日本財団 図書館

共通ヘッダを読みとばす


Top > 技術 > 海洋工学.船舶工学.兵器 > 成果物情報

造船現図指導書(原寸型・定規)

 事業名 小型造船技術講習
 団体名 日本中小型造船工業会 注目度注目度5


1.3 現状の問題点
 よく観察すると現図の本質が顧みられず、分業により慣習化した垢と贅肉が溜まっているのがわかる。
 このことは伝統的な従来からの手作業で目立つが、コンピュータ・システムになっても、そのまま引継がれているものがある。
 
1.3.1 造船所基準尺の維持と各工程の物差しの較正
 まず計測の標準を明確にしたい。例えば:−
「基準尺は現図にて保管。それにより造船所内の寸法物差し類は毎年較正し、結果の記録を残す。管理責任は使用工程にある」。
「巻尺は、気温20度Cで5kgの張力を与えて、計測する」
などがある。
 「原寸」の根拠と、その伝達を確保するためである。
 
1.3.2 手作業作画とコンピュータ処理の混用
 採用された数値現図が、NC機械の手段に止まっている問題である。
 数値現図は、切断工の省力化にしか役だっていない。
 
 現図が、現図場の床とコンピュータの中と、2か所に分散してあると、「原寸」が同じでなくなる。バッテンで描くカーブと機械計算のカーブは原理的には一致しないからだ。
 
 結局は現図床「原寸」が船体の証拠として残り、数値「原寸」は補助に止まる。コンピュータ化に対する古い疑念は温存され、技術向上への重い鎖となろう。
 
 混用では、作業者の教育・習熟も二重になる。
 二重になるより、別流れに分離する傾向となりやすい。つまり:−
 年配/現図が解る作業者:ベテラン手作業の人
 若者/現図に弱い作業者:初心者=キーボードの人
この二層が、水と油のように融合しない。現図の本質が解る技術者なら、最も恐れる事態である。NC導入が仇になるのだ。
 人的構成や慣行により全体精度も低きに流れる。
 せっかくNC化に踏切り、加工精度の向上を狙っても、NC切断範囲はともかく、全体精度には、さしたる変化が見えないはずである。
 
 このように、すべてが、どちらかというと従来からの手作業の方に凭れることになってしまう。もともとNC化と数値現図化は異なる概念である。この本質が混同され、現象面から誤解されてきたのが、この混用の原因であろう。目的と手段の逆転としてもよい。
 小型船ほど、NC切断の効果は薄い。導入するのであれば、現図床を全廃する数値現図化でなければ意味がない。目的は原寸精度の飛躍的向上にある。
 
 併用・混用の理由としては、管理や指導のあり方もあるが、システムの選定にも関わりがある。ここでは詳細な説明は避けるが、フェアリングの機能や部品処理機能の不備・非効率を、まず問いたい。
 またシステムは常時メインテナンスされて、初めて使いものの道具になることも改めて訴えておきたい。導入したままではダメである。
 
1.3.3 不要情報の未整理
 現在、必要性の疑わしいものの第一に“基準線”がある。
 部品段階から多くのWL・BLがマーキンされてゆく。なぜか。
 現図で作成する型定規に記載があるからである。
 
 もし部品相互の位置決めのためなら両部材に合マーク、または一方の端部止まり位置が簡単にもう片方にあればよい。それなのに正規のWL・BLを描き「なにWL」などと能書きを入れている。
図1.3.1基準線記入]と[図1.3.2 「止まり」位置記入]を比較すれば、どちらが「現図+マーキン」の仕事が少なく、端部位置が正確か。
 
図1.3.1 基準線記入
 
図1.3.2 「止まり」位置記入
 
中心線取付
 
一般取付(板逃げ)
図1.3.3 中心線と一般の取付位置の記入
 
図1.3.4 船体基準線配置
 
 また例えば、中心線部材の取付位置には3本の平行線がマーキンされる。
図1.3.3 中心線と一般の取付位置の記入]参照。
 中央の1本は船体中心線:(CとLを重ねたセンターラインの記号)、あとの2本は中心線振り分けの部材板厚である。[中心線=基準線]の概念が固定化しているのである。その他の部材の取付位置には、片面の板厚線1本と板逃指示があるだけである。
 なぜ中心線部材でも一般に同じく、そう簡単なマーキンにしないのか。現図で中心線振り分けを求めるのは必要であるが、型定規には写すべきではない。
 よく基準線としての「WL、BLのマーキンは船台工程に必要、ブロック搭載での位置決めに使用する」との理由が示され、各ブロックに水平・垂直1本ずつ上下前後に整合性があるように、総合検討で定めている造船所がある。[図1.3.4 船体基準線配置]参照。図の(BとLを重ねた記号)は、ベースライン。
 
 それならまだよい。
 だが、地上ブロックで先行塗装する造船所では、どうか。
 基準線を「色あげ」したりしない。基準線そのものがないからだ。そのような造船所では、すでにブロック塗装以前の時代から、ブロック端の「原寸」そのものが搭載位置決めに用いられていた・・・ことを指摘しておきたい。
 
 工作法は進歩し、精度は向上する。「とき・ところ」によって、型定規に盛り込むべき情報の要/不要は変わってゆくのである。
 この問題点は、なにも基準線だけにあるのではない。
 番船区分・指標(上、下、首、尾)表示など・・・多くの型定規記載情報で、その本来の目的が見失われ過剰になってきているのである。以下の具体的項目で、更に説明しよう。







サイトに関するご意見・ご質問・お問合せ   サイトマップ   個人情報保護

日本財団会長笹川陽平ブログはこちら



ランキング
注目度とは?
成果物アクセスランキング
101位
(31,488成果物中)

成果物アクセス数
125,422

集計期間:成果物公開〜現在
更新日: 2019年9月21日

関連する他の成果物

1.アルミニウム合金船の設計・建造の要点
2.平成14年度通信教育造船科講座受講者募集のご案内
3.平成14年度通信教育造船科講座のしおり
4.平成14年度通信教育造船科講座スクーリング(面接指導)実施要領
5.船殻設計
6.船殻設計(学習指導書)
7.平成14年度通信教育造船科講座添削問題
8.平成14年度通信教育造船科講座スクーリング試験問題
9.通信教育造船科講座正解集(平成14年度)
10.船殻ブロックのデジタル生産技術の基礎研究 成果報告書
  [ 同じカテゴリの成果物 ]


アンケートにご協力
御願いします

この成果物は
お役に立ちましたか?


とても役に立った
まあまあ
普通
いまいち
全く役に立たなかった


この成果物をどのような
目的でご覧になりましたか?


レポート等の作成の
参考資料として
研究の一助として
関係者として参照した
興味があったので
間違って辿り着いただけ


ご意見・ご感想

ここで入力されたご質問・資料請求には、ご回答できません。






その他・お問い合わせ
ご質問は こちら から