2−0 MAN B&W DIESEL
2−1 会社プロフィール
英語名称:MAN B&W Diesel A/S
所在国:デンマーク
本社住所:Teglholmsgade 41, DK−2450, Copenhagen SV, Denmark
MAN B&WディーゼルグループはMANグループの一員であってヨーロッパの大手産業設備機械メーカーである。グループは大型ディーゼルエンジンを自身の工場及び認可された製造者(ライセンシー)とによる製造を専門としている。100総トン以上の船舶推進の市場では支配的な位置を占めている。
FrederikshavnはドイツのAugsburgに本社を置くMAN B&WディーゼルAG、デンマーク/コペンハーゲンのMAN B&WディーゼルA/S、シンガポールのMAN B&Wディーゼル及び油とガス燃焼装置を製造しているInternational Warmetechnikから構成されている。又MANグループはMTLIとの67/33合弁会社であるFrance/St. DenisのS.E.M.T. Pielstickを提携子会社としている。2000年6月MANはフランスのエンジニアリング会社Alstomのディーゼルエンジン部門を買収した。英国に本社を置くAlstom社のエンジンは、陸上用はもとより、主に高速フェリー、海軍、沿岸警備艇及び豪華ヨット等に供用される中速、高速ディーゼル及びガス燃料エンジンを製造している。
MAN B&W A/SはFrederikshavnとHolebyに製造工場を持ちコペンハーゲンに本部を置いている。コペンハーゲンでは開発、2ストローク・ディーゼルエンジンの販売、製造部品、予備品とアフターサービスを担当している。Alpha Dieselとして知られるFrederikshavnの工場では低出力の4ストローク・エンジンを製造し、一方Holebyの工場では舶用及び陸上設備向けの4ストローク発電装置と同時に、燃料混合装置の製造を専門に行っている。
MAN B&Wディーゼルグループの売上高は約1,840億円で、従業員は7,000人以上、そのうちの約33%がデンマークのMAN B&WディーゼルA/Sで働いている。ドイツには更に2,800人の社員が働いていて、彼等の殆んどは排気ガス過給機だけでなく、4ストローク・エンジンを製造しているAugsburgの主力工場で働いている。更にドイツのHamburgとLageにも製造設備を持っている。
MANB&W社は間違いなく世界市場のリーダーとして2ストローク舶用エンジン市場の70%のシェアを獲得している。2,000総トン以上の船舶向けの4ストローク・エンジンに関しては24%、舶用補機では33%のシェアを獲得している。
“Diesel & Gas Turbine Worldwide”が公表した独自の調査では、l00総トン以上の商船でMAN B&Wディーゼル、S.E.M.T. Pielstick、認可メーカー(ライセンシー)で1998年において市場18%のシェアを持っていたと評価された。2,000総トン以上の外航船に関して言えば、数字は24%に上昇するといわれている。低質油燃焼の補機装置の市場では、その数字は更に上昇して35%になるといわれている。
年間250−350台のMAN B&Wエンジンが製造され(それらの殆んどはライセンシーによる)、その出力の総計は1,200−2,000万馬力という。
MCエンジン・シリーズは1983年から始まった。このエンジンは主としてコンテナ船、タンカー、散積船及びその他の貨物船の推進用に使用されている。MC−Cエンジンは1979年に発売され、特にコンテナ船の推進用に設計された。この会社の最も評判の良いエンジンは60MC/MC−Cでそれに次いで50MC/MC−C及び70MC/MC−Cである。
大型中速4ストローク・エンジンに関する開発活動は経済性と信頼性の改善が中心である。最重点は生産コスト及びエンジンの稼動期間と、主要予備品の整備間隔を延長して運航コストの削減を図ることに置かれている。
2−2 研究開発活動
2001年のMAN B&Wディーゼル社が研究・開発に投資した金額は1億ユーロ(124億2,100万円)で売上高の7%に相当する。MAN B&W社のコペンハーゲンのTeglholmen工場に活動の中心を置く、研究・開発センターは1992年に開設され、その広さは1,100平方メートルに及ぶ。そこには研究用のエンジンや試験のための構成部品の研究開発工場も含まれている。研究・開発部門には約80人が従事していて、新企画、研究用実験、性能や基礎研究及び、電子技術の四つのグループに分けられている。
4ストローク・エンジンの研究開発はHolebyとFrederikshavnの工場に配置されている職員の助力を得ながら主にAugsburgで行われている。過去3年以上新しいエンジンの開発活動は500−3,000kWの出力範囲のものに集中していた。Augsburgの生産は殆んど陸上設備用に向けられているが、会社としては舶用の顧客への売上が増えることを望んでいる。
MAN B&W社はディーゼルエンジンからのNOxの排出を減らすために、燃料噴射弁と燃焼のタイミングの改良の研究を行い、MARPOL条約附属書VI(未発効)の要求を満足させる技術を確立した。更にNOx排出を減らすために、グループの会社は乳化燃料(燃料と水1:1の割合)を使用する研究を続け工場試験でNOxを約25%減らすことを達成した。更に会社は部品の開放時隔を延長するのみならず潤滑油の消費を減らし、より綺麗な燃焼によってNOxとC02の排出を抑えることの出来る、新しいスライド型の燃料弁を開発した。その結果として起きる炭化水素排出の減少(約30%)と大気汚染の原因となる微粒子の減少は煙の生成も少なくすることになる。スライド型の燃料弁は新しいタイプのエンジンには標準として装備されている。
2001年に会社は燃焼室を変えることにより、エンジン設計の根本的な変更を発表した。その結果排気温度は下がりNOxとC02の排出は減少し、比例して増える燃料消費の増加もなしに出力が増加することで熱効率も改善された。けれども新しい燃焼室のエンジンは旧来型の燃焼室の物より原価が高くなり、多くの潜在的購買者を落胆させた。
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