1.5 対象文書の概要
DISのドキュメントは、一昨年の対象文書であるN871と比べると、UOFは1項目削除され5項目が追加された。またApplication objectは、14個が削除され、新規に25個が追加されている。またマッピングテーブルも大幅に変更されている。DISの構成と状況は次のとおりである。また、本書にて解説する箇所をカッコ内に示す。
Foreword(ISO TC184/SC4 STEPの全体構成を示しているのでここでは解説省略)
Introduction |
・概要 |
(この後で説明) |
1 Scope |
・適用範囲 |
(本書2で説明) |
2 Normative references |
・参照している他のPart |
3 Terms, definitions and abbreviations |
・用語の定義と略語 |
4 Information Requirements |
・要求事項 |
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4.1 Units of Functionarity |
・UoF |
(本書4で説明) |
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4.2 Application objects |
・AP216の対象物 |
(本書5で説明) |
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4.3 Application Assertions |
・Application object間の関係や評価基準等 |
(本書5で説明) |
5 Application interpreted model |
・AIM |
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5.1 Mapping specification |
・UoFに対するマッピングの仕様 |
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5.2 AIM EXPRESS short listing |
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6 Conformance requirements |
・適合条件 |
(本書6で解説) |
Annexes |
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A. AIM EXPRESS expanded listing |
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B. AIM short names |
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C. Implementation method specfic requirements |
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D. Protocol Implementation Conformance Statement(PICS)proforma |
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E. Information object registration |
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F. Application activity model |
・AAM |
(本書3で解説) |
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G. Application reference model |
・ARM |
(本書5で解説) |
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H. AIM EXPRESS-G |
・AIM |
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J. Computer interpretable listings |
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K. Application protocol usage guide |
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L. Technical Discussion |
・技術的審議事項 |
(本書7で解説) |
DISドキュメントのIntroduction(概要)
ISO 10303はコンピュータが解釈できる表現及び製品モデルデータの交換に対する国際規格である。その目的は製品のライフサイクルを通して、各システムとは独立して、製品データを記述できる中立的なメカニズムを用意することである。この記述の特徴は中立的なファイルの交換ができるだけでなく、プロダクトデータベースへのインプリメントやその共用及び記録管理ができることである。
ISO 10303のこのパートは、アプリケーション・プロトコル・シリーズの一つである。ISO 10303のAP216は、船体モールド形状および流体静力学的な特性に対するアプリケーションプロトコルを詳述する。船体モールド形状の定義は、船体外形・プロペラ・ラダー・船体付属物・船体内部構造の幾何学的な表現についてサポートしている。
ISO 10303のAP216は船舶用アプリケーションプロトコルシリーズの1つであり、コンピュータが解釈可能な船用に拡張された製品モデルを提供することを狙いとする。
船舶用アプリケーションプロトコルのシリーズは「船舶製品モデルは船の全ライフサイクルに対するkey element(キー要素)を含むそれぞれの船舶システムに分けて扱うことが出来る」と仮定している。これらのキー要素は、
−ship moulded forms
−ship arrangements
−ship distribution systems
−ship structures
−ship mechanical systems
−ship outfit and furnishings
−ship mission systems
である。区分された各システムは1つ以上の異なるアプリケーションプロトコルで記述される。船用アプリケーションプロトコルの全シリーズを図1-1に示す。各船用アプリケーションプロトコルに共通な船舶製品モデルの上記のような見方は各アプリケーションプロトコルの中で一貫して同じように記述されている。
(拡大画面:43KB) |
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図1−1 船用アプリケーションプロトコル
Annex Lは、船舶用アプリケーションプロトコルとそれらの要素に関する追加の情報を持つ。また、船舶用アプリケーションプロトコルに共通のデータに関する情報も含む。
船舶用アプリケーションプロトコルのシリーズのうち、ISO 10303のAP216は船体モールド形状の幾何を詳述している。
モールド形状は、船を構成する材料の板厚情報を含まない、形状及び設計パラメーターである。モールド形状は、船体外形、プロペラ、ラダー、船体付属物、甲板、隔壁のような構造要素を記述していてもよい。特徴的なmoulded formはhull moulded formとして参照される船体外形形状である。hull moulded formは、初期設計時に各社間で交換されるもので、hydrostatic calculations(排水量等計算)のベースになるものである。
全てのmoulded formsは、ISO 10303のAP216でカバーされる。そして、全体として船を記述しているmoulded formsの集まりはship moulded formと呼ばれる。
このアプリケーションプロトコルは、異なる会社間でhull moulded formの幾何形状およびハイドロスタティックスの電子的交換を容易にすることによって、船体形状設計、性能予測および船体構造設計に対する時間の削減という産業のニーズをみたすものである。また、個々の会社が船の設計と製造のために船体と内部構造の幾何に電子的にアクセスできる統一された手段を提供することによってコンピュータアプリケーションを統合することは、産業のニーズを満たすものである。ship moulded formsの重要な仮定は次の通りである。
− |
ship moulded formと、各moulded formは1つのdefinition(定義)を持っている。 |
− |
ship moulded formは船と関連付けられ、他の複数のmoulded formsから構成されていても良い。 |
− |
definitionは承認され、バージョンが与えられるが、ship moulded formとmoulded formにはこれらが無い。 |
− |
moulded formは、船に対して幾何表現を提供している。 |
ISO 10303のAP216で定義されるUoFsは次の標題にてグループ化される。
−moulded forms;
−product definition framework;
−support resources;
−utilities.
これはさらにDIS-4.1節で詳述される。AP216で定義されるUoFを図1-2に示す。
(拡大画面:19KB) |
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図1−2 AP216で定義されるUoF
AP216で記述される表現は、造船プロセスの一般的な用法における、CAD/CAMやその他のソフトウェアシステム間で異なる入力・出力機能を反映する。サポートされる幾何表現としては次のものがある。
−offset table representation
−wireframe representation
−surface representation
全ての幾何表現はship moulded formの板厚を考慮していない。全ての寸法は、船毎に決めたひとつの単位系をベースとする。全ての表現はship mouded form definitionに関係している。幾何表現は船体表面のmoulded formsあるいは、その他船のモールド面を記述するのに使用することが出来る。
流体静力学的な特性は1つのmoulded formについてのライフサイクル定義の特別なタイプとして考えられる。流体静力学はdisplacement(排水量)、centre of buoyancy(浮心)およびcentre of flotation(浮面心)のような船の喫水に依存している非損傷時の船体の特性である。損傷時の復原性は船の区画情報が記述されないので、AP216ではカバーされない。
注) |
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損傷時の復原性は、ISO 10303 part 215で定義される。 |
AP216は、背景、適用範囲、および船のモールド形状の定義、幾何表現と関連する流体力学的な特性の交換のために必要な情報について定義し、これらの要求を満たすのに必要な統合リソースの仕様を決めている。
アプリケーションプロトコルは、ISO 10303のインプリメンテーションの開発に対する基盤を提供し、APインプリメンテーションの適合テストに対し、論理的なテスト方法を提供している。
DIS−第1章ではAP216の適用範囲を定義し、AP216で使われる機能とデータを総括している。DIS−第3章ではAP216で定義される用語をリストアップし、他で定義されている用語との関係付けを行っている。AAM(application activity model:応用活動モデル)は適用範囲の定義の基礎となっており、DIS-Annex Fに示される。アプリケーションのinformation requirements(必要情報)はアプリケーションの用語を使って、DIS-第4章で示される。必要情報の図式表現は、ARM(application reference model:応用参照モデル)として参照され、DIS-Annex Gに記されている。
リソースの構造は、必要情報に合うように説明される。この説明はAIM(application interpreted model)を作り出している。この説明はDIS-5.1に示され、必要情報とAIMを一致させている。AIMのshort listingは統合リソースとのインタフェースの仕様を決めており、DIS-5.2に示されている。AIMで使われる構造に対する統合リソースの中の定義やEXPRESSが示している注記はselect list items(選択リスト項目)やAIMに取り込まれないsubtypeを含んでいる。DIS-AnnexAに示される拡張リストは注釈なしでAIMに対する完全なEXPRESSを含んでいる。AIMの図式表現は、DIS-AnnexHに示される。特定のインプリメンテーション方法に対する追加要求はDIS-AnnexCに示される。
図1−3に、AP216の為に必要な高水準記述を提供する、データプランニングモデルを示す。このプランニングモデルは、AAM(アプリケーション活動モデル)によるスコープ内のデータによって作られている。そしてプランニングモデルはUoFに分類されている。
このプランニングモデルが、ARM(アプリケーション参照モデル)を開発するためのガイドとして使われる。
図1−3 Data Planning Mod
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