  
 
[解] ここでの差越は切断のための位置出し。切断手順を知らないと決められない。
 一般に、
●火は上から下に向けて入れる。スラグを噴き上げないためである。
●サーピンの火は板厚面からしか入らない。そのためS(サーピン)面を下にする。
●両面開先の場合は、下開先から先にとる。
・・・ようである。この際それぞれの造船所の実情を確認しておきたい。
●所要板耳を抑えて取材(ネスティング)するので、それを実際に行なう工程が決める。
 NC切断以外はマーキン職でよいが、現図職も知っておく必要はある。
 
2.1.10 板厚処理:モールドラインからの出し切りと外周端
演習題:−
 上記3)4)の補正で簡略に、倣度を無視、相手板厚分だけ差し引いた直切にすれば、どのような不都合がおこるか?
  
 
[解] ギャップ分の増脚長で済まず、相手板を、押し出したり(他にギャップを空けたり)引付けたり(逆に自分でギャップを空けたり)となり、取付・溶接・歪取りに迷惑を掛けることになる。精度向上は、まず正確な理屈に合う型定規とすることにある。
 
演習題:−
 倣い開先(VX)のある切断辺上のスキャロップ、両辺に倣い開先のある隅切(いずれも水切を含む)は(R心位置、開先度など)どのようにするか?
  
 
[解] それぞれの造船所の工作法プラクティスに応用の利く施工基準を具体的に書き出しておく。
●オープンタイプでは材料寸法減(浅いスティフナに深いスキャロップ:開孔<1/4深さ)に注意し、
●埋め込みタイプでは開先の向き判定(溶接のしやすい側)と溶接のワキ込み(開先角)の確認をする。
 
2.1.14 形鋼フレームとスロットの切断
演習題:−
 このイキナリ切断は、どのような要領で行われているのだろうか。
  
 
[解] 背面でのウェブ端・フランジ端と背角位置の3点を見通す平面を仮想して、背面辺が取り合いに当たるように意識して切るのであるが、切断現場で確認しておきたい。







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