1 2001年の中国の新造船
1.1 2001年の中国の新造船
・2001年は、受注量・竣工量・手持工事量ともに大きく増加した(下表参照)。大規模造船所は、建造量を伸ばしたが、受注は、2001年9月以降低迷している。
・1万DWTクラスの船を造る中小型造船所は非常に不況であった。理由は、国際競争力がないこと、地方の造船所も急速に発展し、競争相手が多くなったため等である。
・漁船建造の造船所も新たな漁業協定に伴う休漁期間の設定等により漁船需要は落ち込んだ。
(1)受注量
・中国造船工業行業協会によると、2001年の新造船受注量は、585万総合トンで、前年比11.9%の増加。2000年は525万総合トン。中国船舶工業集団(CSSC)が9月11日の直前に欧州船主と88万DWTの契約をしたのは幸運。526万総合トンは、1月から9月までの受注で、9月11日の同時テロ以降の受注は、59万総合トンのみである。
・船種では5,618TEUコンテナ船、VLCC、LPG船、ケミカルタンカー、FPSO RO/RO等の高付加価値船が注目される。
(2)竣工量
2002年の中国の竣工量は390万総合トンで、前年比12.7%増。2000年の建造量は345万総合トン。内訳は中国船舶工業集団公司(CSSC)が205万総合トン、中国船舶重工業公司(CSIC)が93万総合トン、その他の造船所が約92万総合トンであり2大国有企業集団で全体の76%を占める。
(3)手持工事量
手持工事量は、1,250万総合トンで、前年比18.9%の増加となっている。大手造船所は、数年分の手持工事量を確保した。
(4)輸出総額
輸出総額は、19.3億ドルとなり、前年より18%増加した。
表 2001年の中国造船業の概況 (単位:万総合トン)
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2001年 |
2000年 |
受注 |
総計 |
585 |
525 |
CSSC |
200 |
199 |
CSIC |
139 |
144 |
その他 |
246 |
182 |
竣工 |
総計 |
390 |
345 |
CSSC |
205 |
143 |
CSIC |
93 |
87 |
その他 |
92 |
115 |
手持工事量 |
総計 |
1250 |
1050 |
CSSC |
380 |
385 |
CSIC |
390 |
346 |
その他 |
480 |
320 |
輸出額 |
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19.3億ドル |
16.3億ドル |
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注1: |
中国船舶報等をもとにJETRO上海舶用機械部で作成 |
2: |
手持工事量は各年末 |
3: |
総合トンとは、貨物船はDWT、客船などは、GTをDWTに換算したもの |
中国の主要造船所
(拡大画面:79KB) |
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1.2 中国船舶工業集団公司(CSSC)
2.1 CSSCの2001年の業績
2001年のCSSCの業績は、下記の表のとおりである。
2.2 CSSCの2002年の事業計画
第10次5ケ年計画の「2005年の建造量を2000年の建造量150万総合トンの倍とする」という目標に向け、努力する。2002年は、建造能力の倍増、機関製造能力の33%アップを図り、2005年に世界5大造船企業、2010年に世界3大造船企業の一つとなるための基礎をつくる。
(1)建造設備等
・新しい造船所、新しい人、新しい造船モデルである外高橋造船有限公司のケープサイズバルクの建造を充分な準備のもとに進める。
・外高橋造船有限公司第1期工事の基本建設の完成、滬東中華造船集団の大型ドック・主要施設の完成、江南1号ドック、上海船廠崇明島の10万DWT級浮ドック及びパナマックス型船台等重点工事を計画どおり完成させる。
・上海地区の造船所の発展計画と配置について、調整する。
・「広船国際」の資源を最大限活用して、広州地区3造船所の組織改革を進める。
(2)集中購買等
・「主要舶用設備の集中購買」「生産・経営の集中」「船型開発の集中」の3つの集中の促進。
・市場開拓を進める。海外では、アジア・欧州市場に加え、ロシアの商船市場を開拓するとともに、中国遠洋運輸集団公司(COSCO)・中国海運総公司・中国外運総公司(SINOTRANS)・中国海洋石油総公司(CNOOC)等、国内船主からの受注に務める。
(3)従業員数等
・2002年は、集団公司の全従業員の5%を削減する。
2002年の見通し
・9月11日以降、受注は悪い。現在は2003年までの手持はあるが、2004年は決まっていないところが多い。2002年は、バルクキャリアが減り、受注量・建造量とも減るであろう。2002年は、2001年より厳しい年になる。
表 2001年のCSSCの概況
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2001年 |
2000年 |
1999年 |
(全部門) |
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生産額合計 |
133億元 |
121億元 |
116億元 |
新造船 |
106億元 |
92億元 |
91億元 |
修繕船 |
9億元 |
8億元 |
7億元 |
鉄鋼構造物等 |
16億元 |
20億元 |
18億元 |
(船舶部門) |
|
|
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受注量/受注額 |
200万総合トン/218億元 |
199万総合トン477億元 |
−/− |
竣工量/竣工隻数 |
205万総合トン/161隻 |
143万総合トン/112隻 |
−/− |
手持工事量 |
380万総合トン |
385万総合トン |
− |
機械生産台数/出力 |
150台/63万KW |
107台/48万KW |
−/− |
|
注1: |
「中国船舶報」等をもとにJETRO上海舶用機械部で作成 |
2: |
手持工事量は各年末 |
1.3 中国船舶重工集団公司(CSIC)
3.1 CSICの2001年の業績−2001年は、事業目標を予定どおり達成−
(1)建造船種等
VLCC・FPSO・5,618TEUコンテナ船・12,300RO/RO等、高付加価値船の建造が増えた他、建造船舶の増加に伴い、機関の生産も増加。三峡ダム油圧閉鎖装置、運河用船舶リフト等、非船舶部門も業績に貢献した。
(2)ドッグ建設等
大連新船重工有限責任公司のドック延長工事が起工、大連船廠のドック外壁が完成した。北海船廠造修工場の200万m2の埋立てについても、完成した。
(3)組織改編
2001年は、4社が有限公司となった他、大連船廠も有限公司となる準備を進めた。
(旧)天津造船公司、武漢造船専用設備廠については、破産手続きが基本的に終った。
3.2 CSICの2002年の事業計画及び見通し
第10次5ケ年計画で定めた2005年に建造能力400万DWT(2000年の2倍)、建造量300万DWT、総収入350億元(約530億円)、輸出額10億ドル、利益5億元(約75億円)、赤字会社10%以下という目標に向けた2002年の事業計画は、下記の表のとおり。
(1)設備投資等
・2002年の投資規模は34.5億元(約500億円)。そのうち建設工事が26億元(約390億円)、技術開発8億元(約120億円)。船舶ではVLCC、5,618TEUコンテナ、159,000DWT原油タンカー、FPSO等の設計建造、舶用品では低速機関用クランクシャフト等に重点。
(2)2002年の見通し
2002年については、1月以降受注がないこともあり、非常に厳しい。交通部、国防科学技術工業委員会、国家計画委員会の合議で、2002年前半には決まると思われる海運5ヶ年計画後の中国船主の発注に期待。
表 CSICの概況
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2002年(事業計画) |
2001年 |
2000年 |
(全部門) |
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総売上 |
161億元 |
143億元 |
127億元 |
製造部門 |
115億元 |
103億元 |
93億元 |
設計部門 |
46億元 |
40億元 |
34億元 |
生産額合計 |
162億元 |
147億元 |
118億元 |
新造船 |
− |
95億元 |
72億元 |
修繕船 |
− |
11億元 |
8億元 |
鉄鋼構造物等 |
− |
41億元 |
38億元 |
契約額 |
150億元 |
147億元 |
− |
(船舶部門) |
|
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受注量/受注額 |
140万総合トン/− |
139万総合トン/72億元 |
144万総合トン/185億元 |
起工量 |
130万総合トン |
167万総合トン |
120万総合トン |
竣工量 |
150万総合トン |
93万総合トン |
87万総合トン |
手持工事量/額 |
−/− |
390万総合トン/300億元 |
346万総合トン/− |
機械生産台数/出力 |
380台/43万KW |
326台/37万KW |
389台/27万KW |
輸出額 |
− |
4.4億ドル |
4.0億ドル |
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注1: |
「中国船舶報」等をもとにJETRO上海舶用機械部で作成 |
2: |
手持工事量は各年末 |
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