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2003年1月号 さぁ、言おう
さわやか福祉財団
 
表紙絵から
●ツル●
 
 
2003年 新春
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます
財団法人さわやか福祉財団
 
 2002年度交流総会を来る2月19日(水)に行います。詳細は「2002年度「さわやか福祉財団」交流総会のお知らせ」にご案内していますのでどうぞご覧ください。多くの皆様のご参加をお待ち申し上げております。
 
 
●巻頭言●
最後の壁を破りたい
さわやか福祉財団理事長 堀田 力
私たちが目指す社会
 今年から恐らく数年間、日本経済は、構造改革の嵐の中で揉まれ続けることになるであろう。
 通過した先に待つのは、老若男女を問わず、それぞれの思いを生かして働き、あるいは趣味、ボランティアなどを楽しむことのできる、柔軟で活力のある社会だと期待している。経済繁栄を謳歌するぜいたくな社会でなく、それぞれが自分の能力を生かす喜びを持って生きることのできる、多様な選択肢のある社会である。
今からでも挑戦できる
 私たちが目指すのがそういう社会であるとすると、そういう社会を実現するための挑戦は、今からでもできる。いや、我が財団やパートナーは、これまでずっとその挑戦をしてきたのである。
 将来への夢を持ってその努力を続けることが、経済の混迷がもたらす不満や不安、無力感や絶望を吹き飛ばし、不況に耐えて前進するエネルギーを生み出す。また、その努力が生み出すNPOやボランティアの世界、あるいは介護、教育など人への直接サービスを提供する事業活動が、構造改革で職を失う人々の受け皿となる。そして、その発展が、目指す社会の実現につながり、構造改革を成功させるのである。政府のように経済社会だけを見ていたのでは、抵抗を排除する有効な方策は見つからず、立ちすくんで前へ進めないことになるであろう。
企業戦士こそ挑戦を
 ボランティア活動が構造改革の痛みの緩和剤の役割を果たすという面から考えると、構造改革の嵐に突入する企業戦士たちこそ、今からボランティア活動に馴染んでおく必要があるということになる。
 確かに、ボランティア活動もやっている企業人は、企業から離れても自分の生き方があるという自信から、ゆとりを持って企業活動をしているし、失業した人たちを見ても、あわてふためかず、新しい生き方を築いている。そういう人たちの家族も、うろたえず、新しい事態に対応している。
 しかし、日本の企業戦士たちのほとんどは、ボランティア活動どころか、趣味の活動すら楽しむ余裕がなく、企業活動に全霊を打ち込んでいる。会社などの仕掛けでボランティアやNPO活動についての講演をしても、儲からないとわかると全くの人ごとという顔付きになる。
 「あなたとあなたの家族の幸せの問題なんだけど」と思うが、その思いは届かないことが多い。しかし、お節介なようだが、放置はできない。確実に続く失業時代、意欲を喪失した中年男性とその家族は、本人たちだけでなく、社会にも負担をもたらすからである。
最後の厚い壁
 ボランティア普及活動を続けてきて最後に当たった厚い壁が、現役サラリーマンの壁である。厚生労働省などと組んで2年前から進めている勤労者マルチライフ支援事業も、予想通り、難航している。
 しかし、構造改革の嵐を、チャンスと捉えたい。彼らに企業を離れた生き方を考える状況をつくり出すからである。
 現役の彼らが地域社会に興味を持つとすれば、まずは、子どもであろう。学校の方は、ボランティア体験学習をする仕組みができている。働くお父さんたちは学校協力勝手連に加わり、いじめや競争につぶされかかっている子どもたちの心を、子どもらしいものに戻す活動に取り組もう。それが、企業戦士たちを嵐に強い人間に変える第一歩である。企業だけでなく、お母さんも、応援してほしい。子どもたちが大歓迎することは間違いないのだから。







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