1−2−2 船舶
オマーンはかつてダウ船(木造船:下の写真)を駆使し海洋貿易を盛んに行っていた歴史を有し、ザンジバル(現タンザニア)を支配していたこともある海洋国家であったが、石油採掘とともに経済は石油依存型に転身し、現在は鋼船造船所を有しておらず、母国籍船については前述の川崎造船にて建造中のLNG船が国際航海オマーン籍船第1船目となる予定といった状況。
しかしながら、ペルシャ湾への玄関口であり、周囲を約2,700Kmにわたって外洋に面する地理的要因から、2002年秋に隣国イエメン沖にて発生した油タンカー「ランブール号」爆発事故に代表される海洋環境汚染に対して多大なる危機感を有しており、現在、海洋環境保全についてはオマーン政府にとっての主要政策の一つとして位置付けられている。
このような背景から、今回、地方自治環境水資源省環境総局及び運輸通信省港湾海事局等に対し、造船需要に関連する海事事情についてヒヤリングを行った結果、特に外洋における油汚染に対応した油回収船及び湾内水域清掃が油回収と兼用可能な多目的船に対し非常に関心が強いことがわかった。今後、オマーン沖外洋及びペルシャ湾内の気象海象条件等を調査検討し、我が国造船業にて建造実績のある当該船舶の能力比較を行うことにより、今後のコマーシャルベースでの建造需要開拓が大きく期待できるものである。
<海洋国家時代を象徴するダウ船:記念展示>
1−3 日本政府によるODA実績
日本政府は、オマーンの一人当たりGNP水準が高いため、一般無償資金協力は実施していないが、日本との漁業関係に鑑み、水産無償資金協力を2000年度に実施した。また、一般技術水準の向上等の援助需要が依然として大きいことから、水産業、鉱工業、運輸・交通等の分野において研修員受け入れ、専門家派遣、開発調査等の技術協力を行っており、今後とも同国の技術水準の向上を支援するため、技術協力の実施を検討していく方針である。
1−3−1 日本の援助実績(2000年度末まで)
|
贈与 |
政府貸付 |
|
無償資金協力 |
技術協力 |
計 |
支出総額 |
支出純額 |
合計 |
1996年 |
− |
9.93 |
9.93 |
− |
− |
9.93 |
1997年 |
− |
7.33 |
7.33 |
− |
− |
7.33 |
1998年 |
− |
8.14 |
8.14 |
− |
− |
8.14 |
1999年 |
− |
9.01 |
9.01 |
− |
− |
9.01 |
2000年 |
− |
11.22 |
11.22 |
− |
− |
11.22 |
累計 |
2.80 |
96.56 |
99.36 |
− |
− |
99.36 |
|
年度 |
無償資金協力 |
技術協力 |
90年度まで |
3.86億円 |
40.11億円 |
研修員受け入れ |
86人 |
専門家派遣 |
23人 |
調査団派遣 |
434人 |
機材供与 |
53.5百万円 |
開発調査 |
16件 |
91年 |
|
5.24億円 |
研修員受け入れ |
17 |
専門家派遣 |
8 |
調査団派遣 |
41 |
機材供与 |
5.4百万 |
開発調査 |
2件 |
92年 |
|
2.89億円 |
研修員受け入れ |
22人 |
専門家派遣 |
17人 |
調査団派遣 |
13人 |
機材供与 |
6.2百万円 |
開発調査 |
2件 |
93年 |
|
7.48億円 |
研修員受け入れ |
21人 |
専門家派遣 |
14人 |
調査団派遣 |
68人 |
機材供与 |
128.8百万円 |
プロジェクト技術協力 |
1件 |
開発調査 |
4件 |
94年 |
|
7.99億円 |
研修員受け入れ |
32人 |
専門家派遣 |
16人 |
調査団派遺 |
57人 |
機材供与 |
11.3百万円 |
プロジェクト技術協力 |
1件 |
開発調査 |
5件 |
95年 |
|
9.67億円 |
研修員受け入れ |
28人 |
専門家派遣 |
16人 |
調査団派遣 |
62人 |
機材供与 |
79.2百万円 |
プロジェクト技術協力 |
1件 |
開発調査 |
4件 |
96年 |
|
9.63億円 |
研修員受け入れ |
26人 |
専門家派遣 |
11人 |
調査団派遣 |
49人 |
機材供与 |
69.3百万円 |
プロジェクト技術協力 |
1件 |
開発調査 |
4件 |
97年 |
|
8.04億円 |
研修員受け入れ |
38人 |
専門家派遣 |
10人 |
調査団派遣 |
72人 |
機材供与 |
45.9百万円 |
プロジェクト技術協力 |
1件 |
開発調査 |
3件 |
98年 |
|
8.16億円 |
研修員受け入れ |
27人 |
専門家派遣 |
11人 |
調査団派遣 |
63人 |
機材供与 |
20.1百万円 |
プロジェクト技術協力 |
1件 |
開発調査 |
5件 |
99年 |
|
9.54億円 |
研修員受け入れ |
38人 |
専門家派遣 |
10人 |
調査団派遣 |
67人 |
機材供与 |
6.5百万円 |
プロジェクト技術協力 |
1件 |
開発調査 |
3件 |
2000年 |
6.83億円 水産物品管理センター建設計画 |
8.99億円 |
研修員受け入れ |
27人 |
専門家派遣 |
5人 |
調査団派遣 |
61人 |
機材供与 |
16.06百万円 |
プロジェクト技術協力 |
1件 |
開発調査 |
3件 |
2000年度までの累計 |
10.69億円 |
117.75億円 |
研修員受け入れ |
362人 |
専門家派遣 |
141人 |
調査団派遣 |
1027人 |
機材供与 |
442.15百万円 |
プロジェクト技術協力 |
8件 |
開発調査 |
51件 |
|
注) |
「金額」は、有償資金協力及び無償資金協力については交換公文ベース、技術協力はJICA経費実績ベース |
1−3−2 海事関係のODA実績
〈93.5−00.3〉
・技術協力:
漁業訓練計画(プロジェクト方式技術協力案件)
〈1998年度〉
・開発調査:
−ライスート港並びに周辺地域開発計画事前調査(S/W協議:Scope of work)(海運・物流)、当初契約金額:344万5,000円
−ライスート港並びに周辺地域開発計画事前調査(S/W協議)(産業振興、関連インフラ)、当初契約金額:313万5,000円
〈1999年度〉
・開発調査:
サラーラ港並びに周辺地域開発計画調査、当初契約金額:1,358億2,695万円
〈2000年度〉
・無償資金協力:
水産物品質管理センター建設計画:6億8,300万円
<水産物品質管理センター外観>
|