【5】船隊整備計画
1997年にベトナム国家海事局(Vietnam National Maritime Bureau)が策定した2010年までの船隊整備計画によると、ベトナムの輸出入貨物量は2000年に6,188万トン、2010年には1億2,517万トンとなり、そのうち海上貨物が占める割合は90〜92%の5,400万トン(2000年)及び1億1,200万トン(2010年)と見積もっている。ベトナム籍船が輸送する貨物量の目標は2000年で15〜18%の900万トン、2010年で30〜40%の2,400万トンとしている。内航貨物の伸び率が外航貨物の伸び率より高く見積もられ、港湾を利用する貨物量は年平均15%の伸びで2000年に8,000万トン、2010年に2億1,500万トンに達することとなる。
この目標を達成するために必要な商船隊の規模は以下表8及び表9の通りである。
表8 船隊整備計画における船隊規模(目標値)
商船隊 |
2000年目標 |
2010年目標 |
外航船 |
1,513,000DWT |
3,550,000DWT |
内航船 |
353,000DWT |
847,000DWT |
合計 |
1,866,000DWT |
4,397,000DWT |
|
(出所) |
ベトナム国家海事局(Vietnam National Maritime Bureau)。 |
表9 2000−2010年に向けたベトナム商船隊増強の方向(価額単位:100万USドル) |
船種 |
2000〜2005年 |
2006〜2010年 |
2000〜2010年 |
隻数×船型 |
合計DWT |
価額 |
隻数 |
合計DWT |
価額 |
隻数×船型 |
合計DWT |
価額 |
コンテナ船 |
8×1200/ |
10,000TEU |
100 |
4×1500TEU |
16,000TEU |
150 |
16 |
26,000TEU |
250 |
1500TEU |
4×2500TEU |
200,000 |
320,000 |
原油タンカー プロダクト船 |
3×90,000 |
390,000 |
125 |
3×90,000 |
270,000 |
120 |
8 |
660,000 |
245 |
2×60,000 |
2×15,000 |
30,000 |
15 |
2×30,000 |
60,000 |
30 |
4 |
90,000 |
45 |
LPG船 |
3×2,000m3 |
6,000m3 |
10 |
3×3,000m3 |
9,000m3 |
20 |
6 |
15,000m3 |
30 |
多目的貨物船 |
5×30,000 |
150,000 |
80 |
5×35,000 |
175,000 |
100 |
10 |
325,000 |
180 |
その他 |
2×65,000 |
13,000 |
13 |
3×6,500 |
19,500 |
19.5 |
5 |
32,500 |
32.5 |
2×10000 |
20,000 |
20 |
2×10,000 |
20,000 |
20 |
4 |
40,000 |
40 |
計 |
27 |
10,000TEU |
363 |
26 |
16,000TEU |
460 |
53 |
26,000TEU |
823 |
723,000DWT |
745,000DWT |
1,468,000DWT |
6,000m3 |
9,000m3 |
15,000m3 |
|
【6】船員
現在ベトナムで熟練度の高い船員及び航海士は約2万人いるといわれており、船員教育に関してはベトナム海事大学(Vietnam Maritime University:VINAMARU)が最高ランクの教育機関であり、その他に海事専修第1高校(ハイフォン)及び海事専修第2高校(ホーチミン)などの海員学校がある。
Vietnam National Shipping Lines(Vinalines)によると、ベトナムで熟練度の高い船員及び航海士の約2万人のうち6千人が外国の船会社に勤務している。ベトナムは中国やフィリピンと同様外国船会社に勤務する船員からの海外送金が重要な外貨獲得源となっており、従来毎年約1,000人の船員が国外で勤務して約1,000万USドルが国外送金されている。2005年までに外国船会社で必要な船員または航海士の需要はそれぞれ62万人、46万人と見積もられているが、近年、特に中国人船員との競合が激化し、その数は減少傾向にある。ベトナム人船員の国外勤務を増加するには、さらに船員の教育水準や熟練度を高める必要性に迫られている。
【7】アセアン各国の商船隊規模の比較
図6 商船隊規模(登録総トン合計)の比較
図7 商船隊規模(隻数合計)の比較
【8】ベトナム船主協会
ベトナム船主協会はベトナム内航・外航に携わる船主、オペレーター、船舶管理会社など事業者間の連携を即し、利害を保護するために1997年5月に設立された。2000年6月現在、国営企業及び民間企業を含め、25社の普通会員と20社の補助会員から成っている。
表10 ベトナム船主協会の会員リスト
|
船主 |
保有隻数 |
GRT |
DWT |
1 |
Viet Nam National Shipping Lines(VINALINES) |
6 |
50,174 |
55,242 |
2 |
Vietnam Ocean Shipping Company (VOSCO) |
22 |
179,231 |
288,616 |
3 |
Vietnam Shipping Company (VINASHIP) |
12 |
51,791 |
81,708 |
4 |
Vietnam Sea Transport & Chartering Corporation (Vitranchart) |
13 |
109,899 |
181,954 |
5 |
Transport & Chartering Cooperation (VIETFRACHT) |
3 |
11,128 |
17,250 |
6 |
Vietnam Petroleum Transportation Company |
7 |
27,544 |
42,778 |
7 |
International Labor Cooperation Company (INLACO) |
1 |
2,861 |
4,354 |
8 |
Quang Ngai Ocean Shipping Company |
3 |
1,750 |
2,455 |
9 |
Northern Water Way Transort Company |
8 |
9,992 |
14,187 |
10 |
Bien Dong Shipping Company (BISCO) |
7 |
9,180 |
12,500 |
11 |
Ha Tinh Company of Shipping & Commerce |
3 |
2,021 |
2,550 |
12 |
Thanh Hoa Maritime Transportation Company |
13 |
2,833 |
3,266 |
13 |
Quy Nhon Shipping Company Limited |
7 |
1,627 |
1,850 |
14 |
Maritime Secondary School No.1 |
4 |
3,234 |
4,295 |
15 |
Maritime Secondary School No.2 |
2 |
1,190 |
1,100 |
16 |
Quang Ninh Shipping & Trading Company |
2 |
4,351 |
7,104 |
17 |
Ha Noi Shipping Company (HAMACO) |
4 |
5,022 |
8,125 |
18 |
Sai Gon Shipping Company (Saigon Ship) |
4 |
6,356 |
10,247 |
19 |
Phu Yen Shipping Company |
1 |
1,421 |
2,249 |
20 |
Vietnam Tanker Company (VITACO) |
8 |
21,242 |
37,134 |
21 |
Binh Dinh Marine & Trade Company |
2 |
1,984 |
2,800 |
22 |
Cuu Long Transport Company Limited |
3 |
4,100 |
6,972 |
23 |
Da Nang Maritime Trasportation & Commercial Service Company |
2 |
3,288 |
4,905 |
24 |
International Labor Co-operation Company |
2 |
5,688 |
7,925 |
25 |
APM Sai Gon Shipping Company Ltd |
n.a. |
n.a. |
n.a. |
総 数 |
139 |
517,907 |
801,566 |
|
(出所) |
ASEAN Shipping Directory 2000/2001. |
【9】海上保安
100トン以上の船舶の海難事故は、1987年から1992年の6年間に174件発生している。このうち25%が衝突、17%がエンジントラブル、9%が転覆によるものである。海難事故は年々増加傾向にあるが、海難統計が未整備であるため、たくさんの事故が記録されていない。また、捜索救難体制も整備されておらず、国家海事局内のVMS(ベトナム・マリタイム・セーフティ)が、これまでの航路標識サービスのほかに新しい任務として捜索救難、海上交通管理等を担当していくことになる。
VMSでは、航路標識管理のために、ベトナム沿海を5つの海域に分割している。現在までに55の灯台、89のライトビーコン、308の灯浮標、5つのビーコンを配置している。
【10】漁業部門
水産省(Fisheries Ministry)の管轄となる漁業部門では、2001年末時点で外洋漁船6,000隻を含む約79,000隻(総馬力数で370万Hp)の漁船が国内外で操業している。ベトナムでは2001年に135万トンの水産物の漁獲があるほか、総面積94万ヘクタールに及ぶ養殖場からの水揚げが95万トンある。水産省は漁獲高を2001年の230万トンから2005年には260万トンヘ、また輸出額で2001年の21億USドルから2005年には30億USドルへ拡大する計画を持っている。
水産省はこの計画を達成するため、2005年までに冷蔵設備など近代的設備を装備した500〜700隻の外洋漁船の新造、新規に16ヵ所の漁港建設、ハイフォン、ダナン、ビンチュアン、ブンタウ、カマウ、キエンジアン港での漁船用桟橋建設、Company No.128、Truong Sa Seaproduct Company、Ha Long Seaproduct Corporation、Bien Dong Seaproduct Corporatiionなど国営水産会社の再建と新会社設立などを計画しており、これらプロジェクトに擁する資金が16兆ドンと見積もっている。資金調達は34%が国内企業、27%が優先的貸付、19%が商業金融、14%が国家予算、6%が外国投資家からの資金で賄う予定である。
|