1-3 米国エネルギー輸入
エネルギー生産量と消費量のギャップは、原油、石油製品、天然ガスの輸入により埋められている。2001年には輸入原油により20,300兆BTU(約5億1,200万石油換算トン)、輸入石油製品により3,100兆BTU(約7,800万石油換算トン)が供給された。これらはエネルギー輸入の85%を占める。2001年には、天然ガス輸入がさらに3,700兆BTU(約9,300万石油換算トン)を供給した。これはエネルギー輸入の約14%にあたる。残りの1%は、水力発電、石炭、カナダ/メキシコからの電力輸入である。
2001年の米国エネルギー輸入
(千兆 BTU)
エネルギー源 |
輸入 |
割合(%) |
原油 |
20.305 |
74.3 |
天然ガス |
3.737 |
13.7 |
石油製品 |
3.056 |
11.2 |
電力輸入 |
0.21 |
0.8 |
石炭コークス |
0.032 |
0.1 |
合計 |
27.3401/ |
100 |
|
出典: エネルギー省
|
過去数十年間に、原油輸入が著しい成長をとげている。1973年に米国の原油輸入総量は6,900兆BTU(約1億7,400万石油換算トン)であった。2001年には、原油輸入は20,300兆BTU(約5億1,200万石油換算トン)に増加している。天然ガス輸入もここ数十年間に大きく増加した。天然ガス輸入は1973年の1,000兆BTU(約2,500万石油換算トン)から、2001年には3,700兆BTU(約9,300万石油換算トン)に増加しており、そのほとんどは1980年代末以降のものである。石油製品輸入は同時期に増減を繰り返しているが、1980年代半ば以降は概ね上昇傾向にある。
1-4 原油輸入
輸入原油の4大供給国は、カナダ、サウジアラビア、メキシコ、ベネズエラであり、2002年上半期には上位4カ国が米国石油輸入の55%を占めていた。最大の供給国であるカナダは、現在平均日量190万バレル(256,500トン)2の原油を米国に輸出している。2位のサウジアラビアは平均日量150万バレル(202,500トン)、3位、4位のメキシコ、ベネズエラはそれぞれ平均日量150万バレル(202,500トン)、130万バレル(175,500トン)を米国に輸出している。
米国とイラクとの間の緊張状態にもかかわらず、2002年上半期に米国はイラクから平均日量60万バレルの石油を輸入した。その結果、石油の対米供給国としてイラクは第5位となっている。
2002年上半期に、米国の石油輸入の58.4%はOPEC非加盟国からのものであり、OPEC加盟国は41.6%を供給した。1973年以来、OPEC加盟国及び非加盟国が米国石油輸入に占める割合には大幅な変動が見られる。OPECのシェアは1977年に頂点に達し、米国石油輸入の70.3%がOPEC加盟国産であった。その後OPECのシェアは1985年に36.1%で最低レベルとなった。現在、米国の石油輸入の21.4%はアラビア湾岸諸国産である。アラビア湾岸諸国からの輸入トレンドは、概ねOPEC諸国からの輸入に比例している。
2002年上半期の主要対米石油輸出国
(単位:100万バレル/日)
(拡大画面:11KB) |
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対米石油供給国は、原油産出国、石油製品精製国、その両方の混合型に分類される。サウジアラビア、メキシコ、イラクは原油産出国の代表であり、アルジェリア、バージン諸島は石油精製品の供給センターの例である。
米国の原油及び石油精製品輸入の供給国
(1,000バレル/日)
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石油輸入総量 |
原油 |
石油製品 |
原油の割合(%) |
原油の供給を主とする国 |
|
|
|
|
サウジアラビア |
1662 |
1611 |
51 |
96.9 |
メキシコ |
1440 |
1394 |
46 |
96.8 |
ナイジェリア |
885 842 |
43 |
95.1 |
|
イラク |
795 |
795 |
0 |
100.0 |
アンゴラ |
328 |
321 |
7 |
97.9 |
クウェート |
250 |
237 |
13 |
94.8 |
ガボン |
140 |
140 |
0 |
100.0 |
エクアドル |
120 |
113 |
7 |
94.2 |
原油・石油精製品両方を供給する国 |
|
|
|
|
カナダ |
1828 |
1356 |
472 |
74.2 |
ベネズエラ |
1553 |
1291 |
262 |
83.1 |
ノルウェー |
341 |
281 |
60 |
82.4 |
英国 |
324 |
244 |
80 |
75.3 |
コロンビア |
296 |
260 |
36 |
87.8 |
トリニダード・トバコ |
72 |
51 |
21 |
70.8 |
インドネシア |
51 |
40 |
11 |
78.4 |
オーストラリア |
43 |
34 |
9 |
79.1 |
アラブ首長国連邦 |
40 |
21 |
19 |
52.5 |
中国 |
24 |
13 |
11 |
54.2 |
石油精製品の供給を主とする国 |
|
|
|
|
その他のOPEC非加盟国 |
702 |
244 |
458 |
34.8 |
アルジェリア |
278 |
11 |
267 |
4.0 |
バージン諸島 |
268 |
0 |
268 |
0.0 |
ロシア |
90 |
0 |
90 |
0.0 |
ブラジル |
83 |
13 |
70 |
15.7 |
オランダ領アンチル諸島 |
81 |
0 |
81 |
0.0 |
オランダ |
43 |
0 |
43 |
0.0 |
イタリア |
40 |
0 |
40 |
0.0 |
マレーシア |
36 |
15 |
21 |
41.7 |
スペイン |
31 |
0 |
31 |
0.0 |
カタール |
13 |
0 |
13 |
0.0 |
バハマ |
10 |
0 |
10 |
0.0 |
プエルトリコ |
4 |
0 |
4 |
0.0 |
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出典: 米国エネルギー省
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原油及び石油精製品のほとんどは、海路で米国に輸入される。ただし、カナダからの輸入の4分の3は、アルバータ州からのものであり、石油は複数の大型パイプライン網を経由して、米国市場に運ばれる。インタープロビンシャル・パイプラインがエドモントンから米国の五大湖地域に石油を運び、トランス・マウンテン・パイプラインは主としてアルバータ州からワシントン州のピュージェット湾地域に石油を運ぶ。そして第三のパイプラインを経由してアルバータ州からワイオミング州に送られた石油が、さらにイリノイ州市場にパイプライン輸送される。カナダ東海岸のオフショアで生産された石油は、シャトルタンカーにより米国及びカナダの精製所に輸送される。
米国内には、およそ20万マイルの石油パイプラインが敷設されており、パイプライン輸送が国内における原油及び石油精製品の主要な輸送手段である。米国内でトン・マイルにして約68%の石油及び石油精製品がパイプラインで輸送される。さらに27%が水上輸送であり、残りの5%がトラックまたは鉄道輸送となっている。
原油及び石油精製品の国内輸送手段
(単位:10億トンマイル、1999年)
(拡大画面:9KB) |
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出典: 石油パイプライン協会
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水上輸送のマーケットシェアはここ数十年間に大幅に減少している。1980年に、国内の原油及び石油精製品の輸送の50%(トンマイル・ペース)は海上輸送によるものであった。1990年には、水上輸送のマーケットシェアは41.7%に下落し、1990年代末には27%まで落ち込んでいる。水上輸送が失ったシェアの大部分はパイプライン輸送に奪われたものである。
原油国内輸送手段のシェアの推移
(拡大画面:27KB) |
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石油精製品国内輸送手段のシェアの推移
(拡大画面:35KB) |
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出典: 石油パイプライン協会 |
注: |
1/ |
2001年に、776兆BTUの石炭が輸出されたため、この年、純エネルギー輸入は26,564兆BTUとなる。 |
2 |
1バレル=0.135トンとして計算(石油比重0.85) |
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