5. 視覚障害者の見え方
図5−1 正常の見え方
図5−2 ピントが合わない見え方
図5−3 求心性視野狭窄
図5−4 中心暗点
図5−5 左半盲
図5−6 羞明
実際には視力や視野の状態も千差万別でひとりとして同じ見え方、見えにくさはありませんが、想像しやすいように図に示してみました。1)屈折異常によるピントがあわない見えかた(図5−2)2)真中に狭く視野が残っている(求心性視野狭窄:図5−2)ので、真中は見えて視力は比較的よいものの周りがみえない状態(図5−3)3)真中は見えないため視力値は低いが周りは見えている状態(中心暗点:図5−4)4)左右上下の半分が見えていない状態(図5−5は左半盲)5)まぶしくてはっきりしない状態(羞明:図5−6)
これまでのテキストでは見えない部分(暗点)が黒く示されているものがほとんどでした。しかし、決して黒いわけではなく「ない」のだそうです。晴眼者にもマリオット盲点(マ盲点)といって見えない場所(暗点)があります。ただし、このマ盲点を自覚しているひとはほとんどいません。私自身、視覚障害のある友人に「マ盲点は見えますか、黒いですか」と聞かれてはっとしました。
「見えにくい場所が黒く見えていれば黒くないところで見ることが自然にできるでしょう」が、「見えにくい場所がわからないため、見えにくい場所で見ている」ことが多いようです。視覚に障害のあるかたの見え方やそのことによる行動を想像(理解)するための重要なヒントのひとつが「暗点は決して黒いわけではなく『ない』ということ」の理解です。
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