―ドラマチック レスキュー―
DRAMATIC RESCUE
(2002 NAGOYA THE 31ST)
2002年8月23日
会場 名古屋市消防学校
「Dramatic Rescue」をスローガンに、第三十一回全国消防救助技術大会が去る八月二十三日、名古屋市守山区の名古屋市消防学校において、石井消防庁長官をはじめ多くの来賓を迎えて盛大に挙行された。
この大会は、全国の救助隊員が一堂に会し、日頃鍛え抜いた消防救助技術を披露するとともに、互いの知識・技術を交換することにより、ますます複雑多様化する災害現場に即応できる高度な救助技術と強靱な体力、精神力を養い、研鑚するために、昭和四十七年から日本財団の助成を受けて毎年開催しているものである。この大会が平成元年の第十八回大会以来十三年ぶりの開催となるここ名古屋市は、日本のほぼ中央に位置し、新幹線、高速道路、空路など交通の便が良く、中部圏の政治、経済、文化の中心で、四百年の歴史と伝統の上に築かれた国際産業文化都市であり、人口は約二百十八万人である。また、市域の約四分の一が焼失した太平洋戦争後の復興事業の一環として、都市計画に基づく幅百メートルの道路が建設されるなど、防災の観点からも注目されている。
さて、大会当日は、猛暑が続いた今年の夏を忘れさせるような爽やかな日となったが、これから檜舞台に立つ隊員たちの訓練に臨む意気込みや救助に対する情熱は、まさに真夏の太陽の如く熱く燃えさかっていたに違いない。また、早朝より全国各地から応援に駆けつけた一般の方や消防関係者など約七千名で埋め尽くされた会場内は、開会前から熱気と興奮に包まれ、隊員たちが繰り広げる熱き大会が始まるのを今か今かと待ち構えていた。
午前九時十五分、名古屋市消防局音楽隊の軽快な演奏に合わせ、全国九地区支部から選抜された九百三十九名の精鋭たちが堂々とした入場を行い、開催地消防長である小川名古屋市消防局長の声高らかな開会宣言で大会の幕は開いた。
開会式では、国旗・大会旗の掲揚後、消防使命達成のため殉職された消防職員の御霊に対して黙とうを捧げ、続いて、大会会長である杉村(財)全国消防協会会長、松原名古屋市長のあいさつ、石井消防庁長官、神田愛知県知事、徳田剛(財)日本消防協会会長(代理・杉原理事長)の祝辞と続き、多数の方々からの祝電を代表して片山総務大臣からの祝電が披露された。さらに、大会審判長の渡邉北九州市消防局長による審判長指示の後、出場隊員を代表して名古屋市消防局の犬塚義和隊員が力強く隊員宣誓を行った。
開会式の後、陸上会場において、にっぽんど真ん中祭り普及振興会の皆さんによる「にっぽんど真ん中祭り」が披露され、熱い演技が会場内の熱気をさらに盛り上げていった。
いよいよ訓練の開始である。全国から選りすぐられた精鋭たちの眼差しは一段と鋭くなり、出番に臨む。俊敏でしなやかな動き、強靱な体力、磨き抜かれた技が次々と披露されると、隊員を熱心に見守る観覧席からは激励と慰労の拍手が絶え間なく沸き起こり、会場内の盛り上がりはピークに達していった。
会場周辺では、隊員たちが互いの健闘を讃え合う姿や再会を誓う姿が随所で見受けられ、全国の救助隊員の絆は、より一層固いものとなった。
すべての訓練が終了し、未だ熱気と興奮がさめやらぬ中、名古屋市消防音楽隊とカラーガード隊のリリーエンゼルスによる軽快な音楽と、息の合った特別演技が次々に披露されると、会場内には、新たな感動の輪が広がっていった。
閉会式では、大会会長である杉村東京消防庁消防総監から「熱気溢れる大会だった。それぞれの種目において、皆さん方の日頃の成果が十分発揮されたものと確信している。特に今回の大会では、減点を受けた種目が非常に少なかったことが特徴である。このことは、今回で第三十一回を迎えた消防救助技術大会において、皆さんの基本的な技術が十分高まったものと評価している。この素晴らしい知識、技術、経験をそれぞれの消防本部に持ち帰り、市民の安全安心のために貢献していただきたい。」との講評があった。国旗降納に続いて、大会旗が小川名古屋市消防局長から次期開催地の山内仙台市消防局長に引き継がれた後、小川名古屋市消防局長が閉会を宣言すると、大空に「来年は仙台で会いましょう」と記された多数のフライチューブがたなびき、第三十一回全国消防救助技術大会の幕は静かに閉じた。
猛暑の中、名古屋市消防局の皆様をはじめ、会場設営及び大会運営に当たられました全ての方々に対し、衷心より感謝申し上げます。
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