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2)清水クーラ(清水冷却器)
(1)構造と機能
 チューブ内に海水を通しチューブ外を流れる清水の温度を下げるようになっており、さらにサーモスタットを配し、清水温度を一定に保っている。
 また、チューブの上部にタンク部分を設けている他、清水循環系統は0.09MPa(0.9kgf/cm2)程度の圧力キャップで圧力をかけ水の蒸発温度を上げキャビティションの発生を防止している。2・82図に多管式およびプレート式の清水クーラの一例を示す。
 
2・82図 清水クーラ
(拡大画面:23KB)
 
(2)点検と整備
 冷却効率が低下すると清水の入口と出口の温度差が少くなるので判断できるがそのためには新品納入時の運転データに海水および清水の温度を併せ記録しておくことが大切である。水あかが堆積して、水通路が詰ったりすると冷却効率が低下するため1年間に1回程度は分解清掃することが必要となる。
 腐蝕や亀裂、拡管部やロー付部の弛みや外れなどがあると清水が海水側へ流出する。
 パンクや漏れなどの点検には水圧テストにより洩水の有無を確認する。テスト圧力については常用圧力の約1.5倍の水圧を加えて行うが、圧力を規制しているものもあるので注意が必要である。
 圧力キャップは設定圧での開閉を確認する。なおキャップテスタで圧力を上げ設定圧で約10秒間保持できない場合は交換する。
 
2・83図 キャップテスタ
 
3)サーモスタット
(1)構造と機能
 サーモスタットは水路を切り替えたり冷却水の流量を制御したりして冷却水の温度を常に一定に保つ働きをしエンジンの過冷却を防止するものである。
 サーモスタットにはベローズ形とペレット内にワックスを封入し、そのワックスの熱膨張によってバルブを作動させるワックスペレット形がある。最近は2・84図に示すようなワックスペレット形が多く使われている。
 
2・84図 サーモスタット
(拡大画面:32KB)
 
 
2・6表 開弁温度・リフトの一例
開弁温度 69〜73℃
全開温度 85〜90℃
弁リフト 8〜10mm
 
(2)点検と整備
 開弁開始温度および全開温度を2・85図に示すような方法で点検し、弁リフト寸法なども併せて点検する。
 作動の悪いものや温度に狂いのある場合は交換する。なお2個使用している場合は設定温度の異なるものを組合わせて開弁時の水流ショックを緩衝している場合があるので設定温度に注意すること。又水の温度を上げ下げして全閉温度と開弁開始温度を点検しその差が、10℃以上のものや全閉及び全開しないものは交換する。
 
2・85図 開弁開始温度チェック要領
 
4)サブタンク
(1)構造と機能
 エンジンを運転し、清水温度が上昇すると清水クーラで海水によって清水を冷やし85〜90℃に保つが、オーバロードでの運転、又は長時間連続運転を行うと水温が異常に上昇して清水冷却系統内の蒸気圧が上昇する。圧力が0.09MPa(0.9kgf/cm2)以上になると圧力キャップが開き蒸気を排出し清水を消費することになる。この消費を防止するのがサブタンクである。圧力キャップを押上げて外部に出た蒸気又は熱水はサブタンクに入り外気によって冷され低温の清水となる。エンジンが停止し、清水タンク内が負圧になるとサブタンク内の清水は清水タンク内に吸い戻され冷却水の消費を防ぐ。サブタンクの取付位置は、2・86図に示すようにサブタンク上面が清水タンク上面と同一もしくは5cm程度下がった位置が適当である。なお水量は冷態時LOWマークとFULLマークの間に維持するよう補給する。
 
2・86図 サブタンク取付け
 
(2)点検と整備
 パイプ、タンクの亀裂などを調べ、水もれのないことを確認する。







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