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造船現図指導書(原寸型・定規)

 事業名 小型造船技術講習
 団体名 日本中小型造船工業会 注目度注目度5


 さて、このモールドラインと板逃の押さえ方も、皮板やフレームといった現図上に描かれる主要な構造線に対してであって、その構造線上にある桁板:ウェブ構造を、これまた構成する派生的な、つまり現図上には描かれない類いの小骨やFc.PLには、当てはめない。型定規作成段階で、配置寸法や取付指示に合うように、任意に便宜的に準用するのである。
 例えばT付きのFc.PL、ウェブ板を中心に対称振り分けに取り付ければよく、さきに[図2.1.4 巾裁ちのFc.PL定規]や[図2.2.11 S曲りFc.PL]で見たように、
●どちら側からでも合せができ、
●両舷同一部材となるように、
ウェブ板厚2本線をマーキンするようにしている。
 T付きFc.PLでも[図2.2.12 斜行Fc.PLの曲げ]に見るような展開ものは、両舷対称で同一とはならないが、それでも同類としてウェブ板厚2本線マーキンに揃えている。
 L付きFc.PLの例は[図2.2.3 曲加工記号の表示位置]●Fc.PLのR曲げ・・・にあるが、一般の表示に倣えばいい。L付きは取合い要領によってタイプ分けすることがあり、その区分を[図2.3.6L付きFc.PL各タイプ]に示す。図には、あえて“Li”を表示しているが、なくても分かるものである。
 
図2.3.6 L付きFc.PL各タイプ
 
写真2.2.3 NCマーキン
 
 また、小骨の取付表示については、参考に、NC切断機による取付線+板逃の一筆書きを[写真2.2.3 NCマーキン]に掲げておく。取付線途中の山形折線の向きが板逃である。条材スロットの上の小骨の取付線は条材ウェブ側押さえフランジ向き板逃、開孔部補強小骨の取付線は開孔側押さえで反開孔側に板逃であることが分かる。小骨取付の隅肉溶接代寸法から取付位置が決まるのだから、ごく当然のことではある。
 
2.3.2 部材止まり位置と合マーク
 部材相互の組付け位置決めについては、さきに[図1.3.2 「止まり」位置記入]と[図1.3.1 基準線記入]を比較しているが、ここでは位置合せ全般につき、あらためて整理して説明しておこう。
 
1)端合せ
 [写真2.2.4 端合せ]には、板材に取り付けられた2本の条材が見える。
 上の条材は端部を板縁に合せればよく、下に見える条材と、その端部BKT.の組付けもまた端部どうしを合せればよい。
 端合せには、なんのマーキンもいらない。もっとも単純な合せである。
 
写真2.2.4 端合せ
 
2)フランジトップ合せ
 上記の端合せ写真で、下側のBKT.付き条材の板材への取付は、板材にマーキンされている取合い部材のフランジトップ(ライン:線)を、端部押さえとする。条材端部にはスキャラップがあるが、端部切度の延長線を合せるのである。
 スロット部に取付く小骨の合せは、スロット切抜き型合せで押さえるフランジトップとすることは、すでに[図2.1.32 スロット倣い型の適用]で説明している。
 [写真2.2.5 NCスロット切断]は、倣い型で切ったスロットではないが、やはりフランジトップをNCマーキンしている。写真の鍵形(キー)スロット長円孔の左は不明瞭な写りであるが、短いフランジトップ線がある。短いのは条材のウェブ線に対称に描くソフト仕様になっているからである。
 合せる線は、小骨もスキャロップ、スロットも開孔部内で、空間上での点一致となるが、取付け作業では差金を使うのを前提にしていることを意味する。
 
写真2.2.5 NCスロット切断
 
3)合マーク
 [図2.3.7 「止まり」位置と合マーク]に、フレームエンドBKT.を膜板に先付する場合の位置合せ要領を示す。
(1)が「止まり」記号位置にBKT.端を決める方式
(2)が取り合う両部材に「揃え位置」のマークを入れておく方式
で、どちらも同じ目的のものである。
 
図2.3.7 「止まり」位置と合マーク
 
 「揃え位置」マークであることを示す記号:MKは、他との識別を強調するときにのみ付加する。
 スロット位置の小骨は、上記のようにフランジトップで位置決めするが、それが成り立たない場合がある。例えば、曲りの大きいビルジ外板でロンジフレーム先付としたとき、通常スロットではトランスウェブの後付け嵌め込みができず、初めからスロット間を切り離しておく施工法とされる場合である。この場合のようなスロットを、フランジトップラインがスロット開孔を跨いで完全に描けないため、特に「不完全スロット」と呼ぶが、このときの要領を[図2.3.8 不完全スロットの合マーク]に示す。マーク位置は、フランジトップから取付線沿いに100・・・など切りよく覚えやすい差越寸法で、取り決めておくとよい。そうすればMK記号は付加しなくても判断できる。
 
 そこで、これらの位置合せの方法を、両部材の相対的な取付精度の面から比較してみよう。
 端合せは、端部そのものを合せるので、誤差は入らない。つまり→0
 止まり位置合せは、止まり位置マーキンされた部材の、その端部に対するマーキン誤差だけが入る。マーキン誤差が±1mmなら、そのまま→±1mm。
 合マークは、両部材の、それぞれの端部に対する合マークのマーキン誤差が重なる。
 誤差は→±1mm±1mm一±2mm
 そして更に、型定規記入とマーキン記入の手間を考え併せると、必ずしもそれらの方法が並列して選べる訳ではないが、どの方法が優れているか、自明であろう。
 まさしく、シンプル・イズ・ベストである。
 
図2.3.8 不完全スロットの合マーク
 
 この組付け位置合せにおいて、再度強調しておきたいのは、いまなお多くの造船所で目に付く[図1.3.1 基準線記入]にみるような、伝統的な船体基準線合せである。これが上記の比較で劣位にある合マーク相当であることは、すぐ理解できよう。合マークよりタチが悪いことには、基準線マーキンのためだけで、部材の共通性が失われる場合があることも指摘しておきたい。この根強い基準線方式の裏には、造船工作における部材加工精度やブロック組立精度に関する不信感があるように思えてならない。キッチリとモノ作りをやれば、モノ自体が証拠になるというのが近代工学の方向ではないのか。







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