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1級舶用機関整備士指導書

 事業名 舶用機関整備士の資格検定事業
 団体名 日本舶用機関整備協会 注目度注目度5


 さて今まで扱った振動系はいくつかの円板と単純な軸というように極めて単純な形で構成されているが、現実にはこのような都合のよい系は存在しない。まず始めの例のばねにはじまってロータをつなぐ軸まですべてそれら弾性要素自身の質量のことは考慮に入れていない。現実には質量のないものは無いから、上記のような議論は限界のあることで、最初の例の場合ならば物体の質量Mに比べてばねの質量が十分に小さい、円板やロータの場合もJ1、J2・・・に比べて針金あるいは軸自身の慣性モーメントが十分に小さいことが前提になる。しかしそのような前提は常に満足されるというわけにはいかない。例えば実際の軸が補・35図(a)のような太いものであれば軸の慣性モーメントを適当な所に集中させる。例えばこの図に示すように軸上に適当な3点a、b、cを選び、そこに適当な割合で3分割した軸の慣性モーメントを集中させることにする。そうするとこれはもう5個の慣性モーメントをもつ系であり、4個の固有モードを持つことにする。問題はこのような方法で果たして実際の振動モードに近い答えが得られるかということが問題になる。難しい議論はあるが、一応適当な分割がなされていれば実際に近い答えが得られる。分割を細かくすれば、例えば、この例で軸を5分割すれば7個の慣性モーメント系となる。こうすれば前の3分割の場合よりもより実際に近い計算結果が得られる。この考えを押し進めると実在の振動系は無限のモード数、無限の振動数が得られることになる。しかし一般にはそこまでの分割をする必要はまずない。この例の軸の部分のようにどこといって特別に質量あるいは慣性モーメントが集中していないが、それ自身の質量を無視できない場合の系を分布定数系と呼ぶ。ただしこの分布定数系でも上の例のようにその系の特定の点に本来の集中質量をもつ場合が多い。これに対し、いくつかの個所に質量点あるいは慣性モーメントを集中させ、その間をばねのような復元力を与えるがそれ自身の質量を考えないというものでつながれた系を集中定数系と呼ぶ。
 
補・33図
細い軸でつながれた2個のロータからなる系
(拡大画面:20KB)
 
 
2個のロータからなる系の捩り振動
(拡大画面:29KB)
 
 
補・34図 3個のロータからなる系の振り振動
(拡大画面:52KB)
 
 
補・35図 軸の太い系とその等価な軸系
(拡大画面:26KB)
 
 我々がある振動系について実際に知りたい固有振動数は多くの場合1節、2節・・・という比較的低次の振動数値である。したがってこれらを十分正確に与えてくれる集中定数系のモデルを得ることができれば目的は達するわけである。われわれにとり問題なのは舶用ディーゼル機関の軸系である。まずその主軸系のねじり振動の固有振動の振動数を計算することは必要かつ重要なことである。この場合にはあの複雑なクランク軸についてまずクランク軸上のシリンダ中心の対応点にシリンダ分のコンロッド、クランクジャーナル、クランクアーム・・・の慣性モーメントが集中していると考えて集中慣性モーメント値を算出する。はずみ車の慣性モーメントはそれ自身集中量として取り扱う。プロペラも同様であるが、プロペラが水中にある場合は当然振動に際してプロペラとともに動く水の質量慣性を考慮に入れた慣性モーメント値を集中量とする。プロペラ軸や中間軸の慣性モーメントは無視されることが多い。しかし大きなフランジや歯車がそれらに付属している場合は当然これらの慣性モーメントを考慮する。クランク軸のねじり剛性を決定するのは大変厄介である。一般には半理論的な計算式、例えばB、I、C、E、R、A1)の式、ker Wilson1)の式などを用いて計算される。その結果、補・36図に示すような集中定数系を考えてこれの固有振動数を求めることになる。もちろんV型や水平対向型といった機関の軸系あるいは減速機構を含めた場合の慣性モーメントJ1、J1・・・の計算方法も確立されている。さてこのようにして作られた系を相当あるいは等価振動系と呼ぶ。上に述べたように舶用ディーゼル機関ではその集中慣性モーメントの数が少なくともシリンダ数にフライホイールとプロペラの2個を加えたものとなる。したがってその系の固有振動数f1、f2・・・を求めるには先の例で示したように高次代数方程式を解かねばならない。先の場合は3個の集中慣性モーメントに対してPo2の2次方程式であった。したがってN個の慣性モーメントの系ならば(N−1)次の代数方程式を解いてP1、P2、・・・PN-1を求めることになる。しかし5次以上の代数方程式の解析解は存在しない。したがってふつう楽な仕事ではない。一般にはホルツァ(Holzer)の方法と呼ばれる作表型式による数値計算法が用いられる。もちろんこの形の計算にコンピュータが活用されるのはいうまでもない。なお、このホルツァ法は強制力を受けた時の振動計算に利用される。
 
補・36図  実際のディーゼル槍関(6気筒)とプロペラからなる系の等価捩り振動系
(ディーゼル機関の捩り振動の計算には慣性モーメントをこの図のような形であらわす。またねじり剛性はd=187mmの中実軟鋼材の軸の長さで表現してある)
(拡大画面:17KB)
ディーゼル機関(520PS@365rpm)
一節振動数1434rpm
二節振動数3217rpm







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