5)燃料供給ポンプ
燃料供給ポンプは一部の小形機関を除き殆んどの機関に設けられ、燃料供給を確実に行わしめるためのものであり、フィードポンプとも呼ばれている。一般に最も多く用いられているフィードポンプはボッシュ式燃料フィードポンプであり、それ以外には中大形機関に用いられているトロコイド式やベーン式ポンプなどがある。小形ではダイヤフラム式なども用いられている。
2・109図 ボッシュ式燃料フィードポンプ
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(1)ボッシュ式燃料フィードポンプ
このポンプは単体のものもあるがその殆んどは噴射ポンプに組込まれ、2・109図に示すような構造および作動をしている。
この式のポンプの故障は主にOリングなどのシール部分からの洩れや戻しバネ力低下のほか吸入弁や吐出弁などの作動不良やシートの荒れなどによる洩れが原因であり、故障すると燃料供給不足となり、過負荷時に作動不良となった場合は停止する等の危険がともなうので定期的なチェックが必要である。
(2)その他の燃料供給ポンプ
大形機関の場合は送油量も増加するため別個に燃料フィードポンプを設けている場合もある。代表的なものとしては2・110図に示すトロコイド式ポンプが用いられている。この種のポンプの故障は摩耗による吐出容量の低下と、リリーフ弁およびシートからの洩れ、弁バネ不良などが原因で発生する。
2・110図 トロコイド式
6)燃料フィルタ
機付フィルタとしては燃料噴射ポンプの前に設けられており、噴射ポンプのプランジャや噴射弁などの寿命に大きな影響をおよぼす重要な燃料フィルタであり機関によって各種のものが用いられている。特に直噴式機関においてはメッシュの細かなノッチワイヤ式(40ミクロン程度)やペーパエレメント式(10ミクロン位)などがあり副室式機関ではオートクリーン式(100ミクロン程度)や真鍮製網(50ミクロン程度)のものが用いられており、大形では複式とし運転中でも片方のフィルタを掃除できるような構造のものを採用している。
(1)ペーパエレメント式
フィルタ内部のエレメントにペーパを使用していることにより、このような名称で呼ばれ、2・111図(a)に示すようにエレメントで遮断された不純物はフィルタ底部へ溜るかエレメントにつまるようになっている。また、これらフィルタのエレメントは一定の使用時間毎に交換しなければならない。エレメント交換に当ってはフィルタ内部を清掃し、Oリングなどの消耗品も併せて交換することが必要である。最近多く使われているカートリッジ式は2・111図(b)のようにフィルタケースとエレメントが一体となっている。なお、取付面にはOリングが入っているので新品と交換し、はみ出さないよう注意して手で締付ける。
2・111図 ペーパエレメント式フィルタ
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(2)オートクリーン式(キューノタイプ)
このタイプは2・112図に示すような構造であり、内部は薄いこし板とこし板の間に間隔板と掃除板があり、こし板間のスキマ(100ミクロン程度)を燃料が通過する時にろ過するようになっており、スキマより大きい不純物は遮断されこし板の外周及びスキマに溜まるようになっている。
2・112図 オートクリーン式
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(3)ノッチワイヤ式および金網式
2・113図に示すような構造であり、掃除は内部のエレメントを取外し、洗い油の中へ浸したあと、圧縮空気を吹き付けて行う。この時、本体底部に付着した不純物も清掃することが必要である。大形機関では複式となっており、ブローオフなども行い、運転中でも一定の時間使用したら切換えて清掃することが大切である。エレメントを取外し、清掃後の組立てはOリングなどの消耗品は交換する。長時間の使用はゴムが変質し伸びてしまい、油もれを生じる恐れがある。
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