8 CO、CO2、NOx及びO2分析器の干渉の影響
分析しているガス以外に排ガス中に含まれている他のガスは、種々の形で読みに干渉することがある。干渉ガスが計測されているガスとその程度が低くても同じ影響を与える場合、NDIR及びPMDでは、正の干渉が生じることがある。NDIR計では干渉ガスが計測ガスの吸収帯域を広げる場合に、また、CLD計では干渉ガスが放射(発光)をクエンチ(消光)する場合に、負の干渉が生じることがある。分析器を最初に使用する前、及び大きな稼働間隔の後には、下記の8.1及び8.2の干渉チェックを行わなければならない。
8.1 CO分析器干渉チェック
水及びCO2は、CO分析器の性能に干渉することがある。従って、試験中に使用する最大作動範囲の最大目盛80から100%の濃度のCO2スパンガスは、室温で水中に泡排出し、かつ、分析器の反応を記録する。分析器は、300ppm以上の範囲については、最大目盛りの1%以下、また、300ppm未満の範囲については3ppm以下でなければならない。
8.2 NOx分析器のクエンチチェック
CLD(及びHCLD)分析器に対して考慮するガスは、CO2と水蒸気の2つのガスである。これらのガスに対するクエンチ反応は、その濃度に比例し、したがって、試験中に経験から予測される最高濃度におけるクエンチを決める試験技術が必要となる。
8.2.1 CO2クエンチチェック
8.2.1.1 最大作動範囲の最大目盛りの80から100%の濃度をもつCO2スパンガスは、NDIR分析器に通し、そのCO2値をAとして記録する。次にそのガスをNOスパンガスでほぼ50%に希釈し、NDI及び(H)CLDに通し、CO2及びNOの値を、それぞれB及びCとして記録する。次に、CO2を遮断し、NOスパンガスだけを(H)CLDに通し、NO値をDとして記録する。
8.2.1.2 クエンチは、次のとおり計算する。
また、この値は最大目盛りの3%以下でなければならない。
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ここで、 |
A=NDIRで計測した希釈しないCO2濃度
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% |
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B=NDIRで計測した希釈CO2の濃度 |
% |
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C=(H)CLDで計測した希釈NOの濃度 |
ppm |
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D=(H)CLDで計測した希釈しないNO濃度 |
ppm |
8.2.1.3 動的な混合/配合のような、CO2及びNOスパンガス値の希釈及びクエンチの代替方法を使用することは差し支えない。
8.2.2 水によるクエンチチェック
8.2.2.1 このチェックは、湿りガス濃度の計測にだけ適用する。水によるクエンチの計算には、水蒸気によるNOスパンガスの希釈及び試験中に予測される混合ガスの水蒸気濃度のスケーリングを考慮に入れなければならない。
8.2.2.2 通常の作動範囲の最大目盛りの80から100%の濃度をもつNOスパンガスは、(H)CLDに通し、NO値をDとして記録する。次にNOスパンガスを室温で水中に泡排出して(H)CLDに通し、NO値をCとして記録する。分析器の絶対作動圧力及び水の温度を計測し、それぞれE及びFとして記録する。泡排出の水温(F)に対応する混合ガス飽和蒸気圧を計測し、Gとして記録する。混合ガスの水蒸気濃度(%)は、次式で計算する。
結果をHとして記録する。予測される希釈NOスパンガス(水蒸気中の)濃度は、次式によって計算する。
結果をDeとして記録する。ディーゼル排ガスの場合には、試験中に予測される最大排出水蒸気濃度(%)は、燃料の水素/炭素の原子量比を1.8/1と仮定して、希釈されていないCO2スパンガス濃度(上記8.2.1で計測したA)から、次式によって計算する。
Hm=0.9・A (5)
結果をHmとして記録する。
8.2.2.3 水によるクエンチは、次式によって計算する。
その値は3%を超えてはならない。
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ここで、 |
De=予測される希釈されたNO濃度 |
ppm |
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C=希釈されたNO濃度 |
ppm |
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Hm=最大水蒸気濃度 |
% |
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H=実際の水蒸気濃度 |
% |
備考:クエンチの計算には水中へのNO2の溶解が考慮されていないので、このチェックでは、NOスパンガスが、最低濃度のNO2を含有していることは重要である。
8.3 02分析器の干渉
8.3.1 酸素以外のガスによって生じるPMD分析器の計器反応は比較的小さい。一般の排ガス成分の酸素当量を表5に示す。
表5. 酸素当量
100%ガス濃度 |
当量 %O2 |
二酸化炭酸、CO2 |
-0.623 |
一酸化炭素、CO |
-0.354 |
酸化窒素、NO |
+44.4 |
二酸化窒素、NO2 |
+28.7 |
水、H2O |
-0.381 |
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8.3.2 精度の高い計測が行われる場合には、観測された酸素濃度を、次式によって修正しなければならない。
干渉=(当量 %O2・観測濃度)/100 (7)
8.3.3 ZRDO及びECS分析器の場合には、酸素以外のガスによって生じる干渉を、計器供給者の指示に従って補償しなければならない。
9 校正間隔
分析器は、5節によって少なくとも3カ月ごとに又は校正に影響を及ぼすような装置の修理もしくは改造を行ったときは、校正を行わなければならない。
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