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6.4 保護監視、遠隔操作システム
 電子制御エンジンでは、搭載コンピュータとメモリの機能を最大限に利用して、質の高い、充実したエンジンの保護監視、遠隔操作、故障診断、整備情報提供を実現し、エンジンの稼働効率を高め、エンジンの総合的な信頼性向上につながっている。
 
1)システム化
 エンジンの運用効率を広げるために構築された、トータルシステムの例を補・87図に示す。
 このシステムでは、データリンクと呼ぶシリアル通信線で、遠隔監視操作およびサービスツールと直結でき、さらに、約30mを越える遠隔地とは、RS232C信号を介して、また、必要に応じ衛星回線を経て、パソコンと通信し遠隔監視操作が出来るシステムが用意されている。
 
補・87図 エンジン運用、サービスネットワーク
(拡大画面:43KB)
 
2)診断機能
 ECMは、エンジン状態監視のための各種センサ信号を解析し、エンジンの異常や故障につながる状態の発生を検知し、その内容により警報ランプや点検指示ランプを点灯し、さらに原因診断結果を点滅コードで点滅表示もしくはパネルに表示します。
 点滅表示は、ランプの点滅パターンで2桁の数字を示し、補・88図に示すような診断結果を発信し、事故を防止する。
 これらの診断結果は、別途診断コードに置き換え、時系列履歴としてECM内に記録保持される。これは、サービスツールを接続して読み出すことができ、効率のよい保守整備につなげることが出来る。
 
補・88図点滅診断コードの例
点滅診断コード 診断内容 参照マニュアル マニュアルの内容
27 冷却清水温度センサ断線または短絡 P-607 信号電圧4.8V以上 点検の詳細等指示
28 スロットルセンサの較正、調整要す P-612 センサの較正の詳細指示
34 エンジン回転速度センサ信号断絶 P-602 センサの点検方法の詳細指示
61 高冷却清水温度警告 P-607 警告の意味と考えられる原因
62 冷却清水水位異常 P-613 警告の出る条件と調査事項
 
3)サービスツール
 前出の補・87図に示すように、ETと略称する独自開発のサービスツールを、エンジンハーネスのデータリンクソケットに接続することにより、詳細な運転状況のモニタや、警報、不具合整備履歴のチェックができ、的確な保守整備が出来る。
 ETは補・89図に示すような構成となっており、このサービスツールの中心となるデータ処理ソフトは、ウィンドウズ95搭載のパソコンにインストールし、データ変換アダプタを介してエンジンに接続し、ECMと通信することにより、ユーザパラメータ(アイドル回転数など)の設定や、各種保守サービスに活用する。
 補・90図は、不具合検討のために、パソコンのウィンドウズ画面上で、ECMの診断履歴を読み出している例を示す。
 電子制御システム系は、何らかのトラブルがあった場合、それはまず、電源、センサ、配線接点等であり、これらはECMの警告、および診断結果を調べることにより容易に探知でき、比較的明確で、単純迅速な処置ですむ。
 このように、診断機能の充実は、電子制御エンジンの大幅な信頼性向上をもたらしている。
 
補・89図 ET(サービスツール)
 
補・90図 診断コード履歴読出ウインドゥの例
(拡大画面:26KB)







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