5)燃料噴射ポンプ
燃料噴射ポンプは、噴射に必要な圧力を燃料に加えて噴射弁に送り霧状にして噴射させると共に機関の回転数や負荷変動に応じ、ガバナと連動して燃料の供給量を調整し、又噴射時期を適当に調整するなどの重要な作用を行っている。
燃料噴射ポンプの種類としては次のようなものがある。
(1)デッケル形燃料噴射ポンプ
2・128図に示すような部品で構成されており、燃料カムにより駆動されるプランジャにより燃料はいつも一定量が圧送されるが、ガバナと連動して作動するレギュレータスピンドルのネジにより先端部のスキマを調整して一部の燃料を逃がし噴射弁への送油量を調整する方式である。
デッケル形は、構造、取扱いが簡単であり単筒の小形横型のエンジンに多く使用さ
れている。
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2・128図 デッケル形燃料噴射ポンプ
(2)ボッシュ形燃料噴射ポンプ
ボッシュ形燃料噴射ポンプは小形から大形まで多くの機関に使用されているポンプである。
ボッシュ形燃料噴射ポンプには、単筒形と、全シリンダ分を一つにまとめた集合形とがある。又集合形には燃料カムと一体で組み立てられた列形ポンプ(インラインポンプ)と単筒形を一つのケース内に直列に配置した簡易式のものとがある。(2・131図及び2・132図)
いずれの型式のものも作動原理は全く同じでありプランジャバレル内に挿入されたプランジャが往復運動する事により燃料を圧送している。
(1)ボッシュ形燃料噴射ポンプの構造
2・129図に単筒形ポンプの断面図を、又2・130図にインラインポンプの断面図及び構成部品の名称を示す。
プランジャバレルはポンプ本体の肩部に固定されていて動くことは出来ないが、プランジャは上下運動と共に、プランジャ最下部の逆T形をしたつば部がコントロールスリーブの溝にはめ込まれており、このスリーブがコントロールラックが動くことによりプランジャとともに回転し噴射量を調整する構造となっている。プランジャ上部にはデリベリバルブがあり、プランジャによって圧送された燃料油は高圧管を通り燃料噴射弁に送られる。
2・129図 ボッシュ形単筒ポンプ
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2・130図 ボッシュ形インラインポンプ
2・131図 ガバナ付きインラインポンプ
2・132図 簡易型列形ポンプ
(2)ボッシュ形燃料噴射ポンプ、プランジャの形状
噴射ポンプのプランジャは、燃料の噴射量を調節するために2・133図に示すような形状に加工されている。種類としては2・134図に示すように正リード、逆リード、両リードの3種類があり、更に燃料噴射量の増加する回転方向により、左巻きリード、右巻きリードに分けられる。
(注)左巻きリード、右巻きリードとは、リードの向きのことであり、2・134図に示す如くプランジャを下部から見て、左巻きのものは左回転させたとき、右巻きのものは右回転したとき噴射量が増加するリードの事である。
2・133図 プランジャのリード
2・134図 プランジャの形状
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