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事業の概要
1. 事業の目的
 地球表面の70%を占める海洋は、海上交通、漁業、資源開発、レジャーなどに幅広く利用されているが、その利用に関しては国際的にも国内的にも利害が複雑に交錯する場でもある。
 1994年に発効した国連海洋法条約は、この利害が複雑に交錯する海洋を「人類の共同財産」として捉え、その法的秩序を包括的に定めたものであり、1996年に同条約を批准した我が国は、地球上における海洋の一部の管理を委ねられたことになり、各国と協力して生物資源の育成保護や環境保全などに取り組むことが義務づけられたことになる。
 しかるに我が国では、海洋行政は多数の省庁に細分化されており、海洋問題を総合的に取り組むための仕組みも、また総合的な海洋政策を策定するための基本法もないのが現状である。
 我が国においても、海洋を持続可能な形で利用し開発することを念頭におき、特定の利害にとらわれず、横断的な観点から海洋政策を早急に取りまとめることが必要と考えられる。
 そこで、平成13年度は日本財団の助成事業として「21世紀における我が国の海洋ビジョンに関する調査研究」を実施し、海洋問題を総合的な観点から捉え、多くのテーマの中から今後重点的に取り組むべき問題として、「海上交通と安全保障」「海洋横断輸送システム」「船舶起因の海洋環境問題」「次世代海洋構造物」「海洋エネルギー利用」「水産資源の総合管理」「沿岸域の総合管理」「海洋・環境教育の現状把握と今後のあり方」を取り上げ、その現状と問題点および課題について取りまとめた。[1]
 本年度は、平成13年度に抽出された今後の課題等の中から特に重要な問題を選定し、その現状、抱える課題、その対応策について議論し、社会的提言を行なうものである。
 
[1]「21世紀における我が国の海洋ビジョンに関する調査研究報告書」、シップ・アンド・オーシャン財団、PP.239、平成14年3月
 
2. 事業の実施内容
(1)委員会の開催
(1)第1回委員会 平成14年7月5日(金)
■実施方針について
■平成13年度提案テーマと執筆テーマ
■関連資料の説明
・内外の海洋政策関連資料
(2)第2回委員会 平成14年8月5日(月)
■テーマの提案
■関連資料の」説明
・ヨハネスブルグサミット準備会合報告
(3)第3回委員会 平成14年9月20日(金)
■テーマの選定
■関連資料の説明
・ヨハネスブルグサミット実施計画書(海洋関係)
(4)第4回委員会 平成14年10月21日(金)
■選定テーマのレジメ
・沿岸域総合管理
・海洋教育の現状と課題
・海上保安庁の国際上の地位
(5)第1回海洋教育作業部会 平成14年11月21日(火)
■作業内容と作業分担
■作業スケジュール
(6)第5回委員会 平成14年12月16日(金)
■選定テーマの進捗状況
・沿岸域総合管理
・海洋教育の現状と課題
・海上保安庁の国際上の地位
(7)第1回沿岸域管理作業部会 平成14年12月26日(火)
■作業内容と作業分担
■作業スケジュール
(8)第2回海洋教育作業部会 平成15年1月22日(火)
■作業の進捗報告と取りまとめの方針
■作業スケジュール
(9)第6回委員会 平成15年3月4日(火)
■原稿の最終確認
 
(2)実施内容
(1)テーマの選定
 平成13年度には、海洋問題を総合的に捉え、その中から重点的に取り組むべきテーマを選定し、その現状、問題点、今後の課題等について取りまとめ、報告書として作成した。
・海上交通と安全保障 ・21世紀型海洋横断システム
・船舶起因の環境問題 ・次世代海洋構造物
・海洋エネルギーの利用と将来展望
・水産資源の総合管理 ・沿岸域の総合管理
・海洋・環境教育の現状と今後のあり方
 
 今年度は、その結果を踏まえて、更に検討するテーマについて審議し、沿岸域管理、海洋教育および海上安全保障問題について取りまとめることとした。
 
 テーマ名およびその概要は次のとおりである。
■沿岸域総合管理に関連する問題事例とその対応
 沿岸域総合管理に関連する問題事例とそれに関わる法制、処理主体、処理権限の法的根拠、関連主体等について調査・分析し、今後の課題を明らかにする。
■海洋教育の現状と今後のあり方
 海洋教育の調査に関する全体的な枠組みを作成し、小・中学校の指導要領や教科書を中心に海洋教育の現状について調査するとともに、義務教育段階で最低限知っておいて欲しい海洋に関する事項について検討する。
■海上保安庁の国際法上の地位
 国際法および国内法で与えられた海上保安庁の法執行任務および海上自衛隊との関係について、平時、武力紛争時およびその移行時における現状と問題点およびその対応について検討する。
 
(2)取りまとめ
 委員会で審議し、決定したテーマについて、調査検討を行ない、報告書にとりまとめた。







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