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5−9. 圧縮自己着火燃焼の素反応数値計算
5−9−1.目的
 天然ガスを燃料としたエンジンの燃焼について燃料分子の化学反応履歴からシリンダー内の温度と圧力の変化を推定し、その燃焼速度と圧力を求め、燃焼制御の資料を作成した。
 
5−9−2.初期吸気温度によるメタンの燃焼
 メタンと空気の混合気を理論空燃比の状況で吸気に吸入させたとき、吸気温度によってどの様な温度履歴を取るのか計算した。計算条件は混合気がストイキ(理論空燃比)状態、EGR50%、初期圧力0.1MPa、エンジン圧縮比18、回転数800とし、吸気温度を300Kとすると殆ど着火しない。
 吸気温度を徐々に上昇させて450Kにすると燃料は殆ど燃え尽きる。(図5−31参照)
 
図5−31 温度履歴(初期温度変化)
 
5−9−3.EGRを行った時の筒内温度の抑制効果と燃焼速度の抑制効果
 混合気はストイキ、吸入温度は450Kとし、EGR0%から70%まで上昇させた。EGR率を30%まで上昇させると燃焼温度は300K低下する。50%まで上昇させると500K以上低下し、その効果は著しい。(図5−32参照)
 
図5−32 温度履歴(EGR変化)
 
5−9−4. メタン燃料にH2を添加した場合の燃焼
 メタン−空気の燃料当量比 Φ=0.5とし、吸気温度500Kのとき水素を燃料に対し、0.5、1.0、2.0、5.0、10%と増加させてその燃焼特性を調べた。水素を0.5%加えただけで燃焼速度は極めて高くなり、燃焼開始点もアドバンスされる。(図5−33)燃焼ガス温度は燃料増加分の影響で上昇する。(図5−34)
 
図5−33 CH4にH2を添加した場合の影響 圧力履歴
 
図5−34 CH4にH2を添加した場合の影響 温度履歴
 
5−9−5.メタンにCOを添加した場合の燃焼
 メタン−空気の当量比Φ=0.5とし、吸気温度500Kの状況でCOを添加したとき、燃焼は抑制される。COを2%加えただけで燃焼は大幅に遅れ、筒内圧が低下する。筒内温度の変化は2%では少なく、CO添加量を5%にすると着火しない。(図5−35、36)
 
図5−35 CH4にCOを添加した場合の影響圧力履歴
 
図5−36 CH4にCOを添加した場合の影響温度履歴







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