2. ディーゼルエンジンの位置づけ
2.1 原動機の分類
燃料の燃焼による熱エネルギを運動エネルギに変える装置を熱機関と云うが、熱機関は原動機の一種で、人類が動力を得るために利用している。例えばオートバイ、自動車、車両、船舶、航空機、ポンプ、発動機、耕うん機、建設機械などあらゆるものが、動力源として熱機関を利用している。この動力源となる機械の事を原動機という。ディーゼルエンジンは熱機関の一種で、現在の熱機関中最も熱効率が高く、運転経済性が優れている。各種の原動機を一覧表にしてディーゼルエンジンの位置するところを見ると1・5表のとおりになる。
1・5表 原動機の分類
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2.2 ディーゼルエンジンの分類
ディーゼルエンジンとは、シリンダ内で燃料と空気の混合物を燃焼させ、発生した燃焼ガスの膨張力を利用して、ピストンを動かしピストンの往復運動をクランク軸により回転運動に変換して動力を得るものである。
ここで、ディーゼルエンジンを分類すると1・6表のようになり、その代表的なものを簡単に説明する。
1・6表 ディーゼルエンジンの分類と適用
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1)回転速度による分類
機関の回転速度により分類すると正式な区分の基準はないが1・7表の如く高速機関、中速機関、低速機関に分類される。なお、最近は回転速度による分類よりも、ピストンスピードによる分類が一般に使用されている。
1・7表 エンジンの速度による分類
区分 |
回転速度(min-1) |
平均ピストンスピード(m/s) |
高速エンジン |
1500以上 |
10以上 |
中速エンジン |
500〜1500未満 |
7〜10 |
低速エンジン |
500以下 |
7以下 |
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2)大きさによる分類
エンジンを分類するとき、小形、中形、大型、と云う言葉がよく使用されるが、その区分の基準も明確ではないが、業界では概略、シリンダ径を基準にして1・8表のように分類されている。
1・8表 エンジンの大きさによる分類
区分 |
シリンダ直径(mm) |
小形 |
150未満 |
中形 |
150〜500 |
大型 |
500以上 |
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3)気筒配列による分類
シリンダの向き、並びに配列により下記のように分類されている。
・横形機関:ピストンの往復運動が水平方向に行われる機関で、単気筒の機関は農業用に、又多気筒の機関は車両用に多く使用されている。
・立形機関:ピストンが上下に動く機関で、陸用、舶用等、広く使用されている。
・V形機関:シリンダを斜め2列に並べた機関で、容積の狭い場所で大出力を必要とする陸用、舶用、車両用等に使用されている。
4)作動方式による分類
・4サイクルエンジン
吸入、圧縮、燃焼、排気の1サイクルの作動をクランク軸が2回転、即ちピストンの4行程で行うエンジンである。(詳細については次項に記載)
・2サイクルエンジン
上記のサイクルをクランク軸が1回転、即ちピストンの2行程で行うエンジンである。
5)燃焼方式による分類
ディーゼルエンジンの燃焼方式は、直接噴射式と副室式に大別され、副室式は更に渦流室式と予燃焼室式とに分類される。中大型機関には直接噴射式が、小形機関には渦流室式と予燃焼室式が多く使用されている。
・直接噴射式
この方式は単室式でピストンの頂部に形成された凹形状の燃焼室の中に燃料噴射弁から燃料を噴射し、圧縮されて高温高圧になっている空気により着火燃焼させるものである。
燃焼室の形が簡単で、ヘッドの製作も容易であり、燃焼室の放熱面積が少ないため燃料の消費が少なく、始動も容易であるが、シリンダ径が小さすぎると燃料と空気の混合がうまくいかず、燃焼が悪くなるので小形には適用限界がある。
なお、燃焼圧力が高いため運転中の振動、騒音が大きくなる傾向がある。
1・3図 直接噴射式
・予燃焼室式
この方式は、ピストン頂部に形成された主燃焼室の他にシリンダヘッドに予燃焼室と云う副室が設けられており、その副室の中の高温高圧の空気で燃料の一部を着火燃焼させ、それによる爆発力で、残りの燃料をピストン頂部の主燃焼室に噴出させ、そこで残りの燃料を燃焼させる2段燃焼式である。従って、燃焼が柔らかで、シリンダ内の最高圧力も低く、比較的悪い燃料でも使用できる。
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1・4図 予燃焼室式
・渦流室式
この方式は、シリンダヘッドに球状の渦流室を設け、圧縮行程でその燃焼室の中に空気の渦流を起こさせ、そこへ燃料噴射弁により燃料を噴射させて、燃料の大部分を燃焼させ、残りの一部の燃料をピストン上部とシリンダヘッド下面との間の燃焼室で燃焼させる二段燃焼式で、直接噴射式と予燃焼室式の中間の特性を持っている。なお、渦流室内の高温の空気は、シリンダヘッドに熱を奪われて温度が下がるため直接噴射式に比べ始動性が劣る。そのためにグロープラグを設けているエンジンが多い。
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1・5図 渦流室式
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